財務状態を改善する劣後ローンへの借換(DDS)という方法
ポイントとなるのは、根拠ある事業計画書作成!
1.厳しさを増す中小企業経営
2023年3月の全国企業倒産(負債総額1,000万円以上)は、件数が809件(前年
同月比36.4%増)、負債総額は1,474億3,400万円(同13.1%減)でした。件数は、
前年4月から12ヵ月連続で前年同月を上回っています。
(出典:東京商工リサーチ 全国企業倒産状況 2023/04/10)
https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1197581_1610.html
いわゆるゼロゼロ融資の返済が今年7月ころからピークを迎え、ただでさえ債務過
多の状況にある中小企業の経営は厳しさを増しています。
物価上昇・人件費上昇・人手不足・円安などの悪条件に加え法人税増税なども検討
されて、まさに四重苦・五重苦の状態にあるといえるでしょう。
2.DDSの概要とメリット、デメリット
実質債務超過額の圧縮・解消の手段の一つとして「資本性劣後ローンへの変更
=デット・デット・スワップ(Debt Debt Swap=DDS)」があります。
DDSは、Debt(債務)とDebt(債務)をSwap(交換)するという意味で、債権
(借入金)を別の条件の債権 (通常は、一般債権よりも返済順位の低い劣後ロー
ン)に変更する手続きのことです。
最近は審査が厳しくなっているとも言われていますが、適正な申請であればまだ
まだ利用できる制度となっています。
劣後ローンは、金融機関(銀行)内では自己資本とみなすことができる為、以前よ
り良い条件での融資(通常よりも金利が低く設定される等)を受けられる可能性が
あります。実質的に企業の財務状態を改善して信用力や再建可能性を高めることと
なります。
但し、会計上は借入金が資本とはならないので、貸借対照表上に変わりはありません。
(企業側)
・従来の借入金が劣後ローンに変更されるだけで債務(Debt)自体は変わりません。
・一方で劣後化されることで、実質的に債務の返済期限を後回し(一定期間は元本
返済が猶予される)にでき、資金繰りが改善される等のメリットがあります。
(金融機関側)
・劣後ローンであれば、将来的に元本回収が可能であり、また一定の要件下におい
て、貸出債権を劣後ローンに変更した場合、金融機関の自己査定における債務者
区分等の判断上資本とみなすことができます。
・貸倒引当金を積み増す必要もなくなります
(企業側でのDDSのメリット、デメリット)
メリット |
デメリット |
①低金利となる ②毎月の約定弁済がなくなる (劣後ローン(資本性借入金)は5年 ③金融機関の債務者区分が上がる効果 |
①経営者責任が問われる場合も ②融資契約上の義務や制限がつく (毎月の試算表提出、2期連続赤字 ③審査に時間がかかる場合もある |
3.根拠ある事業計画書の作成が大事
資金提供者は、対象企業の過剰債務を解消し財務体質の改善等を期待するのと
同時に取引会社健全育成のうえ、将来的に各種利益を得ることを目的としています。
従って、借り手企業についてはシビアに調査・分析するのは必然といえます。
借り手企業の財務状態や将来性を判断する材料として、決算書やその他の経営状
態を確認する多数の書類に加えて、将来の事業の姿を可視化・文章化したものであ
る「事業計画書」が大きな役割を果たします。
そして、事業計画書は客観的に納得性があり実現性のあるものでなくては、信頼
に欠けるものになります。希望的な数字だけで作成した場合はすぐにわかりますの
で、事業計画書全ての項目に対して、裏付け・根拠のあるものにしておく必要があ
ります。
資金提供者に対してその内容をいかに正確にわかりやすく、誠意を込めて伝えるか
がポイントになります。
資金調達の決め手は「根拠があり実現性のある事業計画書」と経営者のプレゼン能力
(熱意、覚悟)にあるといえるでしょう。
※事業計画書の書き方については、当ブログ内に詳細な内容の記事がありますので、
以下のページをご参照下さい。
→ 【成長戦略のカギ】事業計画書の書き方と資金調達への活用法
事業計画書の作成は経営者自ら行うのが基本ですが、各資金提供者はそれぞれの事
業領域におけるプロ集団です。
資金調達・財務改善の目的に沿い、プロ集団である資金提供者を納得させるような
事業計画書を作成することは、大変困難な作業となります。それなりの経験と知識
及びテクニックが必要となりますので、外部の事業計画書作成の専門家(コンサル
タント)の活用も一つの方法といえるでしょう。
<※事業計画書を外部の専門コンサルタントに依頼するメリット>
①専門知識を持っていないオーナーでも、適切で質の高い事業計画書が作成可能。
②自社内では気づきにくい問題点や改善点を指摘してくれる可能性あり。
③事業計画の中立性を保つことにより、客観的な視点を失うことがない。
④最新のトレンドやベストプラクティスを取り入れることが可能。
⑤専門的なノウハウやツールを使った分析や調査により、自社内で行うよりも効率的・
正確な情報を収集可能。
⑥時間・社内リソースが不足していても、迅速かつ効率的に事業計画書作成が可能。
⑦専門コンサルタントが作成することで、出資者や金融機関などへのアピールが可能。
※当バルクアップコンサルティング社は、全員が日本及び世界のトップコンサルティ
ングファームで経験を積んだトップコンサルタントであり真のプロフェッショナル
集団です。資金調達における事業計画書の作成や事業展開にお悩みの場合は是非一
度ご相談下さい。
(事業計画書作成の作成代行サービスについてはこちら)
→ バルクアップコンサルティング社 事業計画書作成サービス
(バルクアップコンサルティング社の概要についてはこちら)
→ バルクアップコンサルティング株式会社