新規事業やビジネス拡大を目指す企業にとって、その針路を示す「事業計画書」
は欠かせません。しかし、それは単なる文書ではなく、ビジネスのDNAを刻む繊細
で複雑なプロセスです。1000社以上の事業計画書作成プロジェクトを成功に導
いた我々の経験から言えることは、経済環境、業界トレンド、そして財務指標を正
確に反映した事業計画書が資金調達を実現し、ビジネスの成長を加速させます。
本記事では、「事業計画書」の意義と書き方の基本、そして「作成代行」の価値
について解説します。適切に作成された事業計画書は、あなたのビジネスを次のレ
ベルへと導く最強のツールとなります。
(目次)
1.事業計画書とは?
2.事業計画書の意義・大事さ
3.事業計画書の基本的な書き方
4.事業計画書作成代行のメリットとは?
5.まとめ:事業計画書がビジネスの成長を加速する
1.事業計画書とは?
事業計画書とは、会社の事業コンセプト・企業戦略・事業内容・ビジネスアイデ
ア、市場分析、マーケティング戦略・組織体制・運営方法・行動計画・財務計画
(売上や利益等の数値目標)などを記載した書類(計画書)のことです。
ビジネスの成長を目指す際には欠かせないツールで、金融機関や投資家から資金
調達(融資・出資等)する時や社内に今後の事業計画を説明・周知する際に利用し
ます。
<事業計画書作成のメリット>
1)可視化によるメリット
自社の今後の方向性を明確なものにし、強み・弱み・課題等を含めて客観的に具
体的に可視化して社内共有することができます。
強みがわかれば事業の方向性がハッキリしますし、弱みや課題がわかれば会社の
改善目標が明確になります。
頭でわかっていたことでも、文章にする(可視化する)ことで会社運営に必要
な様々なことが明確になるわけです。
2)社内統一が図れる
会社・経営者の考えが社内統一され、社員は迷うことなく事業を推進できます。
特に幹部社員を事業計画作成時に参加させることにより、当事者意識・責任感が
強くなりますし、その後の事業遂行時での意欲が違ってきます。
又、対外部(金融機関、投資家などの資金調達先、ビジネスパートナー 等)
に対してのアピールや説明がしやすくなります。
3)幹部社員のレベル向上
事業計画書作成を経験することで、経営者・幹部社員の能力レベル(スキル)が
UPします。
事業計画書を作成する為には、以下のことを確認・調査・分析しわかりやすくま
とめなければなりません。
・会社のビジョン、理念、目的
・自社の業務内容(あらためて見直す)
・自社製品(サービス)の強み、弱み
・経営資源(人材)
・顧客(販売ターゲット)、顧客に求められていること
・目標は(今どこに向かっているのか)
・社内体制/各事業・部門の責任者は明確か
・課題及び課題解決の進捗状況
・具合的な業務計画(スケジュール)/損益計画/返済計画の立案と進行状況把握
など
このような作業を通して、経営者・幹部社員ひいては全社員の能力レベル(スキル)
がUPします。
4)問題解決力がつく
不測の事態・難問が出てきても、事業計画書を経営者・幹部をはじめ社員全員で
理解していれば、裏付けのある問題解決案が出やすくなります。
2.事業計画書の意義・大事さ
事業計画書はビジネス価値を最大化する役割を果たしますが、その役割は以下の
とおりです。
1)ビジネス戦略策定
事業計画書は企業の目標とその達成方法を明確に定義するツールです。これによ
り、ステークホルダー全員が同じビジョンと戦略に基づいて行動できます。
2)資金調達用資料
事業計画書は、企業が資金調達を行う際に、そのビジネスモデルや戦略を投資家
や金融機関に示す重要なツールです。投資家は事業計画書に記載された情報を元
に、企業のビジネスの潜在的な成長性、競争力、リスクを評価し、投資の決定を
行います。また、金融機関もまた、事業計画書を企業の信用評価や融資の可否を
判断する際の重要な参考資料とします。
なお、事業計画書の資金調達における役割は、新規事業だけでなく、既存のビ
ジネスの拡大や改善を目指す場合にも同様です。新規製品の開発、新市場への進
出、事業構造の変更など、企業が大きな変革を進める際には、新たな資金調達が
必要となることが多く、その際にも事業計画書が必要となります。
3)ビジネスのパフォーマンス評価
事業計画書は、企業が設定した目標に対する進捗状況を定期的に確認し、必要に
応じて戦略を修正するための基準となります。これにより、企業の経営者は事業
のパフォーマンスを客観的に評価し、経営判断を下すことができます。
<事業計画書の重要性>
融資にしても出資にしても、資金提供側とすれば「利息をつけて返済できる」
「将来成長が見込まれ、必ずリターンがある」という評価をした企業です。つ
まり、今後大きく成長が期待できる企業ということです。
そして、どのような資金調達方法を選択しても、事業計画書の作成は必須と
なります。
資金提供側としても、貸出金回収・キャピタルゲイン・インカムゲイン等の目論
見と対象会社育成の使命があります。まさに資金調達の決め手は「実現性のある
事業計画書」にあるといえるでしょう。

3.事業計画書の基本的な書き方
1)事業計画書提出先の分類(用途別)
(1)融資
政府系機関(日本政策金融公庫、商工中金等)、民間金融機関 等
(2)補助金(助成金)
政府系機関(日本政策金融公庫、商工中金等)、各自治体
(3)出資・投資
VC(ベンチャーキャピタル)、PE(プライベート・エクイティ・ファン
ド)、個人投資家(エンジェル投資家)、クラウドファンディング 等
(4)事業承継(M&A)
公認会計士、税理士、弁護士、M&A専門会社、事業承継先 等
(5)社内
従業員、親会社、株主、関係・関連会社、各ステークホルダー 等
2)事業計画書作成の留意事項
(1) 事業計画書の作成目的を明確にする
①資金調達(融資・補助金・出資・投資・事業承継等)の為
②自社の事業計画を社内に説明・周知する為
(2) 事業計画書の見直しは経営者自身が行う
会社事業の策定・計画・実施・目標達成チェックの責任者は経営者になります。
この事業計画書の内容は資金調達をする際に重要な役割を果たすとともに、何
よりもこの困難を乗り越え、事業継続を実現し、ポストコロナ・ウィズコロナ
時代を生き抜いていく大きな指針となります。
(3)客観的に実現可能な事業計画書を作成する
当たり前ではありますが、事業計画書は客観的に納得性があり実現性のあるもの
でなくては、信頼に欠けるものになります。
特に資金調達時の担当者はプロですから、裏付けの無い数字には敏感です。希望
的な数字だけで作成した場合はすぐにわかりますので、審査が通らなくなります。
従って、事業(創業)計画書全ての項目に対して、裏付け・根拠のあるものに
しておく必要があります。又、この準備をしていれば、融資等審査の面談時にも
スムーズに説明することが可能になります。
(4)資金の出し手(金融機関等)側の立場を考慮する
金融機関の融資担当者は、社内で決裁を通す為に別途融資稟議を書いています。
・稟議書が書きやすいような、説明しやすい事業計画書が大事です。
・稟議を通したくなる事業内容、経営者(人物)であることをアピールします。
(5)融資の場合は2行(日本公庫と民間金融機関)に申し込む
基本的に、この二つの金融機関は併用して利用することが可能です。
リスク分散のためにも、できれば2行に申し込んだ方が良いでしょう。
(6) 各種補助金(「事業再構築補助金」等)申請の場合は採択事例を参考にする
事業再構築補助金については、すでに採択された会社の事業計画書の事例が以
下のページから参照できますので、参考にしてください。
自分が資金提供者だったらどう感じるかという視点がポイントになります。
(中小企業庁:「事業再構築補助金」採択事例)
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/cases.php
3)事業計画書の項目別記載内容
提出先・利用目的・フォーマット等で異なりますが、一般的な記載項目は以下
のとおりです。
(1)エグゼクティブサマリー
事業計画書の全体像を簡潔にまとめたもの。ビジネスの概要、目標、そして
達成のための主要な戦略を明記します。
(2)会社のプロフィール
・会社概要(会社名、所在地、役員、株主、電話番号、ホームページ~)
・組織構成、事業構成
・沿革/創業の経緯
・どんな強みと特徴を持った会社なのか
(3)経営者のプロフィール
・事業経歴、実績、人間性、特技 ~ 、事業の成功を確信させるような内容
※魅力ある経営者像
(4)事業コンセプト、ミッション
・会社の使命、ビジョン、ビジネスモデル、提供する製品やサービス、競争優
位性(強み) など
(5)マーケット・取扱商品・サービス・ビジネスモデル・戦略
・事業ドメイン、得意なマーケット・商品・サービスは何か
・市場調査を綿密に実施したデータの裏付け
(市場分析)対象市場の規模、成長予測、競合状況、顧客の動向などをデー
タに基づいて詳細に分析します。これにより、市場環境を理解
し、ビジネスの可能性とリスクを評価します。
・製品/サービスライン:提供する製品やサービスの詳細、開発状況、知的財産
権の保有状況、製品のライフサイクルなどを説明します。
・マーケティングと販売戦略:ターゲット顧客の定義、製品のポジショニング、
プロモーション戦略、販売戦略、価格戦略など、マーケティングと販売に関す
る全体的な戦略を概説します。
・マーケティング戦略(ファイブフォース分析)
①競合他社②買い手交渉力③売り手交渉力④新規参入の脅威⑤代替品の脅威
・事業展開のシナリオ
(6)会社の強み・弱み(SWOT分析)
S(Strength) :強み
W(Weakness) :弱み
O(Opportunity):機会
T(Threat) :脅威
(7)取引先・顧客(売上予定の見込が確実か)
・対象顧客(取引先)と顧客メリット
(8)役員構成・従業員・組織体制と運営
・経営責任者、意思決定の流れ、役割分担(部署名)のわかる組織図
・運営体制、役職と職務、必要な人員とスキル、外部のパートナーやサプライ
ヤーなど、企業の組織構造と運営を詳述します。
(9)事業見通し(数値目標)、財務計画、資本政策
・各数値目標には必ずデータに基づいた根拠があること。特に売上と利益の算
定根拠が客観的に裏付けのある数字であること
・収益予測、費用予測、利益予測、キャッシュフロー予測など、将来の財務
状況を予測します。このセクションは投資家や金融機関にとって最も重要な
部分であり、リアリスティックで詳細な予測が求められます。
(事実の確認と検証が必須)
→決算書・試算表・資金繰り表・返済予定表等は過去・未来予定分含めて前後
3期分くらいを分析する
(過去の振り返りで自社の特徴を把握することが大事)
・売上と利益のバランスが良いこと
(特に利益は必ず返済額より多いこと)
・役員報酬/人件費が妥当であること
・人件費以外の経費にムダがないこと
・資金計画は綿密に(返済計画と矛盾しないこと)
・資本政策では、理想的な「株主構成」「資金調達」の実現を目指します。
特に、資金調達は(誰から・何に・どれだけ借りて・どう返済するか)
を明確にします。
・できれば5年後のビジョンにも言及すること
(10)今後の世界情勢分析による事業成功の裏付け
・現在そして今後の世界(事業環境・社会・政治・経済・技術・法律)情勢
見通しと、その中にあってこの事業が成り立ち、成功する確信があること
をアピールします。
・「PESTLE分析」の活用
Political :政治的要因
Economic :経済的要因
Sociological :社会的要因
Technological:技術的要因
Legal :法的要因
Environmental:環境的要因
(11)その他
・多忙な融資(出資)担当者が見やすい形にする
(例:A3用紙1ページで事業計画の概要が全てわかる)
・極力整理して冗長化を防ぐ
・但し、重要な部分は詳細な説明も必要
・図やグラフなどを利用してビジュアル的にわかりやすく
(人はイメージでものごとを理解する)
・事業計画書のフォーマットは決めておく
(資金調達先により適切なフォーマットや書き方があるので、できれば
専門のコンサルタントに相談する)
※最終的には、経営者の熱意がどう伝わるかにかかわってきます

4.事業計画書作成代行のメリットとは?
事業計画書の作成は経営者自ら行うのが基本ですが、作成作業を短期間に進めて
いくのは、思った以上に大変な作業となります。事業計画書の作成はそんなに頻繁
にあるものではありませんし、審査の厳しい資金提供者に対して納得性・説得性の
ある内容にするには、やはりそれなりの経験・テクニックが必要となります。特に
新規事業者や小規模企業にとっては大きな負担になります。
一つの方法として、外部の事業計画書作成の専門家・コンサルタントの活用(作成
代行)がありますが、そのメリットとしては、以下の通りです。
<事業計画書を外部の専門コンサルタントに依頼するメリット>
①専門知識を持っていないオーナーでも、適切で質の高い事業計画書が作成可能です。
②自社内では気づきにくい問題点や改善点を指摘してくれる可能性があります。
③事業計画の中立性を保つことにより、客観的な視点を失うことがありません。
④市場の動向・最新のトレンドやベストプラクティス(成功事例)を取り入れることが可能
です。
⑤専門的なノウハウやツールを使った分析や調査により、自社内で行うよりも効率的・正確
な情報の収集が可能です。
⑥時間・社内リソースが不足していても、迅速かつ効率的に事業計画書を作成することがで
きます。
⑦本来のビジネスに集中することができます。
⑧専門コンサルタントが作成することで、出資者や金融機関などへの強いアピールを行うこ
とができます。
⑨作成された事業計画書は、企業の成長を支える一方で内部の意思決定にも役立ちます。
<事業計画書の作成代行サービスの選び方>
事業計画書の作成代行サービスを選ぶ際には、以下のポイントを考慮しましょう。
①実績と評判
・過去の取り扱い件数・成功事例や顧客からの評価をチェックします。
②専門性
・業界の専門知識やビジネスモデルに精通したコンサルタントの有無を確認します。
③対応の迅速さとコミュニケーション
・迅速かつ適切に対応し、クライアントとのコミュニケーションを重視する業者か
④価格と納期
・予算や納期に合ったサービスかどうか。コストパフォーマンスの高い業者を選
びましょう。但し品質が第一になります。
⑤信頼性と機密性
・企業の機微情報を提供しますので、信頼性・機密情報保護管理体制を確認します。
⑤アフターサポート
・資金調達後もアフターサポートが充実しているかどうかを確認します。
事業計画書は企業の未来を描く重要なドキュメントです。専門的な知識を持った作
成代行業者を活用し、最高の事業計画書を作成して、ビジネスの成功につなげましょう。
<事業計画書のアップデートとフォローアップ>
事業計画書は、一度作成しただけではなく、定期的に見直しやアップデートが必要
です。市場環境や競合状況の変化、新たなビジネスチャンスやリスクが発生した場
合、事業計画書を適時更新することで、投資家や金融機関に対して企業の状況を正
確に伝えることができます。
また、プロによる事業計画書作成代行サービスを利用する場合、アップデートや
フォローアップも依頼できることが多いため、企業の状況に応じた最適な事業計画
書が常に提供されます。
5.まとめ:事業計画書がビジネスの成長を加速する
事業計画書は、新規事業やビジネス拡大を計画する企業にとって重要なツール
です。それは、企業のビジョンを明確にし、戦略を策定し、ステークホルダーと
共有するための基盤を提供します。さらに、事業計画書は資金調達の成功を後押
しし、企業のパフォーマンスを評価し、改善するための基準を提供します。
但し、事業計画書の作成は専門的な知識と時間を必要とします。作成代行サー
ビスを活用することで、企業はその負担を軽減し、専門家の視点で作成された高
品質な事業計画書を手に入れることが可能になります。
適切に作成され、定期的に見直され、効果的に活用される事業計画書は、企業の
ビジネスを次のレベルへと導く最強のツールとなるでしょう。
※当バルクアップコンサルティング社は、全員が日本及び世界のトップコンサル
ティングファームで経験を積んだトップコンサルタントであり真のプロフェッ
ショナル集団です。資金調達における事業計画書の作成や事業展開にお悩みの
場合は是非一度ご相談下さい。
(事業計画書作成の作成代行サービスについてはこちら)
→ バルクアップコンサルティング社 事業計画書作成サービス
(バルクアップコンサルティング社の概要についてはこちら)
→ バルクアップコンサルティング株式会社
