【起業家のビジョンを実現する!】 スタートアップ成功に不可欠なVCと事業計画書作成

VC・投資家出資

  新たなビジネスの立ち上げや成長を目指す起業家にとって、資金調達は欠かせない
 課題です。
その中でもVC(ベンチャーキャピタル)からの資金調達は、多くのスター
 トアップ企業にとって
夢のようなチャンスと言えるでしょう。しかし、投資家の信頼を
 得るためには、堅実なビジネス
プランが不可欠です。本記事では、「VC(ベンチャー
 キャピタル)」の特徴に焦点を当てながら、
成功への鍵となる「事業計画書」の重要性
 を探っていきます。

  目次
1.スタートアップ企業とは
2.ベンチャー企業とは
3.ベンチャー企業とスタートアップ企業の違い
4.VC(ベンチャーキャピタル)の役割
5.スタートアップ企業の課題
6.資金調達における事業計画書の役割と重要性
7.VC(ベンチャーキャピタル)の投資政策対応方法
8.事業計画書の作成ポイントと書き方
9.まとめ

1.スタートアップ企業とは

  いわゆるベンチャー企業の中でもスタートアップ企業とは、短期間(数年間)で数千億単位の
 価値を持つ会社にしたり、世界中にイノベーションを巻き起こすビジネスモデル・技術革新を実
 現したりする会社のことです。
 このため、スタートアップ企業のビジネスモデルには技術系のアイデアを持つ企業が多くなって
 います。
  スタートアップ企業の特徴は以下のようになっています。
  1)目的
    スタートアップ企業の目的は、世界規模でのイノベーションを起こし、短期間で投資資金
    を回収するとともに大きな利益を上げることです。
    一般的なイグジット(投じた資本の回収手段)の手段としては、以下の手法になります。
    (1)IPO(株式公開)
      IPOとは(Initial(最初の)Public(公開の)Offering(売り物)の略で、新規に
      株式を証券取引所に上場し、投資家に株式を取得させることでイグジットを成功させ
      る手法です。
     (メリット)
      ・直接金融市場からの資金調達
      ・知名度UP
      ・社会的な信用UP
      ・優秀な人材の確保  等
     (デメリット)
      ・上場準備に時間とコストがかかる
      ・短期的な結果が求められる(維持・向上)
      ・上場維持コスト/ディスクロージャー対応 等
   (2)M&A((合併・買収)
     他の事業会社・投資会社に株式や事業を譲渡することでイグジットを成功させる手法
     です。
     (メリット)
      ・「のれん」代も加わる株式譲渡益
      ・事業継続・拡大
      ・従業員の雇用確保、継続・安定  等
     (デメリット)
      ・想定価格での譲渡が不確定
      ・取引先、お客様からの信用低下懸念
      ・経営権限縮小
      ・社員モチベーション低下     等
  2)急成長
   短期間での急成長を目指すため、成長曲線はいわゆる「Jカーブ」となります。
   立ち上げ当初は、商品・サービスの開発や各種ビジネス環境整備のため、かなりの費用が
   かかります。売上向上・利益確保までの期間にどう資金調達を行うかが課題となります。
  3)イノベーション
   新技術革新により、まったく新しいビジネスモデルを創出し、世界的にイノベーションを
   巻き起こす新しい価値を提供することが、スタートアップ企業のおきな目的です。顧客満
   足度の高い、マーケットの要望に応える未知の商品・サービスの提供が必須となります。
  4)資金調達先
   スタートアップ企業の目的・手法からいって、VC(ベンチャーキャピタル)やエンジェル
   投資家などが主な資金調達先となります。
   最近では、「株式投資型クラウドファンディング」なども多くなってきています。
  5)組織体制/構成メンバー
   短期間での急成長が目的となるので、即戦力なメンバーが組織の主体となります。
   集まってきたメンバーに報いるため、ストックオプション等のインセンティブも必要になる
   でしょう。
   また、経営者はそのハイレベルなメンバーのモチベーションを上げ、目的に導くマネジメン
   トスキル・人間的魅力を持つことが必須となります。
  
  コロナやウクライナ危機にみまわれている今、日本経済は低迷し世界的にみても今後の経済・
  自然環境・生活基盤が不透明となっています。
  こんな時期こそ、イノベーションを通じて世界中の人々の生活・雇用・社会環境を変革させら
  れるスタートアップ企業の増加が期待されているといえるでしょう。

2.ベンチャー企業とは

  「ベンチャー企業」についての明確な定義はありませんが、経済産業省では「ベンチャー」の
  意味を以下のように定義しています。

  「ベンチャーとは、新しく事業を起こす「起業」に加えて、既存の企業であっても新たな事業
  へ果敢に挑戦することを包含する概念である。
  ベンチャーは、産業における新成長分野を切り拓く存在であり、雇用とイノベーションを社会
  にもたらす、経済活力のエンジンである。」
    (出典:経済産業省 「平成26年 ベンチャー有識者会議」)

   そして、一般的に「ベンチャー企業」とは次のような特徴を持った企業をいいます。
   ・創立してからの年数が短い
   ・会社の規模(売上高、従業員数 等)がまだ発展途上
   ・既存の大企業にはない新しい事業、ニッチな事業を行っている
   ・資金は、投資会社(いわゆる「ベンチャーキャピタル」や「ファンド」等)から調達して
    いる
   ただ、既存の大企業といわれて比較される企業も、もとはといえばベンチャー企業だった例
   が多いので、未来の大企業となる可能性を秘めた企業群ともいえます。

 (ベンチャー企業の必要性について)
  1)産業の新成長分野の開拓者(新事業発見)の役割
   (健康分野)-健康増進・疾病予防、生活支援サービス、医薬品・医療機器 等
   (環境保護・クリーンエネルギー分野)-クリーン発電、蓄電池、燃料電池、次世代デバイス等
   (IT分野)-DⅩ(Digital Transformation)による製造業・農林水産業の革新 等
  2)雇用創出の役割
   いわゆる大企業(成熟した企業)での雇用削減の動きが顕著になっています。
   今まさにベンチャー企業による新規雇用創出への期待が膨らんできているといえるでしょう。
   ※アメリカでのスタートアップ企業の新規雇用創出割合は50%となっています。
    (1980-2010の年平均)
  3)イノベーション創出の役割
   新技術、ビジネスモデル等のイノベーションの多くがベンチャー企業から生まれてきています
  4)日本経済発展に寄与
   新事業創出の相乗効果により日本経済全体が活性化、発展します

  最近の事例
   新エネルギーなど自然科学研究で得た知見で社会課題解決に取り組む「Deep Tech(ディープ
   テック)」は、多額の事業資金が必要です。
   夢のエネルギー「核融合発電」の実現に向け、スタートアップ企業「京都フュージョニアリン
   グ」(KF、東京都千代田区)は、三菱商事などの事業会社やVC(ベンチャーキャピタル)
   から105億円の資金調達を実施しました。(2023.6.15)
    米国のスタートアップなどが、民間投資として数百億円から数千億円の資金調達に成功して
   いるのに対し、日本では実現可能性が不明として核融合への資金供給は乏しい状態でした。
   KFの資金調達は、核融合の産業化への兆しが日本でも見えてきたといえるでしょう。

3.ベンチャー企業とスタートアップ企業の違い

  広義ではスタートアップ企業もベンチャー企業に分類されますが、スタートアップ企業は全く
 新しいビジネスモデルを創出するところに違いがあります。
 (ベンチャー企業は既存のビジネスモデルを利用して、新しいサービスを付加する形態も多くみ
 られます)
 又、スタートアップ企業は創業からの期間が数年(2~3年程度)という企業を指すことが多い
 です。
  
 さらに、広義のベンチャー企業は企業規模的には、「中小企業」に分類されることが多いので、
 法人税率の軽減や国からの各種中小企業向け政策(補助金・助成金・給付金)を受けられるなど
 の利点があります。

4.VC(ベンチャーキャピタル)の役割

  次世代の活躍が期待されるスタートアップ(ベンチャー)企業の資金調達を支えるVC(ベン
 チャーキャピタル)は、高い成長を見込んだ未上場企業(スタートアップ企業)に先行投資しハ
 イリターンを狙った投資会社です。
 通常は、ファンド(基金)を作って出資を募り、賛同を得た投資家が出資して対象のスタートアッ
 プ企業に投資します。そして、スタートアップ企業が成長し、IPOやM&A等により高値で株式
 を売却することによりキャピタルゲイン(売却益)を獲得します。

  VC(ベンチャーキャピタル)による資金調達は、銀行融資による借金や国の助成金・補助金な
 どによる支援などと違って、「投資」という形になります。
 従って担保提供・返済義務(銀行融資)などはありませんし、国の助成金・補助金などように申請
 時の複雑で細かな条件もありません。
 まさにスタートアップ企業の目的と実態にあった資金調達方法といえましょう。

  但し、最近は国の方でもベンチャービジネスについては、日本経済に活力を与え雇用創出や世界
 にイノベーションをもたらすという意味で、強力に後押しする方向で動いています。
  (経済産業省:新規事業・スタートアップ など)
     https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/index.html

5.スタートアップ企業の課題

 1)スタートアップにチャレンジする人材が少ない
  日本ではまだまだ世界にイノベーションを起こすような新しいビジネスにチャレンジする人材
  が圧倒的に少なく、欧米やアジアとの格差が拡大しています。
 2)VC(ベンチャーキャピタル)がまだ少ない
  今まで主な資金提供者であった金融機関は、リスクをとらない政策を長く行ってきたため、ベ
  ンチャービジネスに対しては積極的な姿勢にないことが多いようです。
  但し、直近10年間の国内VC投資額は増加してきていて、2021年度は過去最高のVC投
  資額となっています。しかし、まだまだ世界と比較すると周回遅れの感は否めません。
   又、VC(ベンチャーキャピタル)側もまだまだ技術系ベンチャーの将来性を見極める能力
  の高い人材が少なく、量・質ともに増加が必要です。
  今現在では、アメリカ・中国・韓国に比べてかなり劣っているといえるでしょう。
 3)ビジネスモデルがグローバル化に対応できていない
  日本国内市場向けのビジネスモデルは多少増えてきていますが、世界市場をターゲットにした
  グローバルな技術イノベーションを創出するポテンシャルのあるスタートアップ(ベンチャー)
  企業はまだまだ少ないのが現状です。
   日本のハードウェア系の「Deep Tech(ディープテック)」は世界でも競争力はあるので、
  大学や専門の研究機関による積極的なベンチャー参加が求められています。
 4)地方発のスタートアップ企業が少ない
  IT(通信技術)の発達によって、首都圏と地方のビジネス環境の差は縮小していますが、やは
  り地方発のスタートアップ企業創設はまだ進んでいません。
 5)行政によるベンチャー企業支援策が不足している
  上述のように、これまで政府によるベンチャー支援策はいろいろと実施されてきましたが、まだ
  まだ十分とはいえない状況です。

6.資金調達における事業計画書の役割と重要性

  事業計画書は、起業家が自らのビジネスに対するビジョンや目標、戦略を明確に記した重要な
 文書です。ベンチャーキャピタルにとっては、この事業計画書が投資判断の決め手となります。具
 体的な数値データや市場分析、競合他社の情報など、リスクを適切に評価するために必要な情報が
 含まれています。また、事業計画書を作成することで、起業家自身も事業の可能性や課題を客観的
 に把握し、経営戦略をより具体化することができます。

  スタートアップ(ベンチャー)ビジネスを起業するには、VC(ベンチャーキャピタル)等の資
 金提供者から資金を調達することが重要な第一歩となります。
 「将来成長が見込まれ、必ずキャピタルゲイン(リターン)がある」という評価が絶対不可欠な条
 件となります。つまり、今後大きく成長が期待できる企業ということをわかりやすく示すことが必
 要です。従って、その評価を確固たるものにする事業計画書の作成が一番重要なポイントとなり
 ます。

7.VC(ベンチャーキャピタル)の投資政策対応方法

  ベンチャーキャピタルはそれぞれ異なる投資政策を持っています。したがって、起業家はターゲ
 ットとなる投資家に合わせて事業計画書をカスタマイズすることが重要です。投資家が関心を持つ
 業界や市場に合わせて戦略を練り、彼らが求める情報を的確に提供することで、投資を引き寄せる
 ことができるでしょう。

8.事業計画書の作成ポイントと書き方

 1)スタートアップ(ベンチャー)ビジネスとして事業計画書を作成する際の留意点
  (1)成長性(将来性)重視
   ・既存会社の事業計画書では過去の実績をもとにした数値がありますが、スタートアップ(
    ベンチャー)企業にはありません。従って、対象事業が将来どれだけ可能性があり、成功
    時のリターンがどれだけ見込まれるかを示す必要があります。
   ・VC、ファンドによっては重視ポイントが違う場合があるので、それぞれに合わせた事業
    計画書が必要になります。
  (2)独自性重視
   ・ある事業分野で革新的なイノベーションを起こそうとするわけですから、その事業の独自
    性(世界に与えるインパクト、提供サービスのオリジナリティ、同業他社との競争力等)を
    強調する必要があります。
  (3)市場ニーズ重視
   ・目指すビジネスモデルが現在及び将来の市場ニーズに合っていなければ、合理的な納得性
    は得られません。市場ニーズの裏付けを明確にする必要があります。
 2)事業計画書の書き方のポイント
  (1)事業計画書の作成目的を明確にする(誰に見てもらい、何を知ってもらうか)
   ①資金調達(融資・補助金・出資・投資・事業承継等)の為
   ②自社の事業計画を社内に説明・周知する為
   ③関連者に事業内容を紹介する為
  (2)実現可能な事業計画書を作成する(裏付け・根拠のあるもの)
  (3)資金提供側の立場を考慮する
   資金提供側の審査担当者は、社内で決裁を通す為に別途稟議書を書いています。
   ・稟議書が書きやすいような、説明しやすい事業計画書
   ・稟議を通したくなる事業内容、経営者(人物)であることをアピール
 3)事業計画書の項目別記載内容
   提出先・利用目的・記入するフォーマット等で異なりますが、一般的に記載する項目は以下
   のとおりです。これらの項目について確認・調査・分析しわかりやすくまとめて準備しなけ
   ればなりません。
  (1) エグゼクティブサマリー
   ・ビジネスの概要、目標、主な戦略~
  (2)会社のプロフィール
   ・会社概要、組織構成、事業構成、沿革/創業の経緯、強みと特徴~
  (3)経営者のプロフィール(※魅力ある経営者像)
   ・事業経歴、実績、人間性、特技~(事業の成功を確信させるような内容)
  (4)事業コンセプト、ミッション
   ・会社の使命、ビジョン、ビジネスモデル、提供製品やサービス、競争優位性~
  (5)マーケット・取扱いしている商品・ターゲット、サービス・ビジネスモデル・戦略・自社の
    製品が売れる理由・競合する他社の分析~
  (6)会社の強み・弱み(SWOT分析)
  (7)取引先・顧客との関係、ビジネス状況(売上予定の見込が確実か)
  (8)役員構成・従業員・組織体制と運営(会社は人が全て)
  (9)事業見通し(数値目標)、財務計画、資本政策
   ・収益予測、費用予測、収支予測、キャッシュフロー予測、税務・会計の課題などは、投資家
    や金融機関にとって最も重要で大切な部分です。
   ・決算書・試算表・資金繰り表・返済予定表等前後3期分程を分析し、事実の確認と検証が
    必須
 (10)今後の世界情勢(事業環境・社会・政治・経済・技術・法律)分析による事業成功の裏付け
 (11)その他
   ・多忙な融資担当者が理解し、見やすい形に(例:概要はA3用紙1ページ)
   ・極力整理して冗長化を防ぐ
   ・図やグラフなどを用いてビジュアル的にわかりやすく
  ※最終的には、経営者の熱意がどう伝わるかにかかわってきます

  事業計画書には決まった書式やフォーマットはありません。基本的には自由に書いて良いとされ
 ていますが、1から全て自分で作るのではなく、プロが作成したフォーマットやテンプレートを利
 用することがおすすめです。具体的な書き方やフォーマットがわからないなら、事業計画書作成を
 サポートする専門家を紹介してもらい、アドバイスをうけるのも良いでしょう。
  ネット上では無料の事業計画フォーマットなどもダウンロードすることが出来ますが、やはり
 プロのコンサルタントが個社に応じたフォーマットで作成する事業計画書に勝るものはありません。

事業計画書の書き方及び作成代行を利用するメリットについては、当ブログ内
 に参考となる記事がありますので、以下のページをご参照下さい。
  →  【成長戦略のカギ】事業計画書の書き方と資金調達への活用法

9.まとめ

  ここまで説明しましたように、スタートアップ企業(ベンチャービジネス)を起業し成功させ
 るためには、目的に合った精緻な事業計画書の作成が最も重要なポイントとなります。
 VC(ベンチャーキャピタル)等の出資者向け「事業計画書」の作成作業を短期間に進めていく
 のは、思った以上に大変な作業となります。当然、複数の人間が携わりますので、スケジュール
 調整も絶えず行う必要があります。又、スタートアップ企業の起業を目的とした事業計画書の作
 成はそんなに頻繁にあるものではありませんし、経験が豊富で完璧に書く自信のある人はあまり
 いないのが実情ではないでしょうか。

  シビアに検討しているVC(ベンチャーキャピタル)等の出資者を納得させる事業計画書を作
 成することは、大変困難な作業となります。それなりの経験と知識及びテクニックが必要となり
 ますので、外部の事業計画書作成の専門家(コンサルタント)の活用も資金調達成功の早道とい
 えるでしょう。

当バルクアップコンサルティング社は、全員が日本及び世界のトップコンサルティングファ
 ームで経験を積んだトップコンサルタントであり真のプロフェッショナル集団です。資金調
 達における事業計画書の作成や事業展開にお悩みの場合は是非一度ご相談下さい。

(事業計画書作成の作成代行サービスについてはこちら)
  →  バルクアップコンサルティング社 事業計画書作成サービス

(バルクアップコンサルティング社の概要についてはこちら)
  →  バルクアップコンサルティング株式会社

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