【資金調達の新たな可能性】 エクイティ・ファイナンスと事業計画書の戦略的活用

VC・投資家出資

 起業やビジネスの拡大を考える際、資金調達は大きな課題です。その中でも注目される
のがエク
イティ・ファイナンスという手法です。本記事では、エクイティ・ファイナンス
の特徴に焦点をあ
てつつ、成功に導く重要な要素である事業計画書の書き方と作成代行の
メリットについて解説し
ます。
 成功に向けての一歩を踏み出すための指針として、ぜひ参考にしてください。

  (目次)
1.エクイティファイナンスの特徴と種類
2.エクイティファイナンスの新しい動き
3.エクイティファイナンスのメリットとデメリット
4.エクイティファイナンス活用の留意点
5.成功のカギを握る事業計画書
6.事業計画書の書き方と留意点
7.事業計画書を作成するメリット
8.事業計画書作成代行のメリット

1.エクイティファイナンスの特徴と種類

  エクイティファイナンス(Equity Finance)とは、企業が新株発行を通じて資金を調達する方法
 で、エクイティ(株式資本、自己資本)を増加させることからこの名称となっています。(貸借対
 照表上の「資本(純資産)」が増加します)
 投資家はその対価として企業の成長や利益の増大を期待します。
  金融機関からの融資(負債)とは異なり返済の義務がないところから、スタートアップ・ベンチ
 ャー・ポストコロナを見据えた事業転換・事業化までに時間のかかるビジネス・中長期的な研究開
 発等のチャレンジングな事業に取り組む際の資金調達方法として多く活用されています。

2.エクイティファイナンスの新しい動き

 1)クラウドファンディングの拡大
   クラウドファンディングは、インターネットを通じて多数の個人投資家から資金調達を行う方
  法であり、新しいエクイティファイナンスの形態の一つとして注目を集めています。クラウドフ
  ァンディングは、資金調達の手段が限られる中小企業などにとって、有効な資金調達手段となっ
  ています。
 2)ESG投資の増加
   環境、社会、ガバナンス(ESG)の観点から企業の価値を評価し、投資を行うESG投資が注目
  されています。ESG投資は、投資家が企業の社会的責任や環境問題に対する姿勢などを重視する
  ことで、企業の長期的な成長や利益の向上を期待する投資手法です。ESG投資の増加は、企業が
  社会的責任を果たすことで社会的価値を高め、株主価値の向上につながるという考え方が広がり
  つつあります。
 3)デジタル技術の活用
   エクイティファイナンス市場においても、デジタル技術の活用が進んでいます。例えば、証券
  発行プラットフォームを利用することで、企業が効率的に株式を発行することができるようにな
  っています。また、ブロックチェーン技術を活用することで、証券取引の分散化やトランスペア
  レンシー(Transparency=情報の透明性)向上が期待されています。デジタル技術の活用によっ
  て、エクイティファイナンス市場の取引の透明性や効率性が向上することが期待されています。

3.エクイティファイナンスのメリットとデメリット

4.エクイティファイナンス活用の留意点

 1)コストの高い資金調達
  ・元金返済、利息支払がない代わりに、配当金の支払いや株価維持・向上、株式買戻し時の費用
   等、融資等のデットファイナンスよりもコストが高くなることがあります。
  ・緻密な事業計画作成、事業の進捗管理や出資者への定期報告等、時間と業務負担も多くかかり
   ます。
 2)リスクマネーの認識
  ・出資者はリスクの高い投資を行っているわけですから、経営への取組(事業成功への)に対し
   ては真摯に誠実に実行している姿を見せなければなりません。共にリスクを共有したステーク
   ホルダーであるという認識が必要です。
 3)選択肢は多く
  ・創業時(シード期)には、調達可能な金額や着金までの期間(融資よりも長め)も考慮して、
   エクイティ以外にデット(融資)などの選択肢も用意しておいた方が良いでしょう。

5.成功のカギを握る事業計画書

  事業計画書とは、会社の事業コンセプト・企業戦略・事業内容・組織体制・運営方法・行動計画
 ・売上や利益等の数値目標などを記載した書類(計画書)のことです。
 金融機関や投資家から資金調達(融資・出資等)する時や社内に今後の事業計画を説明・周知する
 際に利用します。
 エクイティファイナンスの資金提供者側は、対象企業の財務体質の改善等を期待するのと同時に将
 来的に各種利益(インカムゲイン・キャピタルゲイン等)を得ることを目的としています。
  従って、対象企業についてはシビアに調査・分析するのは必然といえます。

  財務状態や将来性を判断する材料として、決算書やその他の経営状態を確認する多数の書類に加
 えて、将来の事業の姿を可視化・文章化したものである「事業計画書」が大きな役割を果たします。
 創業後数年経過した企業において資金調達を予定している場合は、リアルで納得性のある数字を入
 れることが必須になります。決算の状況としてB/SやP/Lがどんな推移になっているのか、そして将
 来にはどの程度まで成長をするのかをキチンと見せる必要があります。
  まさにエクイティファイナンス成功のカギは「実現性のある事業計画書」と経営者のプレゼン能
 力(熱意、覚悟)にあるといえるでしょう。

6.事業計画書の書き方と留意点

 事業計画書の書き方のポイントは以下のとおりです。
  1)事業計画書の作成目的を明確にする(誰に見てもらい、何を知ってもらうか
    ①資金調達(融資・補助金・出資・投資・事業承継等)の為
    ②自社の事業計画を社内に説明・周知する為
    ③関連者に事業内容を紹介する為
  2)実現可能な事業計画書を作成する(裏付け・根拠のあるもの)
  3)資金提供側の立場を考慮する
    資金提供側の審査担当者は、社内で決裁を通す為に別途稟議書を書いています。
   ・稟議書が書きやすいような、説明しやすい事業計画書
   ・稟議を通したくなる事業内容、経営者(人物)であることをアピール

 <事業計画書の項目別記載内容>
   提出先・利用目的・記入するフォーマット等で異なりますが、一般的に記載する項目は以下の
  とおりです。これらの項目について確認・調査・分析しわかりやすくまとめて準備しなければな
  りません。
  (1) エグゼクティブサマリー
    ビジネスの概要、目標、主な戦略
  (2)会社のプロフィール
   ・会社概要
   ・組織構成、事業構成
   ・沿革/創業の経緯
   ・どんな強みと特徴を持った会社なのか
  (3)経営者のプロフィール(※魅力ある経営者像)
   ・事業経歴、実績、人間性、特技 ~ 、事業の成功を確信させるような内容
  (4)事業コンセプト、ミッション
   ・会社の使命、ビジョン、ビジネスモデル、提供製品やサービス、競争優位性~
  (5)マーケット・取扱いしている商品・サービス・ビジネスモデル・戦略・自社の製品が売れる
    理由・競合する他社の分析~
   ・誰(ターゲットとする顧客)に何をどんな方法で販売するのか
   ・マーケティングと販売(営業)戦略、価格や店舗の戦略など
   ・インターネットによる検索等をう幕活用することも大事です
  (6)会社の強み・弱み(SWOT分析)
  (7)取引先・顧幕活用することも大事です上予定の見込が確実か)
  (8)役員構成・従業員・組織体制と運営(会社は人が全て)
  (9)事業見通し(数値目標)、財務計画、資本政策
   ・目標となる数値には必ずデータに基づいた根拠があること。特に売上と利益の算定根拠が客
    観的に裏付けのある数字であること
   ・収益予測、費用予測、収支予測、キャッシュフロー予測、税務・会計の課題など、将来の財
    務の状況を予測します。
     事業の収支をみて、貸したお金が返済されるかどうかの判断に必要とされる為、このセク
     ションは投資家や金融機関にとって最も重要で大切な部分であり、リアリスティックで詳
     細な予測が求められます。
   ・経営者が自力で財務を管理できるかどうかも重要です。
   ・どのように売上を上げていくのか、コスト(原価や費用)はどのくらいかかるのか、設備など
    への投資は必要か等も数値計画を立てる必要があります。

  (事実の確認と検証が必須)
   ・決算書・試算表・資金繰り表・返済予定表等前後3期分くらいを分析
  (過去の振り返りで自己の特徴や経営の問題点を把握することが大事)
   ・売上と利益のバランスが良いこと(特に利益は必ず返済する額より多いこと)
   ・役員報酬/人件費が妥当であること
   ・人件費に関するもの以外の経費にムダがないこと
   ・資金計画は綿密に(返済計画と矛盾しないこと)
   ・資本政策では、理想的な「株主構成」「資金調達」の実現を目指します。
   ・できれば5年後のビジョンにも言及
  (10)今後の世界情勢分析による事業成功の裏付け
   ・現在そして今後の世界(事業環境・社会・政治・経済・技術・法律)情勢見通しと、その中
    にあってこの事業が成り立ち、成功する確信があることをアピール
   ・「PESTLE分析」の活用
  (11)その他
   ・多忙な融資(出資)の担当者がすぐに理解し、見やすい形にする
    (例:概要はA3用紙1ページ)
   ・極力整理して冗長化を防ぐ
   ・図やグラフなどを用いてビジュアル的にわかりやすく
  ※最終的には、経営者の熱意がどう伝わるかにかかわってきます

  事業計画書には決まった書式やフォーマットはありません。基本的には自由に書いて良いとされ
 ていますが、1から全て自分で作るのではなく、プロが作成したフォーマットやテンプレートを利用
 することがおすすめです。具体的な書き方やフォーマットがわからないなら、事業計画書作成をサ
 ポートする専門家を紹介してもらい、アドバイスをうけるのも良いでしょう。
  ネット上では無料の事業計画フォーマットなどもダウンロードすることが出来ますが、やはりプロ
 のコンサルタントが個社に応じたフォーマットで作成する事業計画書に勝るものはありません。

7.事業計画書を作成するメリット

 1)自社の今後の方向性を明確なものにし、強み・弱み・課題などを含めて具体的に可視化して社
   内共有することができます。
 2)会社・経営者の考えが社内統一され、社員は迷うことなく事業を推進できます。
   特に幹部社員は当事者意識・責任感が強くなります。
 3)事業計画書作成を経験することで、経営者・幹部社員の能力レベル(スキル)がUPします。
   事業計画書を作成する為には、以下のことを確認・調査・分析しわかりやすくまとめなければ
   なりません。
    会社のビジョン/自社の業務内容/自社製品(サービス)の強み、弱み/経営資源(人材)
    /顧客/目標/社内体制/各事業の責任者/課題及びその取り組み/具合的な業務計画/
    損益計画/返済計画 など
   このような作業を通して、経営者・幹部社員ひいては全社員の能力レベル(スキル)がUP
   します。
 4)問題解決力がつきます。
   不測の事態・難問が出てきても、事業計画書を上述のように社員全員で理解していれば、裏付
  けのある問題解決案が出やすくなります。

 <事業計画書の他の活用方法>
  事業計画書は、資金調達だけでなく、企業の内部経営にも役立てることができます。具体的には、
  経営陣や従業員が企業のビジョンや目標を共有し、一致団結して取り組むための指針となること
  が挙げられます。また、事業計画書を作成するプロセス自体が、企業の現状分析や市場リサーチ、
  戦略立案に役立ちます。

 最新のトレンドにも目を向ける>
   ①デジタル化やテクノロジーの活用
   ②環境・社会・ガバナンス(ESG)への配慮
   ③グローバル市場での競争力強化
  これらの要素を取り入れた事業計画書は、投資家に対して企業の先見性や持続可能なビジネスモ
  デルをアピールできるため、資金調達の成功確率を高めることができます。

8.事業計画書作成代行のメリット

  審査が厳しくなっている資金提供者(エクイティファイナンスにおける買い手側企業)を納得さ
 せるような事業計画書の作成作業を短期間に進めていくのは、思った以上に大変な作業となります。
 当然、複数の人間が携わりますので、スケジュール調整も絶えず行う必要があります。又、エクイ
 ティファイナンスを目的とした事業計画書の作成はそんなに頻繁にあるものではありませんし、経験
 が豊富で完璧に書く自信のある人はあまりいないのが実情ではないでしょうか。

  一つの解決方法として、それなりの経験と知識及びテクニックを持つ外部の事業計画書作成の専門
 家(コンサルタント)に作成代行を依頼する方法もあります。専門的な知識と経験を持ったプロが最
 適な計画書を作成し、提出までのスケジュール管理も行ってくれます。まさに、資金調達成功の早道
 といえるでしょう。

 事業計画書を外部の専門コンサルタントに依頼するメリット
 ①専門知識を持っていないオーナーでも、適切で質の高い事業計画書が作成可能です。
 ②自社内では気づきにくい問題点や改善点を指摘してくれる可能性があります。
 ③事業計画の中立性を保つことにより、客観的な視点を失うことがありません。
 ④最新のトレンドやベストプラクティス(成功事例)を取り入れることが可能です。
 ⑤専門的なノウハウやツールを使った分析や調査により、自社内で行うよりも効率的・正確な情
  報の収集が可能です。
 ⑥時間・社内リソースが不足していても、迅速かつ効率的に事業計画書を作成することができます。
 ⑦専門コンサルタントが作成することで、出資者や金融機関などへの強いアピールを行うことがで
  きます。

事業計画書の書き方及び作成代行を利用するメリットについては、当ブログ内
に参考となる記事がありますので、以下のページをご参照下さい。
→  【成長戦略のカギ】事業計画書の書き方と資金調達への活用法

当バルクアップコンサルティング社は、全員が日本及び世界のトップコンサルティングファ
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(事業計画書作成の作成代行サービスについてはこちら)
  →  バルクアップコンサルティング社 事業計画書作成サービス

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