【事業承継の成功を支える】 事業計画書の重要性とプロによる作成代行のメリット!

M&A

  事業承継は企業の存続と成長において重要なターニングポイントです。成功するため
 には、事業計画書の作成が不可欠ですが、その書き方や内容には注意が必要です。本記
 事では、事業承継の特徴に焦点を当て、資金調達における事業計画書の重要性について
 解説します。また、専門家による作成代行のメリットも紹介します。事業承継に取り組
 む経営者や後継者・投資家の方々にとって必読の内容となっています。

  (目次)
1.後継者難の現状
2.「事業承継M&A」による解決
3.M&Aのメリット、デメリット
4.事業計画書の重要性
5.事業計画書の書き方
6.まとめ

1.後継者難の現状

  後継者難の状態にある中小企業の増加が社会問題になっています。
 2023年上半期(1-6月)の後継者不在に起因する「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は209件
 (前年同期比7.1%減)で、上半期では2年ぶりに前年同期を下回りました。しかし、2013年以降
 最多だった前年同期(225件)に次ぐ2番目の多さで、依然として高水準となっています。
  高齢の経営者が業績不振や事業意欲の喪失で後継者探しを諦めるケースも増えています。

(出典:東京商工リサーチ「2023年上半期(1-6月)の「後継者難」倒産」2023/07/10)
     https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197796_1527.html

2.「事業承継M&A」による解決

 1)代表者の就任経緯状況
  代表者の就任経緯では買収や出向を中心にした「M&Aほか」の割合が上昇していて、「非同族」
  が首位となっています。
  つまり、「脱ファミリー化」が加速し「事業承継M&A」という手段が増えてきているわけです。
 2)事業承継の類型

  中小企業の経営者の高齢化が進んでいて、経営者年齢のピークはこの20年間で50代から60~70代
  へと大きく上昇しています。
  また、後継者不在は近年増加する中小企業の廃業の大きな要因の一つとなっています。
   ・経営者年齢のピークは60~70代
   ・後継者不在率は70代経営者でも約40%
   ・廃業件数が増加する中、6割が黒字にも関わらず廃業
   ・廃業理由の3割が後継者難

  一方、事業承継による世代交代やM&Aによる規模拡大は企業の成長に効果的で、中小企業の活力
  の維持・発展のために不可欠な解決方法となっています。
   ・同業平均値と比較した事業承継実施企業の当期純利益成長率は約20%高い
   ・M&A実施企業は労働生産性が高い

 (出典:中小企業庁 「財務サポート 「事業承継」」)
   https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/know_business_succession.html

 3)M&Aの手法
  M&Aとは、英語の「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略です。 
  一般的に「企業の合併・買収」(資本の移動や資本参加を伴う「資本提携」)のことですが、M
  &Aを実現する手法は、いくつかに分かれます。

 4)今、脚光を浴びるM&A
   後継者不在により困難になっている事業承継ですが、その解決手段としてM&Aによる事業承継
  が脚光を浴びています。その理由は、
  ①経営者の高齢化と後継者不足
   多くの企業において、経営者の高齢化が進んでおり、後継者不足が深刻化しています。このた
   め、事業承継を行う必要性が高まり、M&Aが選択肢の1つとして注目されています。
   加えて、コロナ禍による影響で事業継続が困難となった企業が事業承継を選択するケースも見受
   けられます。
  ②規模拡大と競争力強化
   競争が激しい現代社会において、企業は規模拡大を図り、ブランド力の向上やコスト削減、経
   営効率化などを目的としてM&Aを活用することが多くなっています。
  ③事業多角化/新規事業展開
   単一の業態に偏った事業はリスクが高く、景気変動の影響を受けやすい傾向があります。M&A
   により、複数の業態を抱えることで、事業リスクを分散し、安定的な収益源を確保することが
   できます。
   特にデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や新たな事業領域の開拓のため、異業種
   間のM&Aが増えています。
   又、海外市場への進出は事業拡大やグローバルなブランド力の向上につながるとされています。
  ④資本政策の選択肢/資本力の強化
   M&Aを通じて資本政策を選択することができます。例えば、買収企業の株式を発行して新株
   予約権を与えることで、資金調達が可能になります。また、M&Aを通じて株主価値を向上さ
   せることができます。
  ⑤人材の確保
   現在、全ての業態において人材不足が深刻な課題となっています。M&Aにより、人材の確保や
   育成によって、企業の成長が期待されます。
  ⑥ブランド力の向上
   例えば、有名なチェーン店を買収することで、買収先のブランド力を自社に取り込むことがで
   きます。これにより、買収した企業の知名度を上げることができ、競争力が強化されます。
  ⑦デジタル化の進展
   M&Aや事業承継のプロセス自体もデジタル化が進んでいます。特に、デューデリジェンス
   (事前調査)のプロセスでは、AIやビッグデータ分析の活用が増えています。
  ⑧ESG投資の影響
   環境、社会、ガバナンス(ESG)への配慮が増える中で、これらの観点からのM&Aも増加し
   ています。企業の社会的責任を果たすためのM&Aや、サステナブルな成長を目指す企業間の
   結合が進んでいます。
  ⑨M&Aのイメージ向上
   経済産業省や民間企業による、事業承継の選択肢としてのM&Aを推進する動きやM&Aのプラ
   ットフォーム(各都道府県に事業引継ぎ支援センターが設置等)の出現等により、M&Aのイ
   メージが大きく変わりました。
   これにより、中小企業でも第三者に引き継ぐM&Aという選択肢が身近なものになってきました。
  ⑩従業員の雇用
   ほとんどの場合、M&A後でも従業員の雇用が確保されています。
  ⑪公的機関のサポート急増
   公的機関・民間支援機関のサポート急増中しており、中小企業のM&Aへの取組が右肩上がり
   で増加しています。
   又、最近では、メガバンクをはじめとする金融機関が事業承継を後押しする動きが加速してき
   ています。

  コロナ禍という未曽有の危機に遭遇し、自社事業の将来性に改めて向き合った中小企業が多い中
  で、上述のような事業承継メニューやプラットフォームが全国的に整ったことも、事業承継問題
  の解決・改善が大きく進んだ理由と思われます。

3.M&Aのメリット、デメリット

  中小企業の事業承継手段として増加しているM&Aですが、もちろん買い手・売り手双方の立場
 から見てのメリット・デメリットがあります。

 これらのメリット・デメリットを十分認識したうえで、M&A実施を判断する必要があります。

4.事業計画書の重要性

  M&A実施のプロセスでは、事業計画書の役割はかなり重要なものとなります。
 なぜなら、M&A価格やPMI(Post Merger Integration買収後の経営統合作業)方針の決定の最
 も重要な要素となるからです。

  M&Aの事業計画書作成は、買い手企業側が作成する場合と売り手企業側が作成する場合があり
 ます。
 事業計画書は、当然会社の経営理念・ビジョン・事業推進計画・数値目標(売上/収益見込)・各
 組織体制/目標などを文章化・可視化したものです。
 従って、実現性のある事業計画書を作成する主体は買い手側企業(事業を継続する企業)にあると
 いえるでしょう。
 (売り手側経営者がM&A後も社長として経営を継続する場合は、売り手企業側で作成することも
  あります)

 (M&Aの買い手企業として事業計画書を作成する際の留意点
   1)売り手側の意に沿っているか
   2)デューデリジェンス内容の見直し
   3)M&A価格の妥当性確認
   4)決算書等では見えない企業価値(マイナス面も含め)の確認
   5)PMI(買収後の経営統合作業)との整合性

5.事業計画書の書き方

  事業計画書の書き方のポイントは以下のとおりです。
 1)事業計画書の作成目的を明確にする(誰に見てもらい、何を知ってもらうか
   ①資金調達(融資・補助金・出資・投資・事業承継等)の為
   ②自社の事業計画を社内に説明・周知する為
   ③関連者に事業内容を紹介する為
 2)実現可能な事業計画書を作成する(裏付け・根拠のあるもの)
 3)資金提供側の立場を考慮する
   資金提供側の審査担当者は、社内で決裁を通す為に別途稟議書を書いています。
   ・稟議書が書きやすいような、説明しやすい事業計画書
   ・稟議を通したくなる事業内容、経営者(人物)であることをアピール

 <事業計画書の項目別記載内容>
  提出先・利用目的・記入するフォーマット等で異なりますが、一般的に記載する項目は以下の
  とおりです。これらの項目について確認・調査・分析しわかりやすくまとめて準備しなければ
  なりません。
   (1) エグゼクティブサマリー
    ・ビジネスの概要、目標、主な戦略~
   (2)会社のプロフィール
    ・会社概要、組織構成、事業構成、沿革/創業の経緯、強みと特徴~
   (3)経営者のプロフィール(※魅力ある経営者像
    ・事業経歴、実績、人間性、特技~(事業の成功を確信させるような内容)
   (4)事業コンセプト、ミッション
    ・会社の使命、ビジョン、ビジネスモデル、提供製品やサービス、競争優位性~
   (5)マーケット・取扱いしている商品・ターゲット、サービス・ビジネスモデル・戦略・自社
    の製品が売れる理由・競合する他社の分析~
   (6)会社の強み・弱み(SWOT分析)
   (7)取引先・顧客との関係、ビジネス状況(売上予定の見込が確実か)
   (8)役員構成・従業員・組織体制と運営(会社は人が全て)
   (9)事業見通し(数値目標)、財務計画、資本政策
    ・収益予測、費用予測、収支予測、キャッシュフロー予測、税務・会計の課題などは、投
     資家や金融機関にとって最も重要で大切な部分です。
   ・決算書・試算表・資金繰り表・返済予定表等前後3期分程を分析し、事実の確認と検証が
    必須
  (10)今後の世界情勢(事業環境・社会・政治・経済・技術・法律)分析による事業成功の裏付け
  (11)その他
    ・多忙な融資担当者が理解し、見やすい形に(例:概要はA3用紙1ページ)
    ・極力整理して冗長化を防ぐ
    ・図やグラフなどを用いてビジュアル的にわかりやすく
  最終的には、経営者の熱意がどう伝わるかにかかわってきます

  事業計画書には決まった書式やフォーマットはありません。基本的には自由に書いて良いとされ
 ていますが、1から全て自分で作るのではなく、プロが作成したフォーマットやテンプレートを利
 用することがおすすめです。具体的な書き方やフォーマットがわからないなら、事業計画書作成を
 サポートする専門家を紹介してもらい、アドバイスをうけるのも良いでしょう。
  ネット上では無料の事業計画フォーマットなどもダウンロードすることが出来ますが、やはりプロ
 のコンサルタントが個社に応じたフォーマットで作成する事業計画書に勝るものはありません。

事業計画書の書き方及び作成代行を利用するメリットについては、当ブログ内
 に参考となる記事がありますので、以下のページをご参照下さい。
  → 【成長戦略のカギ】事業計画書の書き方と資金調達への活用法

6.まとめ

  ここまで説明しましたように、事業承継の一つであるM&Aを成功させるためには目的に合った
 精緻な事業計画書の作成が最も重要なポイントとなります。
 「事業計画書」作成作業を短期間に進めていくのは、思った以上に大変な作業となります。当然、
 複数の人間が携わりますので、スケジュール調整も絶えず行う必要があります。又、M&Aを目的
 とした事業計画書の作成はそんなに頻繁にあるものではありませんし、経験が豊富で完璧に書く自
 信のある人はあまりいないのが実情ではないでしょうか。

  M&A後の事業目論見をシビアに検討している買い手側企業を納得させる事業計画書を作成する
 ことは、大変困難な作業となります。それなりの経験と知識及びテクニックが必要となりますので、
 外部の事業計画書作成の専門家(コンサルタント)の活用もM&A成功の早道といえるでしょう。

当バルクアップコンサルティング社は、全員が日本及び世界のトップコンサルティングファ
 ームで経験を積んだトップコンサルタントであり真のプロフェッショナル集団です。資金調
 達における事業計画書の作成や事業展開にお悩みの場合は是非一度ご相談下さい。

(事業計画書作成の作成代行サービスについてはこちら)
 →  バルクアップコンサルティング社 事業計画書作成サービス

(バルクアップコンサルティング社の概要についてはこちら)
 →  バルクアップコンサルティング株式会社

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