資本性劣後ローン:融資審査は事業計画書がカギ!

銀行融資

融資でありながら金融機関からは「自己資本」とみなされるローン
このローン利用は事業計画書作成が必須要件!

政府系金融機関(日本政策金融公庫、商工中金)で取り扱っている「新型コロナ対策資本性劣後ローン」は、新型コロナウイルス感染症により深刻な影響を受けている中小企業者に対し、財務体質強化を図るための資本性資金を供給する制度です。

今回はそんな「(新型コロナ対策)資本性劣後ローン」について解説していきます。

目次
1.資本性劣後ローンとは
2.資本性劣後ローン制度の概要
3.事業計画書の役割

1.資本性劣後ローンとは

資本性劣後ローンとは、法的倒産時に他の負債よりご返済の順位が劣後する「資本的な性格をもった劣後ローン」のことを言い、借入をしても金融機関から「自己資本とみなされるもの」を言います。

一般的に資金調達をする際に利用する金融機関からの融資は、貸借対照表上「負債」の増加となり財務状態が悪化したことになります。企業評価は悪化し、その後の資金調達にはかなり不利な経営状況となります。
一方、資本性劣後ローンは貸借対照表上「資本」の増加となり財務状態が改善したことになります。企業評価も良くなり、その後の資金調達にも有利な経営状況となります。

このローンの特徴としては、
(1)業績連動金利
・利息負担が抑えられます
(2)期日一括返済
・返済負担が抑えられ、中長期的に資金繰りが安定します
(3)金融検査上は自己資本
・法的倒産時の返済順位の劣後性により、金融機関からは資本とみなされます。
(財務状況が安定化し、以降金融機関からの融資が受けやすくなります)

2.資本性劣後ローン制度の概要(日本政策金融公庫の場合)


(対象者) 
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、次のいずれかに当てはまる企業。

(1)J-Startupプログラムに選定された企業(※)または独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資する投資事業有限責任組合から出資を受けて事業の成長を図る企業
※https://www.j-startup.go.jp/startups/
(2)中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会を含みます。)の関与のもとで事業の再生を行う企業または独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資する投資事業有限責任組合の関与のもとで事業の再生を行う企業
(3)上記1および2に該当しない企業であって、事業計画書を策定し、民間金融機関等による支援を受けられる等の支援体制が構築されている企業

(資金使途)   設備資金および長期運転資金
(融資限度額)  直接貸付 10億円
(返済期間)   5年1ヵ月、7年、10年、15年、20年のいずれか(期限一括償還
(返済方法)  元金は最終期限一括の返済となり、最終日までは利息のみの支払い。
但し、融資後5年間は繰上げ返済が出来ない。
(利率(年))   融資後3年間は0.50%。
融資後3年経過後は、毎年直近決算の業績に応じて、次の2区分の利率が適用される。
税引後当期     期間     期間    期間    期間
純利益額      5年1ヵ月   7年    10年    15年
0円以上      2.60%    2.60%   2.60%   2.70%
0円未満      0.50%    0.50%   0.50%   0.50%
(担保・保証人等) 無担保・無保証人
(その他)
・本制度による債務については、金融検査上、自己資本とみなすことができます。
・本制度による債務については、法的倒産手続きの開始決定が裁判所によってなされた場合、全ての債務(償還順位が同等以下とされているものを除く)に劣後します。
・公庫が適切と認める事業計画書の提出が必要です。
・融資後5年間は、原則として期限前返済はできません。

※詳細は日本政策金融公庫及び商工中金のサイトをご参照ください。
(出典:日本政策金融公庫「新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)」)
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/shihonseiretsugo_t.html
(出典:商工中金「資本性劣後ローンのご案内」)
https://www.shokochukin.co.jp/disaster/pdf/covid_04.pdf

3.事業(創業)計画書の役割

この資本性劣後ローン制度を利用するために欠かせないのが事業計画書になります。

審査では、様々な角度から事業計画書を検証しますが、早期に事業を回復・成長軌道に乗せ、収益(内部留保)を積み上げることで、返済期日までに返済できるという納得性と実現性のある「事業計画書」の作成が必要です。

事業計画書とは、「会社の経営理念・事業方針を明確にし、事業再生・再構築を含めた今後の事業推進計画・数値目標(収益見込)・各組織及び各個人のやるべきこと等を可視化し、社内及び社外に説明するための書類」です。
事業(創業)計画書には未来の事業方向性・業績予測(収益見込)が描かれています。貸し手となる日本政策金融公庫側としても、貸出金回収とともに日本の中小企業や創業する企業を育成するという使命があります。まさに資金調達の決め手は「実現性のある事業計画書」にあるといえるでしょう。

資金提供者を納得させるような「信頼される事業計画書」の作成作業を短期間に進めていくのは、思った以上に大変な作業となります。当然、複数の人間が携わりますので、スケジュール調整も絶えず行う必要があります。又、このような事業計画書の作成はそんなに頻繁にあるものではありませんし、経験が豊富で完璧に書く自信のある人はあまりいないのが実情ではないでしょうか。
そこで、外部の事業計画書作成の専門家(コンサルタント)を活用することも資金調達の早道といえるでしょう。

 

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