債務超過の解消方法:DES(デット・エクイティ・スワップ)
信頼される事業計画書の作成が資金調達成功のカギ!
(目次)
1.ゼロ・ゼロ融資後倒産状況
2.債務超過を解消する手法「DES」
3.DESのメリット、デメリット
4.DESの税務上の問題
5.信頼される事業計画書の作成
1.ゼロ・ゼロ融資後倒産状況
2022年度(4-3月)の 「ゼロ・ゼロ融資」を利用後の倒産は541件(前年度比260.6%増)で、前
年度の3.6倍増と急増しました。(累計744件)
月次では、2023年3月は63件(前年同月44件)と月間最多を更新しました。
(「2022年度(4-3月)「ゼロ・ゼロ融資後」倒産」 ㈱東京商工リサーチ 2023.04.10)
倒産抑制に大きな効果を見せた「ゼロ・ゼロ融資」ですが、同時に過剰債務という副作用をもたら
しました。最長3年の利子補給も順次終了する今後、「ゼロ・ゼロ融資後」倒産はさらに増勢ピッチ
が強まることが懸念されています。
継続的な過剰債務の状態から債務超過を経て倒産にいたるケースが多く、この状態をいかに解決し
ていくかが、現在大きな課題となっています。
※「債務超過」とは、「負債の総額が資産の総額を上回っている状態」を言い、「過剰債務」とは
「企業の収益や資産に比べ適正な水準を超過している借入金など」のことを言います。
(※債務超過になってもすぐに倒産するわけではありません)
債務超過の状態が続くと、銀行融資が困難になったりして倒産につながりますので、何よりも優先
して行うべきなのは「債務超過状態の解消」なのです。
もちろん、業務の改善により利益を上げ黒字経営を継続することが最良ですが、その他の方法として
は、DES(デット・エクイティ・スワップ)・資産売却・増資・会社更生法適用などがあります。
なかでもDESについては、債務を資本に振り替えることで債務が減少するという当該企業にとっ
ては大変メリットの大きい再建手法となっています。
2.債務超過を解消する手法「DES」
負債返済が困難な会社が解決に用いられる手法である「デット・エクイティ・スワップ(Debt
Equity Swap=DES)」。
DESは、経営状況の厳しい(負債の返済が困難な状態にある)会社が財務体質の改善を行うため
に用いられる手法で、デット(Debt=負債)とエクイティ(Equity=資本)をスワップ(交換)する
という取引で、「債務の株式化」「債務の資本化」と表現されることもあります。
つまり、債権者が持つ金銭債権を、債務者企業の株式に振り替えることで、債務者企業は財務内容の
改善を図り事業再生を実現することができる手法です。
債権者は貸付金を回収できなくなる代わりに、株主として債務者企業の経営に関与できたり、配当金
によるインカムゲインや起業価値が増大した段階で株式売却によるキャピタルゲインを得ることがで
きるようになります。

3.DESのメリット、デメリット
以下の表にあるとおり、DESは財務状況さえ改善されれば収益を上げられる経営体質の会社に特に有効な手法といえます。

4.DESの手続き方法と税務上の問題
1)DESの手続き方法
①現物出資型(通常のDES)
現物出資型とは、借入金などの債権を出資とみなして株式を交付する方法で一般的なDESの方法
です。債権者と債務者の間での現金移動はありません。
②金銭出資(現金振込)型
債権者が債務者企業の増資の求めに応じて現金を払い込む方法で、擬似DESとも呼ばれます。
※役員借入金の存在により債務超過に陥っている企業は、金融機関等からの企業評価低下や相続税
負担の増加といったデメリットがあります。この場合、役員借入金のDESは非常に有用な手段
で、帳簿上の債務額を減額できますし相続税負担を軽減させることも可能になります。
2)DESの税務上の問題
①適格現物出資と非適格現物出資
DESが完全支配関係の親子会社間で行われる場合は適格現物出資となり、この場合は債務消滅益
が発生しないので課税されません。
DESが金融機関などの完全支配関係ではない法人間で行われる場合は、非適格現物出資非適格現
物出資となり債務消滅益が発生して課税対象となるので別途節税対策が必要となります。
②資本金
DESの増資によって資本金が1億円を超えると、中小企業の特例が適用されなくなり、交際費の
定額控除や欠損金の繰越還付などの恩恵を受けられなくなります。
③株主間の贈与
DESで債務を資本金に振り替える際に株価が上昇したりすると、みなし贈与とされて株価上昇分
に対応する贈与税が課せられることがあります。現物出資を公正な時価で行えば正当な増資とみ
なされます。

5.信頼される事業計画書の作成
DESによる財務内容の改善手法を選んだ場合、既存株主や債権者がその事業内容と将来性を判断
する材料として、決算書やその他の経営状態を確認する多数の書類に加えて、事業計画書が大きな役
割を果たします。
債権者側としても、インカムゲイン(配当収益)・キャピタルゲイン(売買差益)等の期待と同時
に対象会社健全育成も大きな目的の一つです。
債務者側企業の今後の事業計画がDES実行に値する信頼ある内容でなければ、出資することは難し
くなります。
事業計画書は客観的に納得性があり実現性のあるものでなくては、信頼に欠けるものになります。
債権者側の担当者はプロですから、裏付けの無い数字には敏感です。希望的な数字だけで作成した場
合はすぐにわかりますので、審査は難しくなります。
従って、事業計画書全ての項目に対して、裏付け・根拠のあるものにしておく必要があります。又、
この準備をしていれば、DES実施時の面談でもスムーズに説明することが可能になります。
まさに資金調達の決め手は「信頼され、実現性のある事業計画書」にあるといえるでしょう。
※事業計画書の書き方については、当ブログ内に詳細な内容の記事がありますので、以下のページ
をご参照下さい。
-事業計画書の書き方&活用- (基本知識)
事業計画書の作成は経営者自ら行うのが基本ですが、メリット・デメリットの混在するDESとい
う特殊な資金調達・財務改善の目的に沿うような事業計画書を作成することは、思った以上に大変
困難な作業となります。
株主・債権者に対して納得性・説得性のある内容にし、DES実行にまで進めていくには、やはり
それなりの経験とテクニックが必要となります。必要に応じて外部の事業計画書作成の専門家
(コンサルタント)を活用することも債務超過解消の早道といえるでしょう。
※当バルクアップコンサルティング社は、全員が日本及び世界のトップコンサルティングファーム
で経験を積んだトップコンサルタントであり真のプロフェッショナル集団です。資金調達における
事業計画書の作成や事業展開にお悩みの場合は是非一度ご相談下さい。
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