事業計画書の書き方と活用方法(基本知識編)

事業計画書

あらゆる資金調達や事業見直しに必須の事業計画書!
 事業計画書作成の基本知識を解説。作成代行サービスの利用も。

(目次)
1. 事業計画書とは
2. 事業計画書作成の基本事項
3. 事業計画書を作成するメリット
4. 事業計画書の重要性

1.事業計画書とは

   事業計画書とは、会社の事業コンセプト・企業戦略・事業内容・組織体制・運営方
 法・行動計画・売上や利益等の数値目標などを記載した書類(計画書)のことです。
 金融機関や投資家から資金調達(融資・出資等)する時や社内に今後の事業計画を説
 明・周知する際に利用します。

2.事業計画書作成の基本事項

1)事業計画書を提出する相手(用途別)
  (1)融資
   政府系機関(日本政策金融公庫、商工中金等)、民間金融機関 等
  (2)補助金(助成金)
   政府系機関(日本政策金融公庫、商工中金等)、各自治体
  (3)出資・投資
   VC(ベンチャーキャピタル)、PE(プライベート・エクイティ・ファンド)
   、個人投資家(エンジェル投資家)、クラウドファンディング 等
  (4)事業承継(M&A)
   公認会計士、税理士、弁護士、M&A専門会社、事業承継先 等
  (5)社内
   従業員、親会社、株主、関係・関連会社、各ステークホルダー 等

  ※資金調達(融資・補助金・出資・投資・事業承継)用に作成する事業計画書は、
   社内用とは別の観点から作成することが必要です。
   以下では、主に資金調達用事業計画書の作成について説明します。

2)事業計画書の作成方法・留意事項
  (1) 事業計画書の作成目的を明確にする
    ①資金調達(融資・補助金・出資・投資・事業承継等)の為
    ②自社の事業計画を社内に説明・周知する為

   ※事業計画書本来の目的である「会社の経営理念(ビジョン/ポリシー)・
    事業内容・事業方針及び経営戦略を明確にし、今後の事業推進計画・数値
    目標(売上、損益予想等)・各組織及び各個人のやるべきこと等を可視化し、
    社内に周知すること。そして社外に認知してもらうこと」
について再度確認
    することが必要です。
  (2) 事業計画書の見直しは経営者自身が行う
   会社事業の策定・計画・実施・目標達成チェックの責任者は経営者になります。
   この事業計画書の内容は資金調達をする際に重要な役割を果たすとともに、何よ
   りもこの困難を乗り越え、事業継続を実現し、ポストコロナ・ウィズコロナ時代
   を生き抜いていく大きな指針となります。
  (3)客観的に実現可能な事業計画書を作成する
   当たり前ではありますが、事業計画書は客観的に納得性があり実現性のあるもの
   でなくては、信頼に欠けるものになります。
   特に資金調達時の(融資)担当者はプロですから、裏付けの無い数字には敏感
   です。希望的な数字だけで作成した場合はすぐにわかりますので、(融資)審査
   が通らなくなります。従って、事業(創業)計画書全ての項目に対して、裏付け
   ・根拠のあるもの
にしておく必要があります。
    又、この準備をしていれば、融資等審査の面談時にもスムーズに説明すること
    が可能になります。
  (4)資金の出し手(金融機関等)側の立場を考慮する
   金融機関の融資担当者は、社内で決裁を通す為に別途融資稟議を書いています。
   ・稟議書が書きやすいような、説明しやすい事業計画書が大事です。
   ・稟議を通したくなる事業内容、経営者(人物)であることをアピールします。
  (5)融資の場合は2行(日本公庫と民間金融機関)に申し込む
    基本的に、この二つの金融機関は併用して利用することが可能です。
    リスク分散のためにも、できれば2行に申し込んだ方が良いでしょう。
  (6) 「事業再構築補助金」の場合は採択事例を参考にする
    この補助金については、すでに採択された会社の事業計画書の事例が以下の
    ページから参照できますので、参考にしてください。自分が資金提供者だった
    らどう感じるかという視点がポイントになります。
    (中小企業庁:「事業再構築補助金」採択事例)
     URL: https://jigyou-saikouchiku.go.jp/cases.php

  (7) 事業計画書の項目別記載内容
    提出先・利用目的・フォーマット等で異なりますが、一般的な記載項目は
   以下のとおりです。

   ①事業目的
    ・なぜこの事業を行うのか
    ・いつ行うのか
   ②会社のプロフィール
    ・会社概要(会社名、所在地、役員、株主、電話番号、ホームページ~)
    ・組織構成、事業構成
    ・沿革/創業の経緯
    ・どんな強みと特徴を持った会社なのか
   ③経営者のプロフィール
    ・事業経歴、実績、人間性、特技~、事業の成功を確信させるような内容
     ※魅力ある経営者像
   ④事業コンセプト、ミッション
    ・会社の使命、ビジョン、強み など
   ⑤マーケット・取扱商品・サービス・ビジネスモデル・戦略
    ・事業ドメイン、得意なマーケット・商品・サービスは何か
    ・市場調査を綿密に実施したデータの裏付け
    ・マーケティング戦略(ファイブフォース分析)
      a.競合他社(業界内での競争)
      b.買い手の交渉力
      c.売り手の交渉力
      d.新規参入の脅威
      e.代替品の脅威
    ・事業展開のシナリオ
   ⑥会社の強み・弱み(SWOT分析
    (Strength)  :強み
    (Weakness) :弱み
    (Opportunity):機会
    (Threat)  :脅威
   ⑦取引先・顧客(売上予定の見込が確実か
    ・対象顧客(取引先)と顧客メリット
   ⑧役員構成・従業員・組織体制
    ・経営責任者、意思決定の流れ、役割分担(部署名)のわかる組織図

   ⑨事業見通し(数値目標)、資本政策
    ・各数値目標には必ずデータに基づいた根拠があること
     特に売上と利益の算定根拠が客観的に裏付けのある数字であること
     (事実の確認と検証が必須)
      →決算書・試算表・資金繰り表・返済予定表等は過去・未来予定分含め
       て前後3期分くらいを分析する(過去の振り返りで自社の特徴を把握
       することが大事)
    ・売上と利益のバランスが良いこと(特に利益は必ず返済額より多いこと)
    ・役員報酬/人件費が妥当であること
    ・人件費以外の経費にムダがないこと
    ・資金計画は綿密に(返済計画と矛盾しないこと)
    ・資本政策では、理想的な「株主構成」「資金調達」の実現を目指します。
     特に、資金調達は(誰から・何に・どれだけ借りて・どう返済するか)を
     明確に
します。
    ・できれば5年後のビジョンにも言及すること
   ⑩今後の世界情勢分析による事業成功の裏付け
    ・現在そして今後の世界(事業環境・社会・政治・経済・技術・法律)情勢
     見通しと、その中にあってこの事業が成り立ち、成功する確信があること
     をアピールする
    ・「PESTLE分析」の活用
      Political   :政治的要因
      Economic  :経済的要因
      Sociological :社会的要因
      Technological:技術的要因
      Legal    :法的要因
      Environmental:環境的要因

   ⑪その他
    ・多忙な融資(出資)担当者が見やすい形にする
     (例:A3用紙1ページで事業計画の概要が全てわかる)
    ・極力整理して冗長化を防ぐ
    ・但し、重要な部分は詳細な説明も必要
    ・図やグラフなどを利用してビジュアル的にわかりやすく
     (人はイメージでものごとを理解する)
    ・事業計画書のフォーマットは決めておく
     (資金調達先により適切なフォーマットや書き方があるので、できれば
      専門のコンサルタントに相談する)
    ※最終的には、経営者の熱意がどう伝わるかにかかわってきます

3.事業計画書を作成するメリット

  1)可視化によるメリット
   自社の今後の方向性を明確なものにし、強み・弱み・課題等を含めて客観的に
   具体的に可視化
して社内共有することができます。
   強みがわかれば事業の方向性がハッキリしますし、弱みや課題がわかれば会社
   の改善目標が明確になります。
   頭でわかっていたことでも、文章にする(可視化する)ことで会社運営に必要
   な様々なことが明確になるわけです。
  2)社内統一が図れる
   会社・経営者の考えが社内統一され、社員は迷うことなく事業を推進できます。
   特に幹部社員を事業計画作成時に参加させることにより、当事者意識・責任感
   が強くなりますし、その後の事業遂行時での意欲が違ってきます。
    又、対外部(金融機関、投資家などの資金調達先、ビジネスパートナー等)
   に対してのアピールや説明がしやすくなります。
  3)幹部社員のレベル向上
   事業計画書作成を経験することで、経営者・幹部社員の能力レベル(スキル)
   がUPします。
   事業計画書を作成する為には、以下のことを確認・調査・分析しわかりやすく
   まとめなければなりません。
   ・会社のビジョン、理念、目的・目標は(今どこに向かっているのか)
   ・社内体制/各事業・部門の責任者は明確か
   ・課題及び課題解決の進捗状況
   ・具合的な業務計画(スケジュール)/損益計画/返済計画の立案と進行状況把握
      など

   このような作業を通して、経営者・幹部社員ひいては全社員の能力レベル
   (スキル)がUPします。
  4)問題解決力がつく
   不測の事態・難問が出てきても、事業計画書を経営者・幹部をはじめ社員全員
   で理解していれば、裏付けのある問題解決案が出やすくなります。

4.事業計画書の重要性

  融資にしろ出資にしろ貸し手側とすれば、「利息をつけて返済できる」「将来
 成長が見込まれ、必ずリターンがある」
という評価をした企業です。つまり、今後
 大きく成長が期待できる企業ということです。

 そして、どのような資金調達方法を選択しても事業計画書の作成は必須となります。
 貸し手側としても、貸出金回収・キャピタルゲイン・インカムゲイン等の目論見と
 対象会社育成の使命
があります。まさに資金調達の決め手は「実現性のある事業計
 画書
」にあるといえるでしょう。

  事業計画書の作成は経営者自ら行うのが基本ですが、作成作業を短期間に進めて
 いくのは、思った以上に大変な作業となります。事業計画書の作成はそんなに頻繁
 にあるものではありませんし、対外部に対して納得性・説得性のある内容にするに
 は、やはりそれなりのテクニックが必要となります。
  そんな時は、外部の事業計画書作成の専門家(コンサルタント)の活用も一つの
 方法といえるでしょう。

 当バルクアップコンサルティング社は、全員が日本及び世界のトップコンサルテ
  ィングファームで経験を積んだトップコンサルタントであり真のプロフェッショ
  ナル集団です。資金調達における事業計画書の作成や事業展開にお悩みの場合は
  是非一度ご相談下さい。

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