各種制限緩和で好調も、原料高で経営は厳しい状況
信頼ある事業計画書の作成で事業継続が可能に!
(目次)
1.外食産業の市場動向
2.事業承継(M&A)という方法
3.事業計画書作成のポイント
4,まとめ
1.外食産業の市場動向
外食産業の2023年1月の市場動向としては、昨年のような営業制限がなく年始需要が好調で、
外食全体の売上高は前年同月比115.3%となりました。
新型コロナ第8波のピークはあったものの、2019年同月比で104.2%となりコロナ前を上回ってい
ます。
ただし、外食全体の客数は2019年同月比で90%程度と推定され、店舗数も92.9%となっています。
売上高の増加は原料高と光熱費の高騰等に起因する客単価上昇の結果と考えられ、外食企業の経
営状況は変わらず厳しいといえます。
とくに「パブ/居酒屋」等の店内飲食業態は、酒類の提供制限があった昨年からは回復基調にあ
るものの、コロナ前には戻っていません。(昨年比159.0%/2019年比58.1%)
一方、業態間の差は激しく、「ファーストフード」業態は売上好調を維持しています。
(昨年比110.2%/2019年比117.9%)
昨年2 月に始まったロシアのウクライナ侵攻や日銀の金融緩和政策等に起因する原材料費やエネル
ギーコスト等の高騰、人手不足による売り上げ機会のロスなどが、回復途上の外食産業の経営を圧
迫しています。
(出典:一般社団法人日本フードサービス協会
「外食産業市場動向調査 2023年1月度結果報告(2023年2月27日)
http://www.jfnet.or.jp/files/getujidata-2023-01.pdf
現在抱えている問題点は以下のように考えられます。
1) 原材料費の大幅な上昇
消費者物価指数は前年比4.3%上昇しましたが、食料品は9.5%、光熱・水道費は24.5%も上昇
しています。
この上昇分を一気に価格に反映させることはできないうえに、円安の影響で輸入食材の上昇は
さらに大きくなってきていて、経営圧迫要因となっています。
(出典)総務省 「2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年(令和5年)1月分」
2)人手不足
コロナ禍で休業していた時期には、アルバイト・パートを減らして何とか対応していました。
ところが、昨今の客数増でも従業員を集めることができず、深刻な人手不足となっています。
人手不足に拍車をかけているのが外国人労働者の減少です。
新型コロナ対策で外国人の入国を厳しく制限していたことや円安による日本の賃金の魅力が大
きく低下したことが外国人労働者を遠ざける原因となっています。
3)人件費の大幅な増加
深刻な人手不足の結果、需給の関係からもパートやアルバイトの時給は急速に上昇しています。
当然、利益率が悪化し経営圧迫要因となっています。
客足が戻ってきて回復基調であるはずの外食産業ですが、実は大きな課題を抱えているのが現状と
いえそうです。
2.事業承継(M&A)という方法
1)政府による各支援策
厳しい状況の続く外食産業の再生戦略や事業構造転換の資金調達をサポートしているのが、従来
からの銀行融資や経済産業省・中小企業庁が実施している「事業再構築補助金」等の政府による
中堅・中小企業向け補助金・助成金制度です。
(参考)経産省:ミラサポ「人気の補助金・給付金」
https://mirasapo-plus.go.jp/subsidy/
なかでも、補助金額の多い「事業再構築補助金」は、飲食店等の中小企業・中堅企業が事業再構
築つまり企業体質を根本的に強化し、今後長期的に外的変化に耐えうる日本経済の構造転換を促
すことを目的としています。
<事業再構築補助金:飲食店におけるメリットとデメリット>
(メリット)
①補助金は返済不要(返済負担無し)
②設備投資の費用も補助してもらえる
③条件により補助率が高くなることも
④自社(お店)の事業計画(今後の方向性)が明確になる
⑤事業再構築補助金申請により、今後も新戦略展開にチャレンジが可能
(デメリット)
①申請書類の作成に時間がかかる
②補助金は後払い(経費は先に自分で払う)
③申請が採択されなかった場合、労力と時間が無駄になる
このように、事業再構築補助金の申請には、メリットとデメリットがありますので、今重要な
ポイントはどちらにあるのかを十分に検討する必要があります。
2)事業承継(M&A)という方法
今後の外食産業の抱える問題点を解決し、事業継続(事業承継)をすすめていくもう一つの方法
としてM&A(Mergers(合併)and Acquisitions(買収))があります。
外食産業(飲食店)はM&Aによる事業承継に成功しやすい業種(そのお店特有の技術やカルチャ
ーも比較的引き継ぎやすい為)とされていて、実際に外食・フードサービス業界ではM&Aが増加
してきています。
料理等はレシピをそのまま引き継ぐことで同じ味を提供でき、店舗・内装・店員等もそのまま引
き継ぐことが可能です。又、買い手が付きやすいという傾向もあります。
M&Aによる事業承継脚光が浴びている理由は以下のようなことが考えられます。
①経済産業省や民間企業による、事業承継の選択肢としてのM&Aを推進する動きやM&Aのプラ
ットフォーム(各都道府県に事業引継ぎ支援センターが設置等)の出現等により、M&Aのイ
メージが大きく変わりました。
これにより、中小企業でも第三者に引き継ぐM&Aという選択肢が身近なものになってきま
した。
②ほとんどの場合、M&A後でも従業員の雇用が確保されています。
③公的機関、民間支援機関のサポート急増中しており、中小企業のM&Aへの取組が右肩上がり
で増加しています。
又、最近では、メガバンクをはじめとする金融機関が事業承継を後押しする動きが加速してきて
います。
コロナ禍という未曽有の危機に遭遇し、自社事業の将来性に改めて向き合った中小企業が多い中
で、上述のような事業承継メニューやプラットホームが全国的に整ったことも、事業承継問題の
解決・改善が大きく進んだ理由と思われます。
3.事業計画書作成のポイント
1)飲食店における事業計画書作成の目的を再確認する
外食産業の構造的な変動に対応すべく、新たな時代の消費者満足を追求した外食ビジネスモデル
を追求する事業計画が必要です。
一つの方向性として「食の外部化」の加速があります。
高齢化の進展・少子化・核家族化・単身世帯・夫婦のみ世帯の増加というような世帯構造の変化
が、「外で食べる」「買ってきて食べる」「食事を届けてもらう」という消費者行動を促してきて
います。
売上が好調なのは、「昼の時間帯・家族客・土日・休日」の集客(ファミリーレストラン、
ファーストフード等)に代表され、「夜遅く・酒類・法人需要」がメインの業態(居酒屋、ディナ
ーレストラン等)は不調のようです。
早くからシステムのデジタル化やデリバリー化(宅配化)体制を進め、メニューの見直し(夜型
メニューの開発など)を進めた外食大手などは、この逆風下でも増収増益を実現しています。
このような消費者行動を満足させる、「時間と空間に縛られない新たなビジネスモデル」を実現
することが、今後の外食産業・飲食店の再生戦略であり、思い切った事業構造転換の機会であると
いえるでしょう。(店舗依存ビジネスのリスクからの脱却)
又、資金の出し手側からみた重要ポイント(収益性・実現性の高い内容か、助成金制度等の目的
に合っているか)を織り込むことも必須となります。
2)事業計画書の見直しは経営者自身が行うこと
当然のことながら、会社事業の策定・計画・実施・目標達成チェックの責任者は経営者(M&A
の場合は買い手側企業の)になります。経営者の心血を注いで作成した「事業計画書」は、何より
もこの困難を乗り越え、事業継続を実現し、ポストコロナ・ウィズコロナ時代を生き抜いていく
大きな指針となるからです。
3)飲食店特有の情報・イメージを明確に伝える
特に飲食店の事業計画なので、提出先にはお店のイメージや料理等をビジュアル的にわかりやす
く書く必要があります。
又、かつてとは違って社会環境やお客様のニーズも大きく変化してきています。ターゲットと
なる客層の変化や料理のジャンル・提供の仕方なども時代に合わせて、再度検討することが必要
です。
※事業計画書の書き方については、当ブログ内に詳細な内容の記事がありますので、以下のページ
をご参照下さい。
-事業計画書の書き方&活用- (基本知識)
4.まとめ
新型コロナ感染拡大等さまざまな社会的背景により経営が厳しくなった飲食店が、新事業(分野)
展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編等への取り組み等、事業再生に本気で挑戦するために
は、将来ビジョンの確立とともに資金調達が成否の分かれ目となります。
M&Aによる事業継続や「事業再構築補助金」等公的資金援助制度の申請を有利に進めるために
は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代に対応し新再生戦略を盛り込んだ、納得性と信頼ある事業計画
書の作成が絶対条件になります。
このような事業計画書の作成には専門的な知識やテクニック等も必要となりますので、外食産業に
見識があり、経験豊富な外部の事業計画書作成の専門家(コンサルタント)を活用することも、資金
調達の早道といえるでしょう。
※当バルクアップコンサルティング社は、全員が日本及び世界のトップコンサルティングファームで
経験を積んだトップコンサルタントであり真のプロフェッショナル集団です。資金調達における事
業計画書の作成や事業展開にお悩みの場合は是非一度ご相談下さい。
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