成功する事業計画書の書き方(事業承継・M&A)

M&A

 事業承継の解決手段はM&Aが主流!
  信頼ある事業計画書作成で買い手・売り手企業双方が納得!

 いまや社会問題にまでなっている、後継者不在による中小企業の黒字倒産。
そんな事業承継問題の選択肢の一つとして、最近関心を高め実績件数を増加させているM&A。事業承継の現状とM&Aの手法及び重要な役割を果たす事業計画書について解説します。

(目次)
1.事業承継の現状
2.事業承継の種類
3.後継者不在でも事業承継できるM&A
4.M&Aのメリット、デメリット
5.事業計画書の重要性
6.まとめ

1.事業承継の現状

 1)「後継者不在」問題
  2022年の「後継者不在率」は59.90%で、前年(58.62%)から1.28ポイント上昇
  代表者の年齢別による後継者不在率は、60代が39.10%(前年39.29%)、70代が27.49%
  (同28.21%)、80歳以上が21.81%(同22.61%)でした。60代以上は、いずれの年代も前年より
  改善しました。ただ、80歳以上では2割以上の企業で後継者がいない実態が浮き彫りになり、事業
  承継の難しさが増しています。
  (出典:東京商工リサーチ「2022年「後継者不在率」調査 ~」)
   https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20221102_03.html

  2025年までに70歳を超える中小・零細企業の経営者は約245万人と予想されていて、
  そのうち 約127万人(半数以上)が後継者未定となっています。
  経営者の高齢化・後継者不足・事業の先行き不安(成長戦略が描けない)などの理由で、仕方
  なく廃業するケースも増えていて、後継者問題の厳しい現状と課題が見えてきます。
   但し、最近では「後継者不在」の状況が急速に改善されてきています。
    コロナ前(2019年)後継者不在率:65.1%
    現在  (2022年)後継者不在率:57.2%
  (出典:帝国データバンク「特別企画:全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)」  
     https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p221105.html

 2)休廃業・解散の状況
   昨年の休廃業・解散件数過去3番目の高水準は、前年から減少したものの、民間調査が開始
  された2000年以降で過去3番目の高水準となっています。
  (休廃業・解散企業件数)
    2020年 49,698件
    2021年 44,377件
    (出典:2022年版中小企業白書・小規模企業白書概要) 令和4年4月中小企業庁)
        https://www.meti.go.jp/press/2022/04/20220426003/20220426003-2.pdf

  ※これは、コロナ禍における政府からの給付金や金融機関からの貸付などにより、一時的に減少
   したものと考えられます。経営者の高齢化や後継者不足の課題は十分には解消しておらず、今後
   も休廃業・解散・倒産件数は増加傾向が予測されています。

 3)経営者の平均年齢推移
   2015年 60.89歳
   2020年 62.49歳
   (出典:東京商工リサーチ「2021年 全国社長の年齢調査」)
    https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210804_02.html
   ※これは平均年齢ですので、実際にはもっと高齢の経営者が多く、年齢のピークは60~70代
    となっています。
    又、高齢の社長ほど業績悪化が鮮明になっていますが、この背景には長期的なビジョンを
    描けず、設備投資や経営改善の遅れがあるようです。

2.事業承継の種類

 事業承継の類型

親族内承継

現経営者の子をはじめとした親族に承継
・心情面や、長期間の準備期間確保がしやすい、相続等による財産・株式の後継者移転が可能といった背景から所有と経営の一体的な承継が期待できます。

従業員承継

「親族以外」の従業員に承継
・経営者能力のある人材を見極めて承継することができます。
・長期間働いてきた従業員であれば経営方針等の一貫性を期待できます。

M&A
(社外への引継ぎ)

社外の第三者(企業や創業希望者等)へ株式譲渡や事業譲渡により承継
・親族や社内に適任者がいない場合でも広く候補者を求めることができます。
・現経営者は会社売却の利益を得ることができます。

  (出典:中小企業庁 「財務サポート 「事業承継」」)    https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/know_business_succession.html

3.後継者不在でも事業承継できるM&A

  M&Aとは、英語の「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略です。 
 一般的に「企業の合併・買収」(資本の移動や資本参加を伴う「資本提携」)のことですが、M&A
 を実現する手法は、いくつかに分かれます。
  1)買収
    ①株式取得(株式譲渡/第三者割当増資/株式交換/株式移転)
    ②事業譲渡(一部譲渡/全部譲渡)
  2)合併(吸収合併/新設合併)
  3)分割(新設分割/吸収分割)
  4)広義のM&A(資本参加/合弁会社設立)
  ※M&Aには入りませんが、企業の提携には、資本の移動を伴わない「業務提携」(技術・生産・
   販売提携など)という形態もあります。

  後継者不在により困難になっている事業承継ですが、その解決手段としてM&Aによる事業承継
 が脚光を浴びています。その理由は、
  ①経済産業省や民間企業による、事業承継の選択肢としてのM&Aを推進する動きやM&Aの
   プラットフォーム(各都道府県に事業引継ぎ支援センターが設置等)の出現等により、M&A
   のイメージが大きく変わりました。

   これにより、中小企業でも第三者に引き継ぐM&Aという選択肢が身近なものになってきま
   した。
  ②ほとんどの場合、M&A後でも従業員の雇用が確保されています。
  ③公的機関、民間支援機関のサポート急増中しており、中小企業のM&Aへの取組が右肩上がり
   で増加しています。

 又、最近では、メガバンクをはじめとする金融機関が事業承継を後押しする動きが加速してきています。

<日本経済新聞 2022.12.3 記事より>
 三井住友フィナンシャルグループは、経営再建や事業承継(総合2面きょうのことば)を目指す企業への出資を加速させる。傘下の投資会社を通じ、今後数年以内に2000億円程度を投資する。銀行法改正による出資規制緩和で、過半出資して企業価値を高めたのちに売却する手法を使えるようになった。過半出資による企業再生は投資ファンドが先行してきた。メガバンクが初めて参入することで、産業の新陳代謝を促す可能性がある。~

 コロナ禍という未曽有の危機に遭遇し、自社事業の将来性に改めて向き合った中小企業が多い中で、上述のような事業承継メニュー・プラットホームが全国的に整ったことも、後継者問題解決・改善が大きく進んだ理由と思われます。
 ※2021年のM&A件数は2020年比14.7%増加、4,280件(レコフデータ調べ)
  (2019年の4,088件を上回り、過去最多)
  大きな要因は、コロナ禍によるM&Aの後倒しと金融緩和が考えられます。

(1985年以降のマーケット別M&A件数の推移)
 (引用:株式会社レコフ MARR online 2022.12.1現在)

4.M&Aのメリット、デメリット

  中小企業の事業承継手段として増加しているM&Aですが、もちろん買い手・売り手双方の立場からみてのメリット・デメリットがあります。

 これらのメリット・デメリットを十分認識したうえで、M&A実施を判断する必要があります。

5.事業計画書の重要性

 M&A実施のプロセスでは、事業計画書の役割はかなり重要なものとなります。なぜなら、M&A価格やPMI(Post Merger Integration買収後の経営統合作業)方針の決定の最も重要な要素となるからです。

 M&Aの事業計画書作成は、買い手企業側が作成する場合と売り手企業側が作成する場合があります。
事業計画書は、当然会社の経営理念・ビジョン・事業推進計画・数値目標(売上/収益見込)・各組織体制/目標などを文章化・可視化したものです。 従って、実現性のある事業計画書を作成する主体は買い手側企業(事業を継続する企業)にあるといえるでしょう。
(売り手側経営者がM&A後も社長として経営を継続する場合は、売り手企業側で作成することもあります)
 事業計画書の書き方については、当ブログ内に詳細な内容の記事がありますので、以下のページをご参照下さい。
-事業計画書の書き方&活用- (基本知識)

  M&Aの買い手企業として事業計画書を作成する際の留意点
   1)売り手側の意に沿っているか
   2)デューデリジェンス内容の見直し
   3)M&A価格の妥当性確認
   4)決算書等では見えない企業価値(マイナス面も含め)の確認
   5)PMI(買収後の経営統合作業)との整合性

6.まとめ

 ここまで説明しましたように、事業承継の一つであるM&Aを成功させるためには目的に合った精緻な事業計画書の作成が最も重要なポイントとなります。

 「事業計画書」作成作業を短期間に進めていくのは、思った以上に大変な作業となります。当然、複数の人間が携わりますので、スケジュール調整も絶えず行う必要があります。又、M&Aを目的とした事業計画書の作成はそんなに頻繁にあるものではありませんし、経験が豊富で完璧に書く自信のある人はあまりいないのが実情ではないでしょうか。

 プロ集団である資金提供者を納得させるような事業計画書を作成することは、大変困難な作業となります。それなりの経験と知識及びテクニックが必要となりますので、外部の事業計画書作成の専門家(コンサルタント)の活用もM&A成功の早道といえるでしょう。

※当バルクアップコンサルティング社は、全員が日本及び世界のトップコンサルティングファームで経験を積んだトップコンサルタントであり真のプロフェッショナル集団です。
M&Aを計画されていて、資金調達や事業展開にお悩みの場合は是非一度ご相談下さい。

   バルクアップコンサルティング株式会社

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