事業計画書作成のキホン

事業計画書

あらゆる資金調達や事業見直しに必須の事業計画書!
  事業計画書作成の基本知識を解説

  (目次)
1.事業計画書とは
2.事業計画書の意義・大事さ
3.事業計画書の基本的な書き方と注意点
4.事業計画書を作成するメリット
5.事業計画書作成代行とそのメリット
6.まとめ

1.事業計画書とは

  事業計画書とは、会社(法人)の事業コンセプト・企業戦略・事業内容・組織体制・運営方法・
 行動計画・売上や利益等の数値目標などを記載した書類(計画書)のことです。
 起業家が起業・開業などで金融機関や投資家から資金調達(融資・出資等)を受ける時や社内に今
 後の事業計画を説明・周知する際などに欠かせないツールです。

2.事業計画書の意義・大事さ

  事業計画書はビジネスの価値を最大化する役割を果たしますが、その役割は以下のとおりです。

 1)ビジネス戦略策定
  事業計画書は企業の目標とその達成方法を明確に定義するツールです。これにより、ステークホ
  ルダー全員が同じビジョンと戦略に基づいて行動できます。
 2)資金調達用資料
  事業計画書は、企業が新規事業の立上げ等で資金の調達を行う際に、そのビジネスモデルや戦略
  を投資家や金融機関に示す重要なツールです。投資家は事業計画書に記載された情報を元に、企
  業のビジネスの潜在的な成長性、競争力、リスクを評価し、検討のうえ投資の決定を行います。
  また、金融機関も事業計画書を企業の信用評価や融資の可否を判断する際の重要な資料とします。
   なお、事業計画書の資金調達における役割は、新規事業を始める時だけでなく、既存のビジネ
  スの拡大や改善を目指す場合にも同様です。新規製品の開発、新市場への進出、事業構造の変更
  など、企業が大きな変革を進める際には、新たな資金調達が必要となることが多く、その際にも
  事業計画書が必要となります。
 3)ビジネスのパフォーマンス評価
  事業計画書は、企業が設定した目標に対する進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて戦略を修
  正するための基準となります。これにより、企業の経営者は事業のパフォーマンスを客観的に評
  価し、経営判断を下すことができます。

<事業計画書の重要性>
  融資にしても出資にしても、資金提供側とすれば「利息をつけて返済できる」「将来成長が見込ま
 れ、必ずリターンがある」という評価をした企業です。つまり、今後大きく成長が期待できる企業と
 いうことです。
 そして、どのような資金調達方法を選択しても、事業計画書の作成は必須となります。

 資金提供側としても、貸出金回収・キャピタルゲイン・インカムゲイン等の目論見と対象会社育成の
 使命があります。まさに資金調達の決め手は「実現性のある事業計画書」にあるといえるでしょう。

3.事業計画書の基本的な書き方と注意点

 1)事業計画書を提出する相手(用途別)
  (1)融資
   政府系機関(日本政策金融公庫、商工中金等)、民間金融機関 等
  (2)出資・投資
   VC(ベンチャーキャピタル)、PE(プライベート・エクイティ・ファンド)、個人投資家
   (エンジェル投資家)、クラウドファンディング 等
  (3)事業承継(M&A)
   公認会計士、税理士、弁護士、M&A専門会社、事業承継先 等
  (4)社内
   従業員、親会社、株主、関係・関連会社、各ステークホルダー 等

  ※資金調達(融資・出資・投資・事業承継)用に作成する事業計画書は、社内用とは別の観点か
   ら書くことが必要です。
   以下では、主に資金調達用事業計画書の作成について説明します。

 2)事業計画書の作成手順・留意事項
  (1) 事業計画書の作成目的を明確にする(誰に見てもらい、何を知ってもらうか)
    ①資金調達(融資・補助金・出資・投資・事業承継等)の為
    ②自社の事業計画を社内に説明・周知する為
    ③関連者に事業内容を紹介する為

  (2) 事業計画書の見直しは経営者自身が行う
   会社事業の策定・計画・実施・目標達成チェックの責任者は経営者になります。
   この事業計画書の内容は資金を調達をする際に重要な役割を果たすとともに、何よりもこの困
   難を乗り越え、事業継続を実現し、ポストコロナ・ウィズコロナ時代を生き抜いていく大きな
   指針となります。

  (3)客観的に実現可能な事業計画書を作成する
   当たり前ではありますが、事業計画書は客観的に納得性があり実現性のあるものでなくては、
   信頼に欠けるものになります。
   特に資金調達時の担当者はプロですから、裏付けの無い数値には敏感です。希望的な数字や
   情報だけで作成した場合はすぐにわかりますので、審査が通らなくなります。
   従って、事業(創業)計画書全ての項目に対して、裏付け・根拠のあるものにしておく必要
   があります。又、この準備をしていれば、融資等審査の面談時にもスムーズに説明すること
   が可能になります。

  (4)資金の提供者(金融機関等)側の立場を考慮する
   金融機関の融資担当者は、社内で決裁を通す為に別途融資稟議を書いています。
   ・稟議書が書きやすいような、説明しやすい事業計画書が大事です。
   ・稟議を通したくなる事業内容、経営者(人物)であることをアピールします。

  (5)融資の場合は2行(日本公庫と民間金融機関)に申し込む
   基本的に、この二つの金融機関は併用して利用することが可能です。
   リスク分散のためにも、できれば2行に申し込んだ方が良いでしょう。

  (6) 各種補助金(「事業再構築補助金」等)申請の場合は採択事例を参考にする
   事業再構築補助金については、すでに採択された会社の事業計画書の事例が以下のページから
   参照できますので、参考にしてください。
   自分が資金提供者だったらどう感じるかという視点がポイントになります。
   (中小企業庁:「事業再構築補助金」採択事例)
           https://jigyou-saikouchiku.go.jp/cases.php

 3)事業計画書の項目別記載内容(参考)
   提出先・利用目的・フォーマット等で異なりますが、一般的な記載項目は以下のとおりです。

  (1) エグゼクティブサマリー
   事業計画書の全体像を簡潔にまとめることが必要です。ビジネスの概要、目標、そして達成の
   ための主要な戦略を明記します。
  (2)会社のプロフィール
   ・会社概要(会社名、所在地、役員、株主、電話番号、ホームページ~等の基本情報)
   ・組織構成、事業構成
   ・沿革/創業の経緯
   ・どんな強みと特徴を持った会社なのか
  (3)経営者のプロフィール
   ・事業経歴、実績、人間性、特技 ~ 、事業の成功を確信させるような内容
    ※魅力ある経営者像
  (4)事業コンセプト、ミッション
   ・会社の使命、ビジョン、ビジネスモデル、提供する製品やサービス、競争優位性(強み)など
  (5)マーケット・取扱商品・サービス・ビジネスモデル・戦略
   ・事業ドメイン、具体的な事業内容、得意なマーケット・提供する商品・サービスは何か
   ・市場調査、分析を綿密に実施したデータの裏付け
   (市場分析)ターゲット市場、業種、市場規模、成長予測、競合の状況、市場のトレンド、顧
         客の動向などをデータに基づいて詳細に分析します。その上で実際の市場環境を
         理解し、ビジネスの可能性とリスクを評価します。
   ・製品/サービスライン:提供する製品やサービスの詳細、開発状況、知的財産権の保有状況、
    製品のライフサイクルなどを説明します。
   ・自社にしか提供できないような強みや他社との違い・オリジナリティを強調します
   ・マーケティングと販売戦略:ターゲット顧客の定義、製品のポジショニング、プロモーション
    戦略、販売戦略、価格戦略など、マーケティングと販売に関する全体的な戦略を概説します。
   ・マーケティング戦略(ファイブフォース分析)
    ①競合する他社②買い手交渉力③売り手交渉力④新規参入の脅威⑤代替品の脅威
   ・事業展開のシナリオ
  (6)会社の強み・弱み(SWOT分析)
    (Strength)  :強み
    (Weakness) :弱み
    (Opportunity):機会
    (Threat)  :脅威
  (7)取引先・顧客(売上予定の見込が確実か
   ・対象顧客(取引先)と顧客メリット
  (8)役員構成・従業員・組織体制と運営
   ・経営責任者、意思決定の流れ、役割分担(部署名)のわかる組織図
   ・運営体制、役職と職務、人事における特徴的な制度、必要な人員とスキル、外部のパートナ
    ーやサプライヤーなど、企業の組織構造と運営を詳述します。
  (9)事業見通し(数値目標)、財務計画、資本政策
   ・各数値目標には必ずデータに基づいた根拠があること。特に売上と利益の算定根拠が客観的
    に裏付けのある数字であること
   ・収益予測、費用予測、利益予測、収支の見込み、キャッシュフロー予測など、将来の財務の
    状況を予測します。このセクションは投資家や金融機関にとって最も重要な部分であり、リ
    アリスティックで詳細な予測が求められます。
   (事実の確認と検証が必須
    →決算書・試算表・資金繰り表・返済予定表等は過去・未来予定分含めて前後3期分くらい
     を分析する
   (過去の振り返りで自社の特徴を把握することが大事)
     ・売上と利益のバランスがよいこと(特に利益は必ず返済額より多いこと)
     ・役員報酬/人件費が妥当であること
     ・人件費以外の費用を含めて経費にムダがないこと
     ・資金計画は綿密に(返済計画と矛盾しないこと)
     ・資本政策では、理想的な「株主構成」「資金調達」の実現を目指します。
      特に、資金調達は(誰から・何に・どれだけ借りて・どう返済するか)を明確にします。
     ・できれば5年後のビジョンにも言及すること
  (10)今後の世界情勢分析による事業成功の裏付け
    ・現在そして今後の世界(事業環境・社会・政治・経済・技術・法律)情勢見通しと、その中
     にあってこの事業が成り立ち、成功する確信があることをアピールします。
    ・「PESTLE分析」の活用
      Political   :政治的要因
      Economic  :経済的要因
      Sociological :社会的要因
      Technological:技術的要因
      Legal    :法的要因
      Environmental:環境的要因
  (11)その他
    ・多忙な融資(出資)担当者が見やすい形にする
     (例:A3用紙1ページで一覧でき、事業計画の概要が全てわかる)
    ・極力整理して冗長化を防ぐ
    ・但し、重要な部分は詳細な説明も必要
    ・図やグラフなどを利用してビジュアル的に分かりやすく
     (人はイメージでものごとを理解する)
    ・事業計画書のフォーマットは決めておく
     (資金調達先により適切なフォーマットや書き方があるので、できれば専門のコンサルタ
      ントに相談する)
    ※最終的には、経営者の熱意がどう伝わるかにかかわってきます

  以上のように、事業計画書では事業概要やビジョン、業務の具体的な内容、市場規模や競合他社、
 サービスや商品、ビジネスモデルや販売戦略、人員計画と財務計画に至るまで、緻密に書くことが重
 要です。さらには、その見栄えや出来栄えも非常に大事であるため、記入するフォーマットの形式に
 も注意を払わなければなりません。

  ネット上では無料の事業計画フォーマットなどもダウンロードすることが出来ますが、やはりプロ
 のコンサルタントが個社に応じたフォーマットで作成する事業計画書に勝るものはありません。
 事業計画書作成のプロや、そのプロが活用するフォーマットやテンプレートを利用し、審査する人が
 一目でわかりやすく理解しやすい事業計画書を作成し、資金調達の可能性を高めることが事業開始へ
 の近道であると言えるでしょう。

4.事業計画書を作成するメリット

 1)可視化によるメリット
  自社の今後の方向性を明確なものにし、強み・弱み・課題等を含めて客観的に具体的に可視化し
  て社内共有することができます。
   強みがわかれば事業の方向性がハッキリしますし、弱みや課題がわかれば会社の改善目標が明
  確になります。
  頭でわかっていたことでも、文章にする(可視化する)ことで会社運営に必要な様々なことが明
  確になるわけです。

 2)社内統一が図れる
  会社・経営者の考えが社内統一され、それぞれの社員は迷うことなく事業を推進できます。特に
  幹部社員を事業計画作成時に参加させることにより、当事者意識・責任感が強くなりますし、そ
  の後の事業遂行時での意欲が違ってきます。
   又、対外部(金融機関、投資家などの資金調達先、ビジネスパートナー 等)に対してのアピー
  ルや説明がしやすくなります。

 3)幹部社員のレベル向上
  事業計画書作成を経験することで、経営者・幹部社員の能力レベル(スキル)UPに役立ちます。
  事業計画書を作成する為には、以下のことを確認・調査・分析し分かりやすくまとめなければなり
  ません。
  ・会社のビジョン、理念、目的
  ・自社の業務内容(あらためて見直す)
  ・自社製品(サービス)の強み、弱み
  ・経営資源(人材)
  ・顧客(販売ターゲット)、顧客に求められていること
  ・目標は(今どこに向かっているのか)
  ・社内体制/各事業・部門の責任者は明確か
  ・課題及び課題解決の進捗状況
  ・具合的な業務計画(スケジュール)/損益計画/返済計画の立案と進行状況把握
   など

  このような緻密に考える作業を通して、経営者・幹部社員ひいては全社員の能力レベル(スキル)
  がUPします。

 4)問題解決力がつく
  不測の事態・難問が出てきても、事業計画書を経営者・幹部をはじめ社員全員で理解していれば、
  裏付けのある問題解決案が出やすくなります。

5.事業計画書作成代行とそのメリット

  事業計画書の作成は経営者自ら行うのが基本ですが、作成作業を短期間に進めていくのは、思った
 以上に大変な作業となります。事業計画書の作成はそんなに頻繁にあるものではありませんし、審査
 の厳しい資金提供者に対して納得性・説得性のある内容にするには、やはりそれなりの経験・テクニ
 ックが必要となります。特に新規に会社設立をする事業者や小規模企業にとっては大きな負担になり
 ます。

  一つの方法として、外部の事業計画書作成の専門家・コンサルタントの活用(作成代行)がありま
 すが、そのメリットとしては、以下の通りです。

<事業計画書を外部の専門コンサルタントに依頼するメリット>
①専門知識を持っていないオーナーでも、適切で質の高い事業計画書が作成可能です。
自社内では気づきにくい問題点や改善点を指摘してくれる可能性があります。
③事業計画の中立性を保つことにより、客観的な視点を失うことがありません。
市場の動向・最新のトレンドやベストプラクティス(成功事例)を取り入れることが可能です。
専門的なノウハウやツールを使った分析や調査により、自社内で行うよりも効率的・正確な情報
  の収集が可能です。

⑥時間・社内リソースが不足していても、迅速かつ効率的に事業計画書を作成することができます。
本来のビジネスに集中することができます。
⑧専門コンサルタントが作成することで、出資者や金融機関などへの強いアピールを行うことが
  きます。

⑨作成された事業計画書は、企業の成長を支える一方で内部の意思決定にも役立つ。

<事業計画書の作成代行サービスの選び方>
 事業計画書の作成代行サービスを選ぶ際には、以下のポイントを考慮しましょう。
 ①実績と評判
  ・過去の取り扱い件数・成功事例や顧客からの評価をチェックします。
 ②専門性
  ・業界の専門知識やビジネスモデルに精通したコンサルタントの有無を確認します。
 ③対応の迅速さとコミュニケーション
  ・迅速かつ適切に対応し、クライアントとのコミュニケーションを重視する業者か
 ④価格と納期
  ・予算や納期に合ったサービスかどうか。コストパフォーマンスの高い業者を選びましょう。
   但し品質が第一になります。
 ⑤信頼性と機密性
  ・企業の機微情報を提供しますので、信頼性・機密情報保護を管理する体制を確認します。
 ⑥アフターサポート
  ・資金調達後もサポートが充実しているかどうかを確認します。

 事業計画書は企業の未来を描く重要なドキュメントです。専門的な知識を持った作成代行業者を
 活用し、最高の事業計画書を作成して、ビジネスの成功につなげましょう。

<事業計画書のアップデートとフォローアップ>
 事業計画書は、一度作成しただけではなく、定期的に見直しやアップデートが必要です。市場環境
 や競合状況の変化、新たなビジネスチャンスやリスクが発生した場合、事業計画書を適時更新する
 ことで、投資家や金融機関に対して企業の状況を正確に伝えることができます。
 また、プロによる事業計画書作成代行サービスを利用する場合、アップデートやフォローアップも
 依頼できることが多いため、企業の状況に応じた最適な事業計画書が常に提供されます。

6.まとめ

  事業計画書は、新規事業やビジネス拡大を計画する企業にとって重要なツールです。それは、企
 業のビジョンを明確にし、戦略を策定し、ステークホルダーと共有するための基盤を提供します。
 さらに、事業計画書は資金調達の成功を後押しし、企業のパフォーマンスを評価し、改善するため
 の基準を提供します。
  つまり、事業計画書がビジネスの成長を加速させることになります。
 但し、事業計画書の作成は専門的な知識と時間を必要とします。作成代行サービスを活用すること
 で、企業はその負担を軽減し、専門家の視点で作成された高品質な事業計画書を手に入れることが
 可能になります。

 適切に作成され、定期的に見直され、効果的に活用される事業計画書は、企業のビジネスを次のレベ
 ルへと導く最強のツールとなるでしょう。

 

※当バルクアップコンサルティング社は、全員が日本及び世界のトップコンサルティングファ
 ームで経験を積んだトップコンサルタントであり真のプロフェッショナル集団です。資金調
 達における事業計画書の作成や事業展開にお悩みの場合は是非一度ご相談下さい。

(事業計画書作成の作成代行サービスについてはこちら)
  → バルクアップコンサルティング社 事業計画書作成サービス
(バルクアップコンサルティング社の概要についてはこちら)
  → バルクアップコンサルティング株式会社

 

 

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