【事業計画書の書き方とフォーマットの使い方】

事業計画書

  新規事業(創業)やビジネス拡大を目指す企業にとって、その方向性を示す「事
 業計画書」は必須です。それは単なる文書ではなく、ビジネスのDNAを刻む繊細で
 複雑なプロセスです。数多くの(1000社以上)事業計画書作成プロジェクトを
 成功に導いた私たちの経験から言えることは、経済環境、業界トレンド、そして財
 務指標を正確に反映した事業計画書が資金調達を実現し、ビジネスの成長を加速さ
 せるということです。
  本記事では、「事業計画書」の意義と書き方の基本・フォーマットの使い方、そ
 して「作成代行」の価値について解説します。適切に作成された事業計画書は、あ
 なたのビジネスを次のレベルへと導く最強のツールとなります。

  (目次)
1.事業計画書の必要性
2.事業計画書の基本的な書き方
3.事業計画書作成代行という方法
4.作成代行サービスの選び方

1.事業計画書の必要性

  新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って、多くの人の価値観が大きく変化し
 ました。どれだけ自分が仕事や健康などに注意していても不可避な病があることを
 知りました。また、自分もこのような不可抗力によって命を落とすかもしれないと
 思うと、もっと自分らしく精いっぱい生き抜いてみようと考える人も多くなるのも
 当然でしょう。
  そこで昔からやってみたかった会社経営や事業を興したい(創業)と考える人も
 多くなっています。

  サラリーマン時代に潤沢に資金を貯めた人は、事業を始める上での資金面での心
 配は必要ありません。しかし多くの人は何百万円や何千万円の資金を持ち合わせて
 おらず、銀行などの金融機関から融資を受けたり、投資家や出資者を募って投資や
 出資をしてもらわなければ事業をスタートさせることはできません。

 しかし融資も出資も投資も、そう簡単にお金を出してもらえるわけではありません。
 こうした資金調達のためには、必ず事業計画書をきちんと作成し、融資や投資の判
 断材料にしてもらう必要があります。事業計画書の出来栄えがあまりにも悪く、安
 定した収益が見込めなければ資金調達は失敗に終わってしまうので緻密に事業計画
 書を作る必要があります。

2.事業計画書の基本的な書き方

 1)事業計画書提出先の分類(用途別)
   (1)融資
    政府系機関(日本政策金融公庫、商工中金等)、民間金融機関 等
   (2)補助金(助成金)
    政府系機関(日本政策金融公庫、商工中金等)、各自治体
   (3)出資・投資
    VC(ベンチャーキャピタル)、PE(プライベート・エクイティ・ファン
    ド)、個人投資家(エンジェル投資家)、クラウドファンディング 等
   (4)事業承継(M&A)
    公認会計士、税理士、弁護士、M&A専門会社、事業承継先 等
   (5)社内
    従業員、親会社、株主、関係・関連会社、各ステークホルダー 等

 2)事業計画書作成の留意事項
   (1) 事業計画書の作成目的を明確にする
    ①資金調達(融資・補助金・出資・投資・事業承継等)の為
    ②自社の事業計画を社内に説明・周知する為

  (2) 事業計画書の見直しは経営者自身が行う
   会社事業の策定・計画・実施・目標達成チェックの責任者は経営者になります。
   この事業計画書の内容は資金調達をする際に重要な役割を果たすとともに、何
   よりもこの困難を乗り越え、事業継続を実現し、ポストコロナ・ウィズコロナ
   時代を生き抜いていく大きな指針となります。

  (3)客観的に実現可能な事業計画書を作成する
   当たり前ではありますが、事業計画書は客観的に納得性があり実現性のあるも
   のでなくては、信頼に欠けるものになります。
   特に資金調達時の担当者はプロですから、裏付けの無い数字には敏感です。希
   望的な数字だけで作成した場合はすぐにわかりますので、審査が通らなくなり
   ます。
    従って、事業(創業)計画書全ての項目に対して、裏付け・根拠のあるもの
   にしておく必要があります。又、この準備をしていれば、融資等審査の面談時
   にもスムーズに説明することが可能になります。

  (4)資金の出し手(金融機関等)側の立場を考慮する
   金融機関の融資担当者は、社内で決裁を通す為に別途融資稟議を書いています。
   ・稟議書が書きやすいような、説明しやすい事業計画書が大事です。
   ・稟議を通したくなる事業内容、経営者(人物)であることをアピールします。

  (5)融資の場合は2行(日本公庫と民間金融機関)に申し込む
   基本的に、この二つの金融機関は併用して利用することが可能です。
   リスク分散のためにも、できれば2行に申し込んだ方が良いでしょう。

  (6) 各種補助金(「事業再構築補助金」等)申請の場合は採択事例を参考にする
   事業再構築補助金については、すでに採択された会社の事業計画書の事例が以
   下のページから参照できますので、参考にしてください。
   自分が資金提供者だったらどう感じるかという視点がポイントになります。
   (中小企業庁:「事業再構築補助金」採択事例)
           https://jigyou-saikouchiku.go.jp/cases.php


 3)事業計画書の項目別記載内容
  提出先・利用目的・フォーマット等で異なりますが、一般的な記載項目は以下の
  とおりです。

  (1) エグゼクティブサマリー
   事業計画書の全体像を簡潔にまとめたもの。ビジネスの概要、目標、そして
   達成のための主要な戦略を明記します。
  (2)会社のプロフィール
   ・会社概要(会社名、所在地、役員、株主、電話番号、ホームページ~)
   ・組織構成、事業構成
   ・沿革/創業の経緯
   ・どんな強みと特徴を持った会社なのか
  (3)経営者のプロフィール
   ・事業経歴、実績、人間性、特技 ~ 、事業の成功を確信させるような内容
    ※魅力ある経営者像
  (4)事業コンセプト、ミッション
   ・会社の使命、ビジョン、ビジネスモデル、提供する製品やサービス、競争優
    位性(強み) など
  (5)マーケット・取扱商品・サービス・ビジネスモデル・戦略
   ・事業ドメイン、得意なマーケット・商品・サービスは何か
   ・市場調査を綿密に実施したデータの裏付け
   (市場分析)対象市場の規模、成長予測、競合状況、顧客の動向などをデータ
         に基づいて詳細に分析します。これにより、市場環境を理解し、
         ビジネスの可能性とリスクを評価します。
   ・製品/サービスライン:提供する製品やサービスの詳細、開発状況、知的財産
    権の保有状況、製品のライフサイクルなどを説明します。
   ・マーケティングと販売戦略:ターゲット顧客の定義、製品のポジショニング、
    プロモーション戦略、販売戦略、価格戦略など、マーケティングと販売に関す
    る全体的な戦略を概説します。
   ・マーケティング戦略(ファイブフォース分析)
    ①競合他社②買い手交渉力③売り手交渉力④新規参入の脅威⑤代替品の脅威
   ・事業展開のシナリオ
  (6)会社の強み・弱み(SWOT分析)
    (Strength)  :強み
    (Weakness) :弱み
    (Opportunity):機会
    (Threat)  :脅威
  (7)取引先・顧客(売上予定の見込が確実か
   ・対象顧客(取引先)と顧客メリット
  (8)役員構成・従業員・組織体制と運営
   ・経営責任者、意思決定の流れ、役割分担(部署名)のわかる組織図
   ・運営体制、役職と職務、必要な人員とスキル、外部のパートナーやサプライ
    ヤーなど、企業の組織構造と運営を詳述します。
  (9)事業見通し(数値目標)、財務計画、資本政策
   ・各数値目標には必ずデータに基づいた根拠があること。特に売上と利益の算
    定根拠が客観的に裏付けのある数字であること
   ・収益予測、費用予測、利益予測、キャッシュフロー予測など、将来の財務状
    況を予測します。このセクションは投資家や金融機関にとって最も重要な部
    分であり、リアリスティックで詳細な予測が求められます。
  (事実の確認と検証が必須
   →決算書・試算表・資金繰り表・返済予定表等は過去・未来予定分含めて前後
    3期分くらいを分析する
  (過去の振り返りで自社の特徴を把握することが大事)
     ・売上と利益のバランスが良いこと
      (特に利益は必ず返済額より多いこと)
     ・役員報酬/人件費が妥当であること
     ・人件費以外の経費にムダがないこと
     ・資金計画は綿密に(返済計画と矛盾しないこと)
     ・資本政策では、理想的な「株主構成」「資金調達」の実現を目指します。
      特に、資金調達は(誰から・何に・どれだけ借りて・どう返済するか
      を明確にします。
     ・できれば5年後のビジョンにも言及すること
 (10)今後の世界情勢分析による事業成功の裏付け
   ・現在そして今後の世界(事業環境・社会・政治・経済・技術・法律)情勢見
    通しと、その中にあってこの事業が成り立ち、成功する確信があることをア
    ピールします。
   ・「PESTLE分析」の活用
      Political   :政治的要因
      Economic  :経済的要因
      Sociological :社会的要因
      Technological:技術的要因
      Legal    :法的要因
      Environmental:環境的要因
 (11)その他
   ・多忙な融資(出資)担当者が見やすい形にする
    (例:A3用紙1ページで事業計画の概要が全てわかる)
   ・極力整理して冗長化を防ぐ
   ・但し、重要な部分は詳細な説明も必要
   ・図やグラフなどを利用してビジュアル的にわかりやすく
    (人はイメージでものごとを理解する)
   ・事業計画書のフォーマットは決めておく
    (資金調達先により適切なフォーマット・テンプレートや書き方があるので、
     できれば専門のコンサルタントに相談する)
  ※最終的には、経営者の熱意がどう伝わるかにかかわってきます

  以上のように、事業計画書では事業概要やビジョン、市場規模や競合他社、サー
 ビスや商品、ビジネスモデルや販売戦略、人員計画と財務計画に至るまで、緻密に
 書くことが重要です。さらには、その見栄えや出来栄えも非常に大事であるため、
 記入するフォーマットの形式にも注意を払わなければなりません。ネット上では無
 料の事業計画フォーマットなどもダウンロードすることが出来ますが、やはりプロ
 のコンサルタントが個社に応じたフォーマットで作成する事業計画書に勝るものは
 ありません。
  事業計画書作成のプロや、そのプロが活用するフォーマットやテンプレートを利
 用し、審査する人が一目でわかりやすく理解しやすい事業計画書を作成し、資金調
 達の可能性を高めることが事業開始への近道であると言えるでしょう。

3.事業計画書作成代行という方法

  事業計画書の作成は経営者自ら行うのが基本ですが、作成作業を短期間に進めて
 いくのは、思った以上に大変な作業となります。事業計画書の作成はそんなに頻繁
 にあるものではありませんし、審査の厳しい資金提供者に対して納得性・説得性の
 ある内容にするには、やはりそれなりの経験・テクニックが必要となります。特に
 新規事業者や小規模企業にとっては大きな負担になります。
  一つの方法として、外部の事業計画書作成の専門家・コンサルタントの活用(作
 成代行)がありますが、そのメリットとしては、以下の通りです。

 1)専門知識を持っていないオーナーでも、適切で質の高い事業計画書が作成可能
   です。
 2)自社内では気づきにくい問題点や改善点を指摘してくれる可能性があります。
 3)事業計画の中立性を保つことにより、客観的な視点を失うことがありません。
 4)市場の動向・最新のトレンドやベストプラクティス(成功事例)を取り入れる
   ことが可能です。
 5)専門的なノウハウやツールを使った分析や調査により、自社内で行うよりも効
   率的・正確な情報の収集が可能です。
 6)時間・社内リソースが不足していても、迅速かつ効率的に事業計画書を作成す
   ることができます。
 7)本来のビジネスに集中することができます。
 8)専門コンサルタントが作成することで、出資者や金融機関などへの強いアピー
   ル
を行うことができます。
 9)作成された事業計画書は、企業の成長を支える一方で内部の意思決定にも役立
   ちます。

4.作成代行サービスの選び方

 事業計画書の作成代行サービスを選ぶ際には、以下のポイントを考慮しましょう。
 1)実績と評判
  ・過去の取り扱い件数・成功事例や顧客からの評価をチェックします。
 2)専門性
  ・業界の専門知識やビジネスモデルに精通したコンサルタントの有無を確認します。
 3)対応の迅速さとコミュニケーション
  ・迅速かつ適切に対応し、クライアントとのコミュニケーションを重視する業者か
 4)価格と納期
  ・予算や納期に合ったサービスかどうか。コストパフォーマンスの高い業者を選び
   ましょう。但し品質が第一になります。
 5)信頼性と機密性
  ・企業の機微情報を提供しますので、信頼性・機密情報保護管理体制を確認します。
 6)アフターサポート
  ・資金調達後もアフターサポートが充実しているかどうかを確認します。

 事業計画書は企業の未来を描く重要なドキュメントです。専門的な知識を持った作成
 代行業者を活用し、最高の事業計画書を作成して、ビジネスの成功につなげましょう。

<事業計画書のアップデートとフォローアップ>
 事業計画書は、一度作成しただけではなく、定期的に見直しやアップデートが必要
 です。市場環境や競合状況の変化、新たなビジネスチャンスやリスクが発生した場
 合、事業計画書を適時更新することで、投資家や金融機関に対して企業の状況を正
 確に伝えることができます。
  また、プロによる事業計画書作成代行サービスを利用する場合、アップデートや
 フォローアップも依頼できることが多いため、企業の状況に応じた最適な事業計画
 書が常に提供されます。

事業計画書の書き方及び作成代行を利用するメリットについては、当ブログ内
 に参考となる記事がありますので、以下のページをご参照下さい。
  →   【成長戦略のカギ】事業計画書の書き方と資金調達への活用法

当バルクアップコンサルティング社は、全員が日本及び世界のトップコンサル
 ティングファームで経験を積んだトップコンサルタントであり真のプロフェッ
 ショナル集団です。資金調達における事業計画書の作成や事業展開にお悩みの
 場合は是非一度ご相談下さい。

(事業計画書作成の作成代行サービスについてはこちら)
  → バルクアップコンサルティング社 事業計画書作成サービス

(バルクアップコンサルティング社の概要についてはこちら)
  → バルクアップコンサルティング株式会社

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