日本政策金融公庫は政府系金融機関の一種であり、融資を受けることができます。日本政策金融公庫の立ち位置は「通常の金融機関の補完役」であり、実際に日本政策金融公庫から融資を受ける企業の大半は、銀行などからもお金を借りています。

日本政策金融公庫の融資を受けるためには事業計画書が重要!

銀行融資

日本政策金融公庫は利用しやすい政策金融機関

融資審査で合格するためのポイントは「質の高い事業計画書」

日本政策金融公庫は政府系金融機関の一種であり、融資を受けることができます。日本政策金融公庫の立ち位置は「通常の金融機関の補完役」であり、実際に日本政策金融公庫から融資を受ける企業の大半は、銀行などからもお金を借りています。

ここでは日本政策金融公庫融資の概要と、融資を受けるために欠かせない事業計画書に関してお伝えしていきます。

1.日本政策金融公庫の概要

国の農林漁業政策や中小企業・小規模企業事業政策をベースとして、予算や法律の範囲内で金融機能を果たしている政策金融機関です。「一般金融機関の補完をすること」が役割といえます。

日本政策金融公庫の主な事業内容は以下の通りです。

1)国民一般向け業務(国民生活事業)

・事業資金融資(小口)

・国の教育ローン、共済年金・恩給などを担保とする融資

・創業サポート、事業継続サポート、事業再生サポート、海外展開サポート、ソーシャルビジネスサポート

2)中小企業者向け業務(中小企業事業)

・中小企業に対する長期事業資金融資

・信用保証協会が実行している債務保証に関する保険引受等

・ビジネスマッチングなどによる経営課題解決サポート

・新事業サポート、事業承継サポート、事業再生サポート、証券化サポート、海外展開サポート

3)農林水産事業者向け業務

・農林水産者に対する融資(農林水産事業に携わる人材を支え育てる)

・加工流通分野に対する融資(農食連携や食の安全維持を支える)

・経営サポートサービス(ビジネスマッチング、コンサルなど)

※1)~3)により以下が期待できます。

・お客様の成長支援

・地域経済の活性化

・中小企業のグローバル化

4)危機対応円滑化事業

「大災害などにより危険が発生したり、金融秩序が混乱したりした際に、指定の金融機関に対して、信用供与をする業務」と「低炭素投資促進法などをベースとして、指定の金融機関に融資などをする業務」などをしています。

具体的には、コロナウイルスによる打撃を受けた事業者のサポート、東日本大震災などの災害からの復旧サポート、海外展開をはじめとする成長戦略のサポートなどに力を入れています。

また、新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)が2020年8月からスタートしました。当初の貸付上限金額は7.2億円でしたが、2021年7月に10億円となりました。中小企業者などの資金調達状況や、いまだに続く新型コロナウイルスなどの影響を考慮しての引き上げといわれています。

2. 新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付

公的支援制度の中には、内容や条件が入り組んでいて理解しにくいものも少なくありません。しかし新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付は、非常にシンプルかつ、借りる側(企業)にとって利用しやすいものであるといえます。

新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付の主な特徴を挙げます。

(保証人)

不要です。

(担保)

不要です。

(借入金の扱い)

この借入金を、金融機関は「自己資本」とみなします。つまり「自己資本が多くなる(負債が増えるわけではない)」ということであるため、自己資本比率に悪影響を及ぼすことはありません。そのため追加融資審査もパスしやすくなります。

(利率)

利率は業績次第で変わります。赤字の際には金利が低くなるため、返済しやすくなります。

(返済の仕方)

最終期限までは利息だけを返済し、元金は最終日に一括で支払います。そのため資金調達のための有効な手段といえます。ただし融資から5年間は繰り上げ返済不可となります。

(償還順位)

裁判所により「法的倒産手続きの開始決定」がなされた際、あらゆる債務に劣後します(=返済順位が低い)。

(新型コロナウイルス感染症対特別貸付との兼ね合いについて)

「新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付」と「新型コロナウイルス感染症対特別貸付」は両方利用できます。たとえば(審査結果次第では)どちらも上限額まで利用することも可能です。

3.事業計画書・創業計画書の重要性について

日本政策金融公庫の融資を受けるためには事業計画書・創業計画書が必要です。

事業計画書は「既に事業を持っている経営者」が作成するものであり、基本的には「事業資金を作るため」に書きます。試算表や決算書などから「これまでの経営実績」を洗い出し、それをベースに事業計画書を作ることになります。

一方、創業計画書は「創業したい人」が作成するものであり、原則として「起業の際の事業資金を作るため」に書きます。将来見込(事業目論見)を根拠に創業計画を練ります。

具体的にいうと、事業計画書・創業計画書には主に以下の内容を記載します。

・経営理念

・ビジョン

・オリジナリティ

・成長性

・事業推進計画

・各組織体制

・売上/収益見込などの数値目標

など

事業計画書・創業計画書をあらゆる方向から検証して審査を行いますが、「返済可能である(利息つきでも可能である)」「成長ポテンシャルが高く、リターンがある」とみなされないと融資を受けることはできません。つまり事業計画書・創業計画書によって、「これから経営を維持向上して、大きく躍進することができます」と示す必要があるのです。

そのため資金繰りを受けるためのカギは、「実現性が高く、根拠のある事業計画書・創業計画書」を作ることにあるといえます。

日本政策金融公庫には、(創業を含め)中小企業をサポートする使命がありますから、良質な計画書を提示すれば応えてくれる可能性が高いです。

4.事業計画書・創業計画書を作ることのその他のメリット

1)企業としてのこの先の方向性をはっきりさせて、客観性・具体性をもって可視化し、社員間で共有することが可能となります。たとえば企業としての長所・短所・課題などを、全員が理解できます。

2)経営者・企業としての考えが社内に浸透し、従業員などが不安を抱いたり迷ったりせずに取り組めるようになります。特に事業計画書作りに幹部クラスを参加させることで、責任感や当事者意識が高まります。また、事業を行うためのモチベーションを上げることもできます。

3)「事業計画書を作る」という行為自体によって、能力を高めることができます。

先述の内容と重なりますが事業計画書を作るためには、主に以下のことをチェック・調査・分析・精査する必要があります。それを通じて経営者や幹部社員はもちろん、全従業員の能力がアップするのです。

・企業理念、ビジョン、目的

・目標(現在の方向性)

・業務内容

・商品やサービスの長所、短所

・人材(経営資源)

・販売ターゲット(ユーザー層)

・ユーザーのニーズ

・社内体制(全ての部門・事業の責任者が誰であるかはっきりしているか)

・具体的な業務スケジュール

・損益計画や返済計画の作成、進行状況の厳密な理解 

など

4)問題解決能力の向上

全社員が事業計画書を理解していれば、何らかの問題が起きた際に、根拠のある解決策を出しやすくなります。

5.まとめ

ベンチャー企業や中小企業は日本の未来を支える存在であるものの、ウクライナ危機やコロナ禍などの社会的問題の影響もあって、資金繰りをすることが難しくなっています。

しかし今回紹介したように「根拠がある質の高い事業計画書」を作ることができれば、日本政策金融公庫などからの融資を受けやすくなります。

ただ、融資審査で合格できるようなレベルの高い事業計画書をスムーズに作成するのは非常に困難です。そもそも事業計画書を作った経験がある方はそれほどいないでしょうから、準備段階で苦労する可能性が高いです。また、作成がスタートしても、複数人が関わるためそれぞれの人の都合がなかなかつかず、思うように進めていくことが難しくなるかもしれません。

しかし外部の「事業計画書作成コンサルタント」に依頼すれば、高品質な事業計画書を迅速に作ることができます。そうなれば他の作業・業務に専念できますし、資金調達も早く完了することでしょう。

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