注目!事業再構築補助金:第6回公募の変更点

補助金

注目! 事業再構築補助金:第6回公募の変更点

令和4年度も事業再構築補助金は継続!

売上高条件の緩和、申請類型の新設等で対象事業者増か?

やはり事業計画書作成ノウハウがポイント!

 

「令和3年度補正予算案」が令和3年12月20日に成立し、事業再構築補助金は令和4年度以降も継続することとなっています。(「中小企業等事業再構築促進事業」で6,123億円の補正予算枠!)

新型コロナウィルス感染症の拡大で経営状況が悪化している中堅・中小企業ではポストコロナ・ウィズコロナ時代に対応すべく、事業再編・新事業展開・業種転換・設備導入等にチャレンジしている企業も少なくありません。そんな企業をサポートするために実施されている「事業再構築補助金」(経済産業省/中小企業庁)。

2021年3月26日の第1回公募以来利用者は拡大し大きな成果をあげています。第1次~4次公募までの応募件数及び採択件数の合計は、それぞれ65,106件/30,033件となっており、関心の高さをうかがえます。第5回公募は2022年3月24日に終了し、次回(第6回)の公募は3月下旬に公募予定となっていますが、今回は内容に大幅な変更があり、今後事業再構築補助金を申請する予定の事業者は十分に内容を理解しておく必要があります。

ここでは、「事業再構築補助金」の概要と第6回公募の変更点について解説するとともに、その申請時に大事なポイントとなる事業計画書作成のノウハウについても説明します。

 

目次
1.事業再構築補助金とは?
2.事業再構築補助金申請の要件
3.事業再構築補助金:第6回公募における変更点
4.認定経営革新等支援機関について
5.事業計画書作成のポイント(ノウハウ)
6.まとめ

 

1.事業再構築補助金とは?

経済環境の劇的な変化(ポストコロナ・ウィズコロナ時代)に対応するため、新事業(分野)展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編等への取り組み、といったような思い切った事業再構築に挑戦する中小企業を支援する補助金制度です。

新型コロナウィルス感染症の影響が長期化する中で、短期的な資金繰り等を支援するということよりも、中小企業等の事業再構築つまり企業体質を根本的に強化し、今後長期的に外的変化に耐えうる日本経済の構造転換を促すことが目的になります。従って、この補助金制度を申請・利用すること自体が自社の変革・体質強化につながることになります。

■事業再構築補助金の詳細については、以下のサイトを参照ください。(経済産業省 https://jigyou-saikouchiku.go.jp/#c1 )

2.事業再構築補助金申請の要件

「事業再構築補助金」の申請要件・公募要領などの詳細については、上述の「事業再構築補助金」のサイトや事業再構築補助金事務局のサイトをご確認ください。必須となっている申請要件は以下のとおりです。(第5回公募まで。第6回公募から変更があります。)

  1. 売上が減っていること(以下の(a)・(b)の条件を満たすこと。補足条件もあり。)
    (a)2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前(2019年または、2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。
    (b)2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少していること。
  2. 新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編に取り組むこと
  3. 認定経営革新等支援機関の確認書を得ること

3.事業再構築補助金:第6回公募における変更点

「第5回公募まで」と「第6回公募から」の申請類型の変更一覧表は以下のとおりです。

第5回公募まで 変更内容 第6回公募から
通常枠 継続 通常枠
緊急事態宣言特別枠 廃止→新設 回復・再生応援枠
卒業枠・グローバルV字回復枠 廃止→新設 グリーン成長枠
最低賃金枠 継続 通常枠
大規模賃金引上げ枠 継続 大規模賃金引上げ枠

■売上高10%減少要件の緩和

    • (第5回まで) 以下の(a)、(b)両方を満たしていること
      (a)2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前(2019年または、2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
      (b)2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少していること。
    • (第6回での変更)→(a)のみが必要要件となります。((b)は撤廃)

■回復・再生応援枠の創設

「緊急事態宣言特別枠」は廃止され、「回復・再生応援枠」が新設されます。

これは、引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者を対象とした助成金で、上限は1,500万円までとなります。さらに補助率は2/3から3/4に引き上げられ、手厚い支援となっています。また、事業再構築指針の要件について、主要な設備の変更を求めないこととする緩和策も実施されます。(これまでは、「既存の設備の撤去や既存の店舗の縮小等」が求められていました。)この回復・再生応援枠の対象事業者は通常枠の申請要件に加え、以下①又は②のどちらかの要件を満たすものとなっています。

  1. 2021年10月以降のいずれかの月の売上高が、対2020年又は2019年同月比で30%以上減少していること
  2. 再生支援協議会スキーム等に則り再生計画を策定していること(詳細な要件は検討中とのことです。経済産業省:事業再構築補助金のサイトは注視しておいてください)

この回復・再生応援枠の補助金の補助金額・補助率は以下のとおりです。

従業員数 補助金額 補助率
5人以下 100万円~500万円 中小企業 3/4

中堅企業 2/3

6人~20人 100万円~1,000万円
21人以上 100万円~1,500万円

■グリーン成長枠の創設

これまでの「卒業枠」「グローバルV字回復枠」は廃止となり、新たに「グリーン成長枠」が創設されます。これは、グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者を対象に、補助上限額を最大1.5億円まで引き上げた新しい申請類型になります。(売上高10%減少の要件は課されません!)

この枠は、コロナによる影響が少なくこれまでの事業再構築補助金対象事業者の要件をみたさなかった事業者でも、脱炭素社会の実現を目指す事業者については国としてサポートしていく意思の表れだと思います。2030年の温室効果ガス排出量削減目標・2050年のカーボンニュートラル目標の実現を目指したものでしょう。(参照:経済産業省 「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を策定しました」https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201225012/20201225012.html

尚、グリーン成長枠については、特例的に、過去支援を受けたことがある事業者も再度申請することを可能となり、採択された場合には支援を受けることが出来ます。(但し、支援を受けることができる回数は2回が上限)

(対象となる事業者)

  1. 事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること。(補助額3,000万円超は金融機関の参画も必要)
  2. 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率5.0%以上の増加 又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定すること(※通常はそれぞれ年率平均3.0%以上増加)※「付加価値額」=営業利益+人件費+減価償却費
  3. グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、2年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと、このグリーン成長枠の補助金額・補助率は以下のとおりです。
中小/中堅 補助金額 補助率
中小企業 100万円~1億円 1/2
中堅企業 100万円~1.5億円 1/3

※追加提出資料:通常の申請に加えて、以下の二つの資料の提出が必要となります。

  1. 既に事業再構築補助金で取り組んでいる事業再構築とは異なる事業再構築であることの説明資料
  2. 既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があることの説明資料

■通常枠の補助上限額の見直し

より多くの事業者を支援するため、通常枠の補助上限額について以下のとおり見直しがあります。(2,000万円が追加され、限られた予算でより多くの事業者を支援するための見直しです)

従業員規模 補助金額 補助率
第5回公募まで 第6回公募以降
20人以下 100~4,000万円 100~2,000万円 【中小企業】 2/3
21人~50人 100~6,000万円 100~4,000万円 (6,000万円超は1/2)
51人~100人 100~8,000万円 100~6,000万円 【中堅企業】 1/2
101人以上 100~8,000万円 (4,000万円超は1/3)


2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
(通常枠の要件)

  1. 事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること(補助額3,000万円超は金融機関も必須)
  2. 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定すること

■その他の運用見直し

変更点 内容
補助対象経費の見直し

(建物費・研修費) ※

① 「建物費」については、原則、改修の場合に限ることとし、新築の場合には、一定の制限を設ける。

② 「研修費」については、補助対象経費総額の1/3を上限とする。

複数企業等連携型の新設 1者あたり各申請類型の上限額を上限として、最大20社まで連携して申請することを認めることとし、一体的な審査を行う。この場合、売上高10%減少要件は、

①各者で要件を満たすこと、

②連携体合算で要件を満たすこと(ただし同月を用いる)

のいずれかを満たすことで要件を満たすこととする。

事前着手の対象期間の見直し 事前着手の対象期間を現在の2021年2月15日から見直し、2021年12月20日以降とする。

(注)既に事前着手を開始している事業者の方は、第6回公募以降は対象経費として認められなくなる場合がありますのでご注意ください。


4.事業計画書作成のポイント(ノウハウ)
※今までは、「新築時」の経費についても補助対象でしたが、第6回公募以降は「原則、改修の場合に限ること」となっています。建設費用などで申請予定の事業者は注意が必要です。

事業計画を策定するにあたって、自社の事業計画書を作成するにはそれなりのノウハウが必要となります。

  • 事業計画書作成の目的を再確認する

事業計画書本来の目的である「会社の経営理念(ビジョン/ポリシー)・事業内容・事業方針及び経営戦略を明確にし、今後の事業推進計画・数値目標(売上、損益予想等)・各組織及び各個人のやるべきこと等を可視化し、社内に周知すること。そして社外に認知してもらうこと」について再度確認してください。

  • 事業計画書の見直しは経営者自身が行うこと

会社事業の策定・計画・実施・目標達成チェックの責任者は経営者になります。また、この「事業再構築補助金」の申請や金融機関から融資を受ける際にもこの事業計画書の内容は重要な役割を果たしますし、何よりもこの困難を乗り越え、事業継続を実現し、ポストコロナ・ウィズコロナ時代を生き抜いていく大きな指針となるからです。

  • 「事業再構築補助金」の採択事例を参考にする

この補助金については、すでに採択された会社や飲食店の事業計画書の事例が以下のページから参照できますので、参考にしてください。自分が資金提供者だったらどう感じるかという視点がポイントになります。

(中小企業庁:「事業再構築補助金」採択事例)URL:https://jigyou-saikouchiku.go.jp/cases.php

5.まとめ

ここまで説明しましたように、事業再構築補助金の制度は第6回公募から大きく変更されることとなりました。この補助金の申請準備をされている方は、内容を十分に理解して作業をすすめるようにしてください。

この補助金は新型コロナ感染拡大により売り上げが減少して経営が厳しくなった中堅企業・中小企業・個人事業主が、新事業(分野)展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編等への取り組み等、事業再生に本気で挑戦することを支援する制度です。

さらに「グリーン分野での事業再構築」などを創設し、地球規模での環境改善にも取り組もうとしています。結果的に、全産業を活性化して、日本全体の生産性向上・平均収入向上を図るねらいがあります。

是非、この制度を有効に活用してこの難局を乗り切りましょう。

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