経産省スタートアップ支援策:融資支援は事業計画書で!

銀行融資

経産省:各種スタートアップ支援策のご紹介
各種融資支援制度申込には、まずは事業計画書の作成を!

我が国の次世代の経済成長を支えるスタートアップ企業。
新技術や多彩で多様なアイデアで世界を席巻する可能性を秘めたスタートアップ企業の活躍が、今ほど求められている時はないでしょう。
2022年6月21日、経済産業省はスタートアップ企業の成長を後押しする為、スタートアップ企業やその成長を支援する投資家・大学等に向けた「METI Startup Policies ~経済産業省スタートアップ支援策一覧~」を公表しました。
今回はその中から、融資関連の諸制度をご紹介します。

1.「スタートアップ支援策」の概要

各種スタートアップ支援策は「支援類型」と「支援対象」の二つの軸で一つのマップに整理されています。

「支援類型」:融資/税制措置/補助金・委託費・懸賞金/アクセラレーションインキュベーションプログラム/知財/指針・ガイドライン/規制改革/海外展開・協業支援/表彰/その他
「支援対象」:起業を目指す方/シード/アーリー/ミドル/レイター/事業会社・投資家/研究機関・大学/自治体

(参照:経産省 「経済産業省スタートアップ支援策一覧 別冊 カオスマップ」)     https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/meti_startup_policies/bessatu_220621.pdf

以下では、特に資金調達の支援策としての融資類型についてまとめてみます。

2.融資関連支援策の内容

(1)新規開業支援資金 (日本公庫)
新たに事業を始める方、または新たに事業開始後概ね7年以内の方を対象に、貸付利率等に特例を設けることで、幅広い方の創業を支援する制度
(対象者)  新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方。
その事業について適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると認められることが条件。
(資金使途) 新たに事業を始める、又は事業開始後に必要とする設備資金・運転資金
(融資限度額) 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
(返済期間) 設備資金 20年以内<うち据置期間2年以内>
運転資金 7年以内<うち据置期間2年以内>
(利率(年)) 基準利率。ただし、別途記載の要件に該当する方が必要とする資金は特別利率。なお、融資後に利益率や雇用に関する一定の目標を達成した場合に利率を0.2%引下げる「創業後目標達成型金利」については、別途資料参照
(担保・保証人) 希望により相談
(併用できる融資制度)
①無担保・無保証人を希望
【新たに事業を始める方・税務申告を2期終えていない方】
新創業融資制度
【税務申告を2期以上終えている方】
担保を不要とする融資制度
経営者保証免除特例制度
②新たに事業を始める方・税務申告を2期終えていない方
創業支援貸付利率特例制度
③設備投資を行う方
設備資金貸付利率特例制度(全国版)
設備資金貸付利率特例制度(東日本版)

 (2)ディープテックベンチャー向け債務保証制度 (指定金融機関)
ディープテック(大規模研究開発型)ベンチャー企業の量産体制整備等のための資金に対する融資に関し、債務保証を行う制度
(対象者) VC等のファンドから出資を受けている非上場のディープテックベンチャー企業
(要件) ・組織内に研究開発機能を有していること
・事業活動計画において研究成果を活用していること
・指定金融機関等からの借入であること 等
(措置内容)保証率:50%
保証金額:1.5~25億/件
保証料 :原則0.3%(有担保)、0.4%(無担保)
保証期間:設備投資10年、設備投資以外5年  ※中小機構の保証審査による

(詳細:経産省「ディープテックベンチャーへの民間融資に対する債務保証制度」)
https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/debt.html

 (3)新創業融資制度 (日本公庫)
新たに事業を始める方または新たに事業開始後税務申告を2期終えていない方へ、無担保・無保証人で融資を受ける事ができる(事業計画の審査あり)特例制度
(対象者)次のすべての要件に該当する方
①対象者の要件
新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方
②自己資金の要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方(例外あり)
(資金使途) 新たに事業を始める、又は事業開始後に必要とする設備資金・運転資金
(融資限度額)  3,000万円(うち運転資金1,500万円)
(返済期間)  各融資制度に定める返済期間以内
(利率(年)) 日本公庫:中小企業事業(主要利率一覧表)
https://www.jfc.go.jp/n/rate/base.html
(担保・保証人) 原則不要

(4)創業支援貸付利率特例制度 (日本公庫)
新たに事業を始める方または新たに事業開始後税務申告を2期終えていない方へ、利率の引き下げを通じて創業を支援する制度 (創業機運の醸成および創業促進を図るため)
(対象者) 新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方
(資金使途)  各融資制度に定める資金使途
(融資限度額) 各融資制度に定める融資限度額
(返済期間)  各融資制度に定める返済期間以内
(利率(年))  各融資制度に定める利率-0.65%
ただし、雇用の拡大を図る場合は、各融資制度に定める利率-0.9%

(出典:経産省「METI Startup Policies ~経済産業省スタートアップ支援策一覧~」を取りまとめました)
https://www.meti.go.jp/press/2022/06/20220621001/20220621001.html

3.事業計画書(創業計画書)の重要性

新型コロナウイルス感染症の影響や、ロシアによるウクライナの侵略を巡る国際情勢など非常に複雑な経済環境の中にあって、今後の日本経済の成長を実現するためには、世界規模でのイノベーションを促すことが大きなポイントとなっています。

その役割を担うのが、スタートアップ企業の新しい技術やアイデアであり、その活躍こそが成長のエンジンとなるでしょう。
そんなスタートアップ企業を支援する国の制度は常時いろいろと出てきています。
上述のような各種支援制度をうまく活用して資金調達を図ることが、スタートアップ企業の最優先課題といえるでしょう。

そして、どのような制度(資金調達方法)を選択しても、事業計画書の作成は必須となります。
政府系機関や民間金融機関に相談する時、あるいは支援の申請手続きをする場合でも必ず創業の目的や現状、そして将来の展望を的確に説明することとなります。
そんな時のバックボーンとなるのが事業計画書です。

又、政府系機関や民間金融機関の担当者は融資申込時に提出した事業計画書を基に社内の稟議書を作成します。その稟議書を作成しやすいように、わかりやすく、納得性・実現性のあるものにすることがとても大事になります。

事業計画書の作成は経営者自ら行うのが基本ですが、作成作業を短期間に進めていくのは、思った以上に大変な作業となります。又、このような創業時の事業計画書の作成はそんなに頻繁にあるものではありませんし、対外部に対して納得性・説得性のある内容にするには、やはりそれなりのテクニックが必要となります。
そんな時は、外部の事業計画書作成の専門家(コンサルタント)の活用も一つの方法といえるでしょう。

 

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