この記事はこんな方におすすめ
- 事業計画書を作りたいけれど、何から始めればいいか分からない方
- 無料で使える事業計画書のテンプレートを探している方
- テンプレートの選び方や、使う上での注意点を知りたい方
- 融資や出資を受けるために、説得力のある事業計画書を作成したい方
サマリー動画(約90秒)
約90秒の動画でこの記事のポイントを解説します。
はじめに:テンプレートは事業計画の「設計図」の土台
会社の未来を描く事業計画書。いざ作成しようとしても、「どんな項目を、どの順番で、どう書けばいいのか…」と手が止まってしまう方は少なくありません。特に、創業や新規事業の立ち上げ、資金調達といった重要な局面では、そのプレッシャーも大きいでしょう。
そんな時に心強い味方となるのが「テンプレート」です。テンプレートを使えば、必要な項目を漏れなく盛り込み、思考を整理しながら効率的に計画書を作成できます。
しかし、注意も必要です。ただ単に空欄を埋めるだけでは、誰の心にも響かない形式的な書類になってしまいます。テンプレートはあくまで土台であり、その上に自社の事業への情熱や独自性、実現可能性を具体的に描き込んでこそ、本当に「使える」事業計画書となるのです。
この記事では、無料で利用できる事業計画書テンプレートを比較しつつ、自社の目的に合ったテンプレートの選び方、そしてテンプレートを最大限に活用するための注意点やコツを詳しく解説します。
無料テンプレート3選と選び方のポイント
無料で手に入るテンプレートは数多くありますが、どれを選べば良いのでしょうか。ここでは代表的なものを3つ紹介し、選ぶ際のポイントを解説します。
代表的な無料テンプレート
1. 日本政策金融公庫の「創業計画書」
特徴:
公的金融機関の公式フォーマットであり、特に創業融資を申し込む際には必須となります。項目がシンプルで分かりやすく、初めて事業計画書を作る方でも取り組みやすいのが魅力です。
入手先:
日本政策金融公庫の公式サイトからダウンロードできます。
2. J-Net21(中小機構)の「事業計画書」
特徴:
中小企業支援を行う独立行政法人「中小企業基盤整備機構」が提供するテンプレートです。汎用性が高く、幅広い業種や目的に対応できるよう詳細な項目が設定されています。書き方の手引きも充実しており、参考にしながら進められます。
入手先: J-Net21のウェブサイト内で提供されています。
3. 民間のコンサルティング会社などが提供するテンプレート
特徴:
ベンチャーキャピタル(VC)やM&A仲介会社、経営コンサルティング会社などが独自に配布しているものです。投資家目線が盛り込まれていたり、特定の業界に特化していたりと、ユニークなものが見つかる可能性があります。
入手先:
各社のウェブサイトで、会員登録などを条件に配布されていることが多いです。
テンプレート選びで失敗しない3つのポイント
やみくもに選ぶのではなく、以下の3つのポイントを意識して、自社に最適なテンプレートを見つけましょう。
1. 目的に合っているか
事業計画書は、誰に何を伝えたいのかによって書くべき内容が異なります。例えば、日本政策金融公庫に提出する事業計画書の書き方【審査通過のコツを徹底解説】を参考にするなら、返済能力を示すことが重要です。一方で、投資家向けなら事業の成長性や将来性を強くアピールする必要があります。提出先や目的に合ったテンプレートを選びましょう。
2. 必要な項目が網羅されているか
テンプレートによって項目の詳しさは様々です。自社のビジネスモデルを説明するのに十分な項目が揃っているか確認しましょう。基本的な構成については事業計画書の構成とは?資金調達を成功に導く書き方とチェックリストで詳しく解説していますが、最低でも以下の項目は必要です。
- 事業概要(ビジョン、ミッション)
- 事業内容(製品・サービス)
- 市場環境・競合分析
- マーケティング戦略
- 生産・販売計画
- 財務計画(収支計画、資金計画)
- 人員計画
3. フォーマットは使いやすいか
テンプレートは主にWord、Excel、PowerPointの形式で提供されます。それぞれの特徴を理解し、自分にとって使いやすいものを選びましょう。
| フォーマット | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| Word | 文章作成がメインで、長文での説明に適している。 | 表やグラフの作成・編集がしにくい。 |
| Excel | 収支計画などの財務シミュレーションに非常に強い。計算式を組める。 | デザイン性が低く、プレゼン資料には向かない。 |
| PowerPoint | 図やグラフを用いて視覚的に分かりやすく表現できる。プレゼン向き。 | 詳細な財務計画など、細かい情報の記載には不向き。 |
それぞれの長所・短所を理解し、目的に応じて使い分けるか、組み合わせて使うのが賢い方法です。詳しくは事業計画書のフォーマット選び|Word・Excel・PowerPointの違いとは?も参考にしてください。
テンプレート利用時の注意点|ただ埋めるだけではNG
便利なテンプレートですが、使い方を誤るとかえって事業の魅力を損なうことにもなりかねません。ここでは、よくある失敗例と注意点を解説します。
形式を埋めることが目的になってしまう
最も陥りやすいのが、「テンプレートの空欄を埋めること」自体がゴールになってしまうケースです。これでは、どこかで見たような当たり障りのない内容になり、読み手の心には響きません。テンプレートはあくまで思考を整理するための「型」です。その型を使いながらも、いかに自社の独自性や熱意を「自分の言葉」で語れるかが重要です。
財務計画が甘くなる
特にExcelテンプレートを利用する場合、すでに入っている計算式や前提条件を理解しないまま数字を入力してしまうと、根拠の薄い計画になりがちです。なぜその売上目標なのか、原価はどのように見積もったのか、具体的な行動計画と数字が連動していなければなりません。財務3表とは?PL・BS・CFの基礎と事業計画書への活かし方をわかりやすく解説を理解し、説得力のある財務計画を作成することが不可欠です。
他社との差別化が難しい
多くの人が同じテンプレートを使うと、どうしても構成や表現が似通ってきます。金融機関の担当者や投資家は、日々多くの事業計画書に目を通しています。「またこのパターンの計画書か」と思われてしまっては、大きな機会損失です。テンプレートをベースにしつつも、自社の強みや独自性が際立つような工夫を加えましょう。
FAQ(よくある質問)
Q1:テンプレートはどのファイル形式(Word, Excel, PowerPoint)が良いですか?
A:一長一短があるため、目的によって使い分けるのがおすすめです。文章で事業内容をしっかり説明したいならWord、詳細な収支計画や複数のシナリオでシミュレーションしたいならExcel、投資家向けに視覚的にプレゼンしたいならPowerPointが適しています。提出先や用途に合わせて最適な形式を選びましょう。
Q2:テンプレート通りに書けば、融資審査に通りますか?
A:残念ながら、テンプレートを埋めるだけで審査に通るわけではありません。審査では、事業の実現可能性、収益性、そして経営者の熱意や人柄が総合的に判断されます。テンプレートはあくまで形式を整える道具です。中身の説得力が最も重要であり、金融機関が見ているポイントは?事業計画書で融資審査を突破するコツを理解することが成功の鍵です。
Q3:テンプレートを使わずに自作するのはダメですか?
A:もちろん、ダメではありません。必要な項目を理解し、論理的に構成できるのであれば、オリジナルの事業計画書は独自性をアピールする上で非常に有効です。ただし、作成には多くの時間と労力がかかります。テンプレートを参考にしつつ、自社に合わせてカスタマイズしていく方法が現実的かもしれません。
Q4:良いテンプレートが見つからない場合はどうすればいいですか?
A:複数のテンプレートを参考に、良い部分を組み合わせて自社オリジナルのフォーマットを作成するのも一つの手です。また、時間がない、あるいはより質の高い計画書を目指したい場合は、専門家に相談することも有効な選択肢です。
専門家への相談も選択肢の一つ
テンプレートは非常に便利なツールですが、あくまで「標準的な型」に過ぎません。自社のビジネスが持つ独自の価値や、複雑な財務状況、野心的な成長戦略を余すところなく表現するには、専門的な知識が必要になる場面も多々あります。
特に、多額の資金調達を目指す場合や、事業承継、M&Aといった専門性が求められる局面では、事業計画書の出来栄えが結果を大きく左右します。
そのような場合、事業計画書作成の専門家や、財務戦略に強いコンサルタントに相談するのも賢明な判断です。M&Aや資金調達を専門とするコンサルティング会社の中には、事業計画書の作成から金融機関との交渉まで一貫して支援してくれる企業もあります。例えば、バルクアップコンサルティング株式会社は、年間260社の事業計画書作成実績を持ち、財務の視点から経営判断をサポートするサービスを提供しています。こうした外部の知見を活用することで、客観的で説得力のある事業計画書を作成することが可能になります。
まとめ
事業計画書のテンプレートは、複雑な計画策定のプロセスを効率化し、思考を整理してくれる強力なツールです。しかし、その価値を最大限に引き出すには、単に空欄を埋めるのではなく、テンプレートを「使いこなす」という視点が欠かせません。
本記事で紹介した選び方のポイントや注意点を参考に、まずは自社の目的に合ったテンプレートを探してみてください。そして、テンプレートという土台の上に、あなたの事業への情熱と、実現に向けた具体的な戦略を、あなた自身の言葉で描き込んでいきましょう。
質の高い事業計画書は、未来への羅針盤となり、あなたのビジネスを力強く前進させてくれるはずです。
より専門的なサポートが必要な場合は、専門家の知見を借りることも検討してみましょう。
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執筆者:佐藤 宏樹(BulkUp Group, CEO)
バルクアップグループ3社の経営を担う、バルクアップコンサルティング株式会社 代表取締役社長。京都大学MBA。2013年に日本公認会計士試験および米国公認会計士試験(USCPA)に合格。三菱UFJ銀行にて法人営業を経験した後、PwCの事業再生アドバイザリーチームにて不採算事業の再建・資金繰り改善支援に従事。その後、独立。現在は事業計画書作成支援・資金調達アドバイス・小規模M&AのFA・DD業務などを手掛け、財務・法務・ITを横断したハンズオン支援を提供している。25以上の金融機関と連携。

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