事業計画書の書き方から資金調達方法まで徹底解説します

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サブスクモデルを導入した事業計画書の作成ポイント|成功の鍵はKPIにあり

サブスクモデルを導入した事業計画書の作成ポイント|成功の鍵はKPIにあり

この記事はこんな方におすすめ

  • これからサブスクリプション事業を始めたいが、事業計画書の書き方がわからない経営者の方
  • 金融機関や投資家に対し、サブスクモデルの将来性や収益性をうまく説明したいと考えている方
  • 解約率(チャーンレート)やLTV(顧客生涯価値)など、サブスク特有の指標の扱い方に悩んでいる方
  • 安定収益と事業成長を両立させるための具体的な計画の立て方を知りたい方

サマリー動画(約90秒)

約90秒の動画でこの記事のポイントを解説します。


なぜ今、サブスクモデルの事業計画書が重要なのか?

近年、ソフトウェア業界にとどまらず、飲食、小売、コンテンツ配信など、様々な分野で「サブスクリプション(サブスク)モデル」が注目を集めています。毎月定額の収益が見込めるため、事業の安定性が高いビジネスモデルとして、多くの経営者が関心を寄せています。

しかし、その一方で、「従来の売り切り型ビジネスと比べて、事業計画を立てるのが難しい」という声も少なくありません。

  • 「将来の売上予測の根拠をどう示せばいいのだろう?」
  • 「顧客獲得のための先行投資は、どれくらいで回収できるのか?」
  • 「金融機関や投資家に、このビジネスモデルの何を伝えれば評価されるのか?」

このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。サブスクモデルは、一度顧客を獲得すれば継続的な収益が見込める反面、顧客が離れてしまう「解約(チャーン)」というリスクも常に伴います。そのため、事業計画書では、その特性を十分に理解した上で、成長性と安定性の両方を説得力をもって示す必要があります。

この記事では、サブスクモデルで事業を成功に導くための事業計画書の作成ポイントを、初心者にも分かりやすく解説します。

サブスクモデルの特徴と収益構造

まず、サブスクモデルの事業計画書を作成する上で、その基本的な特徴と収益構造を理解しておくことが不可欠です。

サブスクモデルは、商品やサービスを一度売って終わりにする「売り切り型」とは異なり、顧客が利用契約を結んでいる期間中、継続的に収益が発生するモデルです。

売り切り型モデルとサブスクモデルの比較

比較項目売り切り型モデルサブスクモデル
収益の発生商品・サービス提供時に一括で発生契約期間中、定期的・継続的に発生
収益の安定性変動が大きい(需要に左右される)比較的安定している(契約者数に基づく)
顧客との関係一時的・単発長期的・継続的
重視すべきこと新規顧客の獲得顧客満足度の維持、解約率の低減

このビジネスモデルの収益性を測る上で最も基本的な指標がMRR(Monthly Recurring Revenue:月次経常収益)です。これは「毎月決まって入ってくる売上」のことで、サブスク事業の安定性を示す土台となります。事業計画書を作成する際には、まずこのMRRをどのように積み上げていくかを具体的に示すことが求められます。

事業計画全体の基本的な考え方については、「事業計画書の構成とは?資金調達を成功に導く書き方とチェックリスト」の記事も参考にすると、より理解が深まるでしょう。

サブスク事業計画におけるよくある誤解や課題

サブスクモデルの計画を立てる際に、多くの経営者が陥りがちな誤解や課題がいくつか存在します。事前にこれらを把握し、対策を練ることが成功の鍵となります。

よくある誤解

1. 「一度契約してもらえば安泰」という思い込み

サブスクリプションは「安定収益」というイメージが強いですが、それは顧客がサービスに満足し、契約を継続してくれることが大前提です。もしサービス内容に不満があれば、顧客はすぐに解約してしまいます。常に顧客満足度を向上させ、解約率を低く抑える努力が不可欠です。

2. 「とにかく顧客数を増やせば良い」という単純な発想

もちろん新規顧客の獲得は重要ですが、それにかかるコスト(CAC:顧客獲得コスト)を意識しなければ、利益の出ない事業になってしまいます。例えば、1人の顧客を獲得するために1万円かかったのに、その顧客が1ヶ月(月額1,000円)で解約してしまっては、9,000円の赤字です。重要なのは、顧客が生涯にわたってどれだけの利益をもたらしてくれるか(LTV:顧客生涯価値)と、獲得コストのバランスです。

乗り越えるべき課題

先行投資の回収期間が長い

サービス開発や初期の顧客獲得のためのマーケティング費用など、サブスク事業は開始当初に大きな投資が必要になる傾向があります。その投資を月々の収益で少しずつ回収していくため、黒字化までに時間がかかることを理解し、その間の資金繰り計画を綿密に立てる必要があります。将来の売上予測を立てる際には「事業計画書における『売上予測』の立て方と3つのシナリオモデル」で解説されているような複数のシナリオを用意すると良いでしょう。

KPI管理の複雑さ

従来の売上高や利益率だけでなく、MRR、解約率、LTV、CACといったサブスク特有の多くのKPI(重要業績評価指標)を継続的に計測し、改善していく必要があります。これらの数値を正確に把握し、事業計画に落とし込むことが、資金調達の場面でも求められます。

事業計画書での見せ方:評価される計画のポイント

金融機関や投資家から評価されるサブスク事業の計画書を作成するには、特有のKPIを用いて「事業の健全性」と「成長戦略」を具体的に示すことが重要です。

解約率/LTV/CACなどのKPIで事業の健全性を示す

事業計画書では、以下のKPIを定義し、その目標値と達成に向けた具体的なアクションプランを明記することが不可欠です。

サブスク事業における主要KPI

KPI名称意味事業計画書でのポイント
MRR月次経常収益毎月継続的に得られる売上事業の安定性を示す土台。成長率も示す。
Churn Rate解約率顧客がサービスを解約する割合低ければ低いほど顧客満足度が高い証拠。
LTV顧客生涯価値一人の顧客が生涯にわたりもたらす利益事業の長期的な収益性を示す。
CAC顧客獲得コスト一人の顧客を獲得するためにかかった費用マーケティング効率を示す。
ユニットエコノミクスLTV ÷ CAC採算性指標顧客一人当たりの採算性を示す。一般的に3以上が健全とされる。

これらのKPIを用いて、「なぜこの事業が儲かるのか」というロジックを説明します。例えば、「当社の顧客獲得コスト(CAC)は1人5,000円ですが、平均的な顧客生涯価値(LTV)は20,000円を見込んでいます。したがって、ユニットエコノミクスは4倍となり、高い収益性が見込めます」といった具体的な説明が求められます。

どのような計画書が投資家の心に響くかについては、「投資家が『読みたくなる』事業計画書の作り方|プレゼンにも効く実践テクニック」が参考になります。

安定収益と成長の両立を戦略で示す

KPIの目標設定と同時に、それを達成するための具体的な戦略を計画書に落とし込む必要があります。

1. 安定収益を確保する戦略(守りの戦略)

事業の土台である既存顧客を維持し、解約率をいかに低く抑えるかが鍵です。

  • カスタマーサクセスの体制:

    顧客がサービスを最大限に活用できるよう支援する専門チームの計画。


  • オンボーディングの改善:

    新規顧客がスムーズに利用を開始できるようなチュートリアルやサポート体制の整備。


  • 顧客ロイヤルティ向上施策:

    優良顧客向けの特典やコミュニティ運営など。


2. 事業を成長させる戦略(攻めの戦略)

安定した収益基盤の上で、いかに事業を拡大していくかを示します。

  • 新規顧客獲得戦略:

    どのターゲット層に、どのようなマーケティング手法(Web広告、SNS、セミナー等)でアプローチするかの具体的な計画と、それに必要な予算。


  • アップセル・クロスセル戦略:

    既存顧客に対して、より上位のプランや関連サービスを提案し、顧客単価(ARPU)を向上させるための施策。


これらの戦略を実行した結果、KPIや財務諸表(PL/BS/CF)がどのように推移するのかをシミュレーションし、説得力のある成長ストーリーを描き出すことが、資金調達を成功させる上で極めて重要です。「資金調達に強い事業計画書とは?金融機関・VCが重視するポイント」も確認し、金融機関が何を重視するかを把握しておきましょう。

FAQ(よくある質問)

Q1:サブスク事業の初期赤字は、融資審査で不利になりますか?

A1:必ずしも不利になるとは限りません。サブスクモデルは先行投資が大きくなるビジネスモデルであることは、金融機関や投資家も理解しています。重要なのは、なぜ初期に赤字が出るのか、そしてその赤字を将来どのように回収し、黒字化していくのかという道筋を、KPIや具体的な戦略をもって論理的に説明できることです。

Q2:解約率の目標値は、どれくらいに設定すれば良いですか?

A2:業種や顧客対象(BtoBかBtoCか)によって目安は大きく異なります。一般的に、BtoBのSaaSであれば月次1%未満が理想的、BtoCであれば3%〜5%程度が一つの目安と言われることもありますが、自社のビジネスモデルに合わせて現実的な目標を設定することが重要です。競合の動向や市場環境を調査し、根拠のある目標値を設定しましょう。

Q3:LTV(顧客生涯価値)の計算方法がよく分かりません。

A3:LTVの基本的な計算式は「平均顧客単価 ÷ 解約率」で算出できます。例えば、月額5,000円のサービスで、解約率が5%の場合、LTVは「5,000円 ÷ 0.05 = 100,000円」となります。より正確に計算するには、利益ベースで考えるなど様々な方法がありますが、まずはこの基本式で自社の事業の収益性を把握することが第一歩です。

Q4:事業計画書を自社だけで作成する自信がありません。どうすれば良いですか?

A4:事業計画書の作成は専門的な知識を要するため、自社だけで完結させるのが難しい場合も少なくありません。その際は、M&Aや資金調達の専門家など、外部のプロフェッショナルの力を借りるのも有効な選択肢です。客観的な視点からのアドバイスを得ることで、計画の精度を高めることができます。

専門家への相談も一つの選択肢

事業計画書の作成は、企業の将来を左右する重要なプロセスです。特にサブスクモデルのような新しいビジネスモデルでは、専門的な知見が求められる場面も多くあります。

もし計画書の作成に不安を感じる場合は、専門のコンサルティング会社に相談するのも一つの有効な手段です。例えば、バルクアップコンサルティング株式会社は、年間260社もの事業計画書作成支援実績を持つ専門家集団です。同社には公認会計士やMBA保有者など、財務とビジネスの両面に精通したコンサルタントが多数在籍しており、経営者のビジョンを具体的な数値計画に落とし込むサポートを提供しています。こうした外部の専門知識を活用することで、より説得力のある事業計画書を作成することが可能になります。

まとめ

サブスクモデルの事業計画書を成功させるためには、従来のビジネスモデルの枠組みにとらわれず、その特性を深く理解することが不可欠です。

  • 収益構造を理解し、MRRを安定的に積み上げる計画を示す
  • 解約率、LTV、CACといった特有のKPIを正しく設定・管理する
  • 「ユニットエコノミクス」の観点から事業の採算性を証明する
  • 「守り(解約率低減)」と「攻め(新規獲得・単価向上)」の両面から具体的な戦略を語る

これらのポイントを押さえた事業計画書は、金融機関や投資家からの信頼を獲得し、事業を成長軌道に乗せるための強力な武器となります。計画書の作成は簡単な作業ではありませんが、この記事がその一助となれば幸いです。

もし、より専門的なアドバイスや具体的な作成支援が必要な場合は、専門家への相談を検討してみてはいかがでしょうか。

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執筆者:佐藤 宏樹(BulkUp Group, CEO)

バルクアップグループ3社の経営を担う、バルクアップコンサルティング株式会社 代表取締役社長。京都大学MBA。2013年に日本公認会計士試験および米国公認会計士試験(USCPA)に合格。三菱UFJ銀行にて法人営業を経験した後、PwCの事業再生アドバイザリーチームにて不採算事業の再建・資金繰り改善支援に従事。その後、独立。現在は事業計画書作成支援・資金調達アドバイス・小規模M&AのFA・DD業務などを手掛け、財務・法務・ITを横断したハンズオン支援を提供している。25以上の金融機関と連携。

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