事業計画書の書き方から資金調達方法まで徹底解説します

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事業計画書における「実現可能性」の示し方|根拠ある数字の作り方とは

この記事はこんな方におすすめ

  • 事業計画書を作成しているが、計画の数字に自信が持てない経営者の方
  • 金融機関や投資家から「この計画は本当に実現できるのか?」と問われ、うまく答えられなかった経験のある方
  • 「絵に描いた餅」で終わらない、説得力のある事業計画書を作成したいと考えている方
  • 資金調達の成功確率を少しでも高めたい起業家や事業責任者の方

この記事でわかること

  • 事業計画書で金融機関や投資家が最も重視する「実現可能性」の具体的な中身
  • 売上や費用の数字に客観的な根拠を持たせるための具体的な4つのステップ
  • カフェ、士業、SaaSビジネスなど、業種別の売上計画の立て方の具体例

その計画、本当に実現できますか?事業計画書の「心臓部」

会社の未来を描く設計図である事業計画書。特に、金融機関からの融資や投資家からの出資といった資金調達の場面では、その重要性が一層高まります。多くの経営者が、革新的なアイデアや事業への熱い想いを事業計画書に込めますが、それだけでは十分ではありません。

融資担当者や投資家が最も厳しくチェックするのは、計画の「実現可能性」です。どれほど壮大なビジョンを掲げても、「その計画が本当に達成可能なのか?」という問いに、客観的かつ論理的に答えられなければ、資金調達の道は開けません。

「売上目標は高く設定したけれど、どうやってその数字を達成するのか、具体的な根拠を示せていない…」

「費用の見積もりを出したが、どんぶり勘定になっており、詳細を聞かれると不安だ…」

このような悩みを抱えている経営者は少なくありません。この記事では、事業計画書の説得力を飛躍的に高める「実現可能性」の示し方、特に「根拠ある数字」の作り方について、初心者にも分かりやすく解説していきます。

そもそも事業計画書の「実現可能性」とは?

事業計画書における「実現可能性」とは、一言でいえば「計画が単なる夢物語ではなく、現実に達成できる見込みがあること」を客観的な根拠をもって証明することです。これは、情熱や意気込みといった精神論とは一線を画します。

実現可能性は、大きく分けて2つの要素で構成されます。

1. 定性的な根拠(なぜ成功するのか)

事業の成功を論理的に説明する部分です。例えば、以下のような要素が挙げられます。

  • 市場の魅力と将来性:その事業が参入する市場は成長しているか、顧客のニーズは確かか。
  • 競合優位性:他社にはない、自社独自の強みは何か。(技術力、ブランド、ノウハウ、特許など)
  • 経営チームの能力:経営者やチームメンバーに、事業を成功に導くだけの経験やスキルがあるか。
  • 具体的なアクションプラン:目標達成までの道のりが、具体的かつ現実的なステップで示されているか。

2. 定量的な根拠(数字の裏付け)

定性的な説明を、具体的な数値で裏付ける部分です。ここが曖昧だと、計画全体の信憑性が揺らぎます。

  • 売上計画:なぜその売上が達成できるのか、算出根拠が明確か。(例:客単価 × 顧客数 × 利用頻度など)
  • 費用計画:どのような経費が、いくらかかるのか、見積もりや相場に基づいているか。
  • 利益計画:売上と費用から、どのように利益を生み出すのか、現実的な数値か。

つまり、実現可能性の高い事業計画書とは、「なぜこの事業は成功するのか(定性)」というストーリーが、「具体的な数字(定量)」によって説得力をもって裏付けられている状態のものを指します。

「実現可能性」でつまずく、よくある誤解と課題

説得力のある事業計画書を作成する上で、多くの人が陥りがちな誤解や課題が存在します。自社の計画が当てはまっていないか、チェックしてみましょう。

誤解1:「希望的観測」が大部分を占めている

「市場が伸びているから、うちも伸びるはず」「良い商品だから、きっと売れるだろう」といった楽観的な予測だけで数字を作ってしまうケースです。これは計画ではなく、単なる願望です。なぜ自社が市場の伸び以上に成長できるのか、なぜ顧客は競合ではなく自社の商品を選ぶのか、その理由を具体的に示さなければなりません。

誤解2:「業界平均」を安易に流用している

根拠として業界の平均データを引用すること自体は有効ですが、それをそのまま自社の計画に当てはめるのは危険です。なぜ自社が「平均通り」のパフォーマンスを出せると言えるのか、独自の根拠がなければ、思考停止を疑われてしまいます。

課題1:売上計画の根拠が「ふわっと」している

最も多い課題が、売上計画の甘さです。「1年後に月商300万円」という目標に対し、「顧客を頑張って増やす」といった精神論で終わっていませんか。「客単価」「顧客数」「購入頻度」といった要素に分解し、それぞれをどう達成するのかを具体的に示す必要があります。

課題2:コストの見積もりが楽観的すぎる

売上ばかりに目が行き、コストの見積もりが甘くなるケースも散見されます。特に、見落としがちなのが「予期せぬ出費」です。計画段階でコストを低く見積もりすぎると、資金ショートのリスクが高まり、計画自体の信頼性を損ないます。

誰でもできる!根拠ある数字の作り方4ステップ

では、どうすれば「根拠ある数字」を作れるのでしょうか。ここでは、具体的な4つのステップに分けて、実現可能性を高める数字の作り方を解説します。

STEP1:売上計画を「積み上げ方式」で作成する

売上目標を「年間3,600万円」とドンと置くのではなく、達成可能な最小単位の要素に分解し、それらを足し上げて(積み上げて)全体の売上を予測する方法です。

【例:カフェの売上計画】

いきなり「月商100万円」を目指すのではなく、以下のように分解します。

  • ①席数:20席
  • ②満席率:平日ランチ30%、土日70%
  • ③回転数:平日ランチ1回転、土日2回転
  • ④客単価:1,200円
  • ⑤営業日数:25日

これらの要素を元に、平日と土日で分けて売上を計算し、最後に合算することで、より現実的な月間売上予測を立てることができます。客単価はメニュー構成から、満席率や回転数は周辺の競合店を調査して設定するなど、各要素に必ず根拠を持たせることが重要です。

項目 算出根拠 平日(月20日) 土日(月5日)
客数 席数×満席率×回転数 20席×30%×1回転 = 6人/日 20席×70%×2回転 = 28人/日
売上 客数×客単価 6人×1,200円 = 7,200円/日 28人×1,200円 = 33,600円/日
月間売上 日次売上×営業日数 7,200円×20日 = 144,000円 33,600円×5日 = 168,000円
合計月商 312,000円

【業種別】売上計画の分解アプローチ

もちろん、この分解方法は業種によって異なります。例えば、他の業種では以下のように分解できます。

士業・コンサルティング業の場合

売上 = (顧問契約クライアント数 × 月額顧問料) + (スポット案件数 × 平均案件単価)

クライアント数や案件数は、自身の営業計画や過去の実績から、顧問料や案件単価は競合調査や提供価値から算出します。

SaaS(ソフトウェアサービス)の場合

売上 = 顧客数 × 顧客平均単価 (ARPA)

顧客数は「(前月の顧客数 – 解約率) + 新規獲得数」で予測し、ARPAは料金プランごとの顧客数と単価から算出します。解約率や新規獲得数は、業界平均や自社のマーケティング計画が根拠となります。

STEP2:費用計画は「相見積もり」で客観性を示す

費用計画も、どんぶり勘定は禁物です。必ず「固定費」(売上に関わらず一定にかかる費用:家賃、人件費など)と「変動費」(売上に比例して増減する費用:原材料費、販売手数料など)に分けて、漏れなく洗い出しましょう。

そして、特に設備投資や仕入れ、外注費などについては、必ず複数の業者から見積もり(相見積もり)を取得してください。1社だけの見積もりでは、その価格が適正かどうか判断できません。複数社の見積もりを比較検討した上で費用を計画に盛り込むことで、「客観的な調査に基づいて、堅実な費用計画を立てている」という姿勢を示すことができます。

STEP3:複数のシナリオでリスク管理能力をアピールする

計画は、必ずしも想定通りに進むとは限りません。そこで有効なのが、複数のシナリオを用意しておくことです。

  • 楽観シナリオ(ベストケース):計画が最も順調に進んだ場合の計画
  • 標準シナリオ(ベースケース):最も実現可能性が高いと考える現実的な計画
  • 悲観シナリオ(ワーストケース):不測の事態が起こった場合の最も厳しい計画

この3つのシナリオを提示することで、「事業環境の変化を予測し、万が一の事態にも備えている」というリスク管理能力の高さをアピールできます。

STEP4:定性的な根拠で数字を補強する

算出した数字がなぜ達成できるのか、その理由を文章で補強します。

  • 市場調査のデータを示す:公的機関(e-Statなど)や民間の調査会社のレポートを引用し、市場規模や成長性、顧客ニーズの存在を客観的に示します。
  • 競合との差別化を明確にする:なぜ顧客は競合ではなく自社を選ぶのか、価格、品質、サービスなどの観点から優位性を具体的に説明します。
  • アクションプランを具体化する:「いつまでに」「誰が」「何を」「どのように実行するのか」を具体的に記述し、計画の実行力を示します。

これらの定性的な説明が、数字の説得力を何倍にも高めてくれます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 創業前で過去の実績がない場合、どうやって根拠を示せばいいですか?

過去の実績がない場合でも、根拠を示す方法はあります。例えば、小規模なテストマーケティングの結果、SNSでのアンケート調査、確保済みの見込み顧客リスト、経営者自身の過去の職歴やスキル、類似ビジネスの成功事例などが有効な根拠となります。「何もない」のではなく、「あるものをどう見せるか」が重要です。

Q2. 計画通りに進まなかった場合のリスクについても書くべきですか?

はい、必ず書くべきです。リスクを隠すのではなく、想定されるリスク(例:競合の出現、原材料費の高騰など)を正直に開示し、それに対してどのような対策を講じるのかを具体的に示すことが重要です。リスクを認識し、対策を準備している姿勢は、経営者としての信頼性を高めます。

Q3. 数字の計画を作るのが苦手です。どうすれば良いですか?

無理に一人で抱え込む必要はありません。商工会議所や自治体の相談窓口、税理士などの専門家に相談するのも一つの手です。また、事業計画書作成を専門にサポートするコンサルティング会社に依頼することで、客観的で精度の高い計画を作成することも可能です。

専門家の視点を借りるという選択肢

ここまで解説した通り、実現可能性の高い事業計画書を作成するには、多角的な視点と専門的な知識が求められます。自社だけで説得力のある計画を作ることに限界を感じる場合は、外部の専門家の力を借りることも有効な選択肢です。

特に資金調達を目的とする場合、専門家は金融機関や投資家がどのような点を重視するかを熟知しています。客観的な第三者の視点から計画をレビューしてもらうことで、自社だけでは気づけなかった計画の穴や、アピールポイントを発見できるでしょう。

例えば、バルクアップコンサルテイング株式会社のように、事業計画書作成の支援を専門に行うコンサルティングファームも存在します。同社は年間260社もの事業計画書作成実績を誇り、財務とビジネスの両面から、経営者の目的に沿った実現可能性の高い計画作りをサポートしています。こうした専門サービスを活用することも、資金調達成功への近道となり得ます。

まとめ:根拠ある数字が、未来への扉を開く

事業計画書の「実現可能性」は、単なる審査項目の一つではありません。それは、事業の成功確度を高め、不確実な未来を乗り切るための羅針盤そのものです。

  • 分解と積み上げ:売上は具体的な要素に分解し、一つずつ根拠を持って積み上げる。
  • 客観的な裏付け:費用は相見積もりを取り、客観的なデータで固める。
  • リスクへの備え:複数のシナリオを用意し、リスク管理能力を示す。
  • 定性的な補強:なぜその数字が達成できるのか、ストーリーで語る。

これらのポイントを意識して、事業計画書に「根拠ある数字」を盛り込むことができれば、金融機関や投資家からの信頼を勝ち取り、資金調達の成功に大きく近づくことができます。

もし、自社での計画書作成に不安を感じたり、より高いレベルの計画を目指したい場合は、専門家の知見を借りることも積極的に検討してみてください。説得力のある事業計画書は、あなたのビジネスの未来を切り拓く、最も強力なツールとなるはずです。

▶︎BulkUp Consultingの事業計画書作成支援サービスについて、より詳しい情報を確認したい方はサービス詳細をご覧ください。

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執筆者:佐藤 宏樹(BulkUp Group, CEO)

バルクアップグループ3社の経営を担う、バルクアップコンサルティング株式会社 代表取締役社長。京都大学MBA。2013年に日本公認会計士試験および米国公認会計士試験(USCPA)に合格。三菱UFJ銀行にて法人営業を経験した後、PwCの事業再生アドバイザリーチームにて不採算事業の再建・資金繰り改善支援に従事。その後、独立。現在は事業計画書作成支援・資金調達アドバイス・小規模M&AのFA・DD業務などを手掛け、財務・法務・ITを横断したハンズオン支援を提供している。25以上の金融機関と連携。

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