事業計画書の書き方から資金調達方法まで徹底解説します

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事業計画書に必要な「経営チーム紹介」セクションの書き方

事業計画書に必要な「経営チーム紹介」セクションの書き方

この記事はこんな方におすすめ

  • 資金調達や融資のために事業計画書を作成している経営者の方
  • 事業計画書の「経営チーム」の項目で、何をどう書けば良いか分からない方
  • 投資家や金融機関に「このチームなら任せられる」と信頼してもらいたい方
  • 自社のチームの強みを最大限に引き出し、事業の成功確率を効果的に伝えたい方

はじめに

素晴らしいビジネスアイデアや革新的なプロダクトも、それを実現する「人」がいなければ、残念ながら「絵に描いた餅」で終わってしまいます。事業計画書を作成する際、多くの経営者が事業内容や市場分析、収益計画に力を注ぎますが、実はそれと同じくらい、あるいはそれ以上に「誰がその事業を行うのか」という経営チームの紹介が重要視されることをご存知でしょうか。

「メンバーの経歴をただ並べるだけで良いのだろうか?」「創業者の自分の経歴に、特筆すべき実績がない場合はどうしよう…」といった不安を抱える方も少なくないでしょう。

この記事では、資金調達や融資の場面で、読み手である投資家や金融機関に「このチームに任せたい」と思わせる、説得力のある経営チーム紹介の書き方を解説します。事業計画書全体の質を高めるためにも、まずは事業計画書の構成とは?資金調達で信頼される書き方とチェックポイントを解説を理解しておくことが重要です。

なぜ経営チームの紹介が重要なのか?

事業計画書の読み手、特に投資家や金融機関の担当者は、日々多くの計画書に目を通しています。彼らが共通して探しているのは、「事業の成功確度」です。そして、その成功確度を測る上で、事業モデルと同じくらい「経営チームの質」を重視します。なぜなら、彼らは「事業」と同時に「人」に投資(融資)するからです。

投資家・銀行が重視する視点

投資家や銀行は、経営チームの紹介から以下の3つのポイントを読み取ろうとします。

  1. 事業遂行能力(Execution Capability)
    計画通りに事業を遂行できる経験やスキルを持っているか。過去の実績から、目標達成能力を判断します。
  2. 業界への知見(Domain Expertise)
    対象とする市場や業界、顧客について深い理解があるか。専門知識やネットワークの有無が、事業の成功確率を左右します。
  3. チームの回復力(Resilience)
    事業には予期せぬ困難がつきものです。困難な状況に直面した際に、チームとして乗り越えられる結束力や問題解決能力があるかを見ています。

結局のところ、経営チームは、描かれた事業計画の実現可能性を裏付ける最も強力な証拠となるのです。

創業者・共同創業者の役割

特に創業初期の段階では、創業者自身の経歴や情熱が事業の信頼性を大きく左右します。創業者は単なる代表者ではなく、以下の役割を担います。

  • ビジョンの牽引者:
    なぜこの事業を始めたいのか、その情熱とビジョンがチームをまとめ、周囲を巻き込む原動力となります。
  • チームの核:
    創業者の想いに共感して集まったメンバーでチームが構成されるため、創業者の魅力がチームの魅力を決めるとも言えます。
  • コミットメントの証明:
    事業に対する創業者の強いコミットメント(関与度)を示すことで、出資者や金融機関は安心して資金を託すことができます。

経営チーム紹介に含めるべき情報

経営チームの紹介でよくある間違いが、単なる「経歴の羅列」で終わってしまうことです。重要なのは、単なるスペックではなく、「この事業を成功させるために、なぜこのメンバー構成なのか」というストーリーを伝えることです。

経歴・実績の書き方

各メンバーの経歴は、今回の事業といかに関連性が高いかを意識して記述します。

  • 職務経歴:
    会社名と役職だけでなく、「どのような役割で、何を達成したか」を具体的に書きます。
  • 学歴・資格:
    事業内容と関連性の高い学歴や専門資格(弁護士、公認会計士など)はアピールポイントになります。
  • 事業との関連性:
    なぜその経験が今回の事業で活かせるのかを明確に示します。

記載例:メンバー紹介表

項目 代表取締役 CEO 取締役 CTO
氏名 〇〇 太郎 △△ 花子
役割 経営全般、資金調達、アライアンス 製品開発、技術戦略全般
主要実績 ・株式会社A社にて、新規事業責任者として3年で売上を0から5億円に拡大
・2,000万円の資金調達実績
・B社にて、主力SaaSプロダクトのリードエンジニアとして開発を牽引
・開発チーム(5名)のマネジメント経験
本事業への貢献 豊富な事業立ち上げ経験と営業ネットワークを活かし、事業全体の成長を牽引する。 高度な技術力と開発マネジメント経験を基に、競争優位性の高いプロダクト開発を実現する。

役割分担と責任範囲

「誰が」「何を」担当するのかを明確にすることで、組織としての実行力を示すことができます。「全員で頑張ります」という精神論ではなく、機能的な組織であることをアピールしましょう。CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)、CTO(最高技術責任者)、CFO(最高財務責任者)といった形で、責任範囲を明記するのが効果的です。

補完関係とチームとしての一体感

理想的な経営チームは、各メンバーが異なる強みを持ち、互いの弱みを補い合っている状態です。

  • スキルの補完:
    「技術開発に強いメンバー」と「マーケティング・営業に強いメンバー」など、スキルセットがどのように補完関係にあるかを説明します。
  • 経験の補完:
    「大企業での組織マネジメント経験者」と「スタートアップでの0→1経験者」など、異なる経験の組み合わせがチームの強みになります。
  • 共通のビジョン:
    なぜこのメンバーが集まったのか、共通の目標やビジョンを簡潔に語ることで、チームとしての一体感を伝えることができます。

信頼性を高める記述の工夫

情報の見せ方を少し工夫するだけで、経営チームの魅力は格段に上がります。具体的なテクニックを見ていきましょう。

定量的成果の記載

実績は、可能な限り具体的な数字で示しましょう。数字は客観的な事実であり、説得力を飛躍的に高めます。

悪い例: 「売上向上に貢献した」
良い例: 「前職で営業部長として、3年間で担当部門の売上を5,000万円から2億円(400%増)に拡大した」
悪い例: 「多くのユーザーを持つサービスの開発経験がある」
良い例: 「リードエンジニアとして、MAU(月間アクティブユーザー)100万人規模のCtoCサービスの開発を主導した」

専門性やネットワークの証明

客観的に評価できる専門性や、事業の成功を後押しするネットワークも強力なアピール材料です。

  • 保有資格: 弁理士、中小企業診断士など
  • 特許・受賞歴: 関連分野での特許取得実績や、ビジネスコンテストでの受賞歴など
  • アドバイザリーボード: 業界の権威や経験豊富な経営者を顧問・アドバイザーとして迎えている場合、その事実と名前を記載することで、チームの信頼性が向上します。

写真・実績URLの活用

文章だけでなく、視覚的な情報も活用しましょう。

  • 顔写真:
    プロフェッショナルで、人柄が伝わるような清潔感のある顔写真を掲載することで、親近感と信頼感を与えます。
  • 外部リンク:
    LinkedInのプロフィールや、過去に執筆した記事、登壇したイベントの動画、個人で開発したサービスのURLなどを記載することで、第三者からの評価やより詳細な実績を示すことができます。

FAQ(よくある質問)

Q1: 創業者が一人だけの場合はどう書けばいい?

A1: 一人の場合は、創業者自身の経歴や事業への情熱をより深く掘り下げて記述します。事業に必要なスキルセットのうち、自身に不足している部分をどう補うか(例:業務委託、顧問の活用など)を明確にすることで、客観的な自己分析能力と計画性を示すことができます。

Q2: メンバーに著名な実績がない場合はどうアピールすれば?

A2: 派手な実績がなくても問題ありません。これまでの職務経験の中で、今回の事業に活かせる「ポータブルスキル(持ち運び可能な能力)」(例:顧客折衝能力、プロジェクト管理能力、粘り強さなど)を具体的なエピソードを交えてアピールしましょう。事業への熱意や学習意欲も重要な評価ポイントです。

Q3: 外部の顧問やアドバイザーも記載すべき?

A3: はい、ぜひ記載すべきです。特に、チームに不足している専門領域(例:財務、法務、技術など)を補ってくれる強力なアドバイザーがいる場合、チームの信頼性を大きく高める要因となります。承諾を得た上で、氏名、経歴、チームにおける役割を明記しましょう。

Q4: 金融機関からの融資の場合も、経営チームの紹介は重要ですか?

A4: 非常に重要です。金融機関は「貸したお金が計画通りに事業に使われ、きちんと返済されるか」を最も重視します。そのため、事業計画を実行し、収益を上げていけるだけの能力と誠実さを経営チームが持っているかを厳しく審査します。特に、金融機関が見ているポイントは?事業計画書で融資審査を突破するコツを理解し、誠実な人柄や事業への真摯な姿勢を伝えることが大切です。

専門家の視点を活用する選択肢

ここまで見てきたように、経営チームの紹介は、客観的な事実と情熱的なストーリーを組み合わせて、論理的かつ魅力的に構成する必要があります。しかし、自社の強みを客観的に分析し、投資家や銀行に響く言葉で表現するのは簡単なことではありません。

そのような場合、第三者の専門家の視点を取り入れるのも有効な手段です。例えば、M&Aや資金調達を専門とするコンサルティングファームの中には、事業計画書の作成支援サービスを提供している企業もあります。

BulkUp Consulting株式会社は、年間260社以上という豊富な事業計画書作成実績を持ち、財務とビジネスの両面から経営者を支援しています。同社のような専門家は、投資家や金融機関がどこを見ているかを熟知しており、経営チームのポテンシャルを最大限に引き出すための客観的なアドバイスを提供しています。特に、企業の財務の要として機能する「社外CFOサービス」なども手掛けており、事業の実現可能性を財務の側面から強力に裏付けるサポートが期待できます。

まとめ

事業計画書における経営チームの紹介は、単なるメンバーリストではありません。それは、事業のアイデアに命を吹き込み、「このチームなら必ず成功させてくれる」という確信を読み手に与えるための、最も重要なプレゼンテーションです。

  • 「誰が」やるのかを明確にする
  • 事業と経験の関連性を示す
  • チームとしての補完性と一体感を伝える
  • 実績は「定量的」に、情熱は「ストーリー」で語る

これらのポイントを意識して、ぜひあなたのチームの魅力を最大限に伝えてください。まずは、この記事を参考に、チームメンバーそれぞれの強みや事業への想いを棚卸しすることから始めてみてはいかがでしょうか。

専門的な知見を取り入れて、より説得力のある事業計画書を作成したい場合は、専門家への相談も検討してみましょう。

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執筆者:佐藤 宏樹(BulkUp Group, CEO)

バルクアップグループ3社の経営を担う、バルクアップコンサルティング株式会社 代表取締役社長。京都大学MBA。2013年に日本公認会計士試験および米国公認会計士試験(USCPA)に合格。三菱UFJ銀行にて法人営業を経験した後、PwCの事業再生アドバイザリーチームにて不採算事業の再建・資金繰り改善支援に従事。その後、独立。現在は事業計画書作成支援・資金調達アドバイス・小規模M&AのFA・DD業務などを手掛け、財務・法務・ITを横断したハンズオン支援を提供している。25以上の金融機関と連携。

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