事業計画書の書き方から資金調達方法まで徹底解説します

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売掛金が多い企業のための資金調達戦略と計画書の工夫

売掛金が多い企業のための資金調達戦略と計画書の工夫

この記事はこんな方におすすめ

  • 売上は伸びているのに、なぜか手元の資金繰りが苦しいと感じる経営者の方
  • 売掛金の多さが、金融機関からの評価にどう影響するのか不安な方
  • 資金調達を成功させるため、事業計画書で売掛金の状況をどう説明すれば良いか知りたい方
  • 黒字倒産のリスクを避け、安定した経営基盤を築きたいと考えている方

サマリー動画(約90秒)

約90秒の動画でこの記事のポイントを解説します。


導入:売上好調なのに、なぜ資金が足りないのか?

「受注も順調で売上はしっかり立っている。それなのに、なぜか手元の現金はいつもギリギリで、資金繰りに追われている…」

多くの中小企業経営者が、このような悩みを抱えています。特に、企業間取引(BtoB)が中心のビジネスでは、製品やサービスを提供してから実際に入金されるまでの期間が長くなる「売掛金」が多く発生しがちです。

この売掛金は、会計上は「資産」ですが、すぐに使える現金ではありません。売上が増えれば増えるほど、仕入れや経費の支払いが先に来てしまい、運転資金が不足するというジレンマに陥ります。最悪の場合、帳簿上は黒字なのに資金がショートする「黒字倒産」という事態にもなりかねません。

しかし、売掛金が多いことは、必ずしも弱点ではありません。見方を変えれば、それは「将来の入金が約束された、安定した取引の証」でもあるのです。

この記事では、売掛金を抱える企業が資金調達を成功させるための戦略と、金融機関や投資家を納得させる事業計画書の工夫について、初心者にも分かりやすく解説します。

売掛金の多さが資金調達に与える影響とは?

資金調達を検討する際、金融機関や投資家は企業の財務状況を厳しくチェックします。その中で「売掛金」は特に注目される項目の一つです。

金融機関・投資家が売掛金で見るポイント

金融機関などが懸念するのは、主に「回収不能リスク」です。売掛金が約束通りに回収できなければ、企業のキャッシュフローは一気に悪化します。そのため、彼らは単に売掛金の金額の大小を見るのではなく、その「質」を評価しようとします。

【評価されるポイント】

  • 取引先の信用力:

    売掛金の相手は誰か?(大手企業、官公庁など、信用力が高い取引先か)
  • 滞留期間:

    売掛金が発生してから、どのくらいの期間が経過しているか?(長期滞留している不良債権はないか)
  • 管理体制:

    売掛金の残高や回収状況を、社内で適切に管理・把握できているか?

つまり、「売掛金が多いから即NG」というわけではなく、「管理されていない、回収見込みの低い売掛金が多い」状態が問題視されるのです。逆に言えば、優良な取引先からの売掛金が多く、それをきちんと管理できていることを示せれば、それは「安定した収益基盤」としてポジティブに評価される可能性すらあります。

企業の財務状況を正確に把握するためには、財務3表とは?PL・BS・CFの基礎と事業計画書への活かし方をわかりやすく解説を理解し、自社の立ち位置を客観的に説明できることが重要です。

売掛金を抱える企業の資金調達戦略

売掛金が多い企業には、一般的な融資に加えて、その売掛金を活用した特有の資金調達方法があります。自社の状況に合わせて最適な手段を選ぶことが重要です。

調達方法特徴メリットデメリット
銀行・公庫融資事業全体の実績や将来性を評価して融資を受ける、最も一般的な方法。金利が比較的低い。企業の信用力向上につながる。審査に時間がかかる。担保や保証人が必要な場合がある。
ファクタリング売掛債権(請求書)を専門業者に買い取ってもらい、早期に現金化する方法。入金が早い。売掛先の信用力が重視されるため、自社の経営状況が厳しくても利用しやすい。手数料が比較的高く、調達コストがかさむ。
売掛債権担保融資(ABL)売掛債権を担保として、金融機関から融資を受ける方法。ファクタリングより金利が低い傾向にある。継続的な利用が可能。審査が必要。売掛金の管理体制が問われる。

どの方法を選ぶべきかは、資金が必要なタイミングやコスト、取引先との関係性などを総合的に考慮して判断する必要があります。

資金調達を成功させる事業計画書の工夫

売掛金の状況を抱える企業が資金調達を成功させるには、事業計画書で「弱み」を「強み」として見せる工夫が不可欠です。隠すのではなく、むしろ積極的に開示し、「適切に管理できている」ことをアピールしましょう。

1. 事業モデルの明確化

まず、自社のビジネスがなぜ売掛金が多くなるのか、その背景を説明します。「業界の慣習として入金サイトが長い」「大手企業との取引が中心であるため」など、やむを得ない理由を明確にすることで、審査担当者の理解を得やすくなります。

2. 売掛金の「質」を具体的に示す

ここが最も重要なポイントです。単に「売掛金がXX円あります」と記載するだけでは不十分です。別紙資料として「売掛金明細表(エイジングリスト)」を添付し、以下の情報を可視化しましょう。

  • 取引先一覧と残高: どのような企業と、いくらの取引があるのか。
  • 発生日と入金予定日: いつ発生し、いつ回収予定の売掛金なのか。
  • 滞留状況:

    回収が遅れているものはないか。もしあれば、その理由と今後の対応策を示す。

特に、上場企業や官公庁など、信用力の高い取引先が多ければ、それは貸し倒れリスクの低い「優良な資産」であることの証明になります。

3. 徹底した管理体制のアピール

「売掛金はExcelで担当者が管理しています」だけでは不十分です。組織として、以下のような管理体制が構築できていることを具体的に記述します。

  • 与信管理: 新規取引先の与信調査ルールは明確か。
  • 定期的な残高確認:

    誰が、いつ、どのように残高と回収状況を確認しているか。
  • 督促フロー: 支払いが遅れた際の督促手順は決まっているか。

これらの体制を明記することで、「この会社はきちんと債権管理ができる」という信頼感につながります。効果的な事業計画書の全体像については、事業計画書の構成とは?資金調達で信頼される書き方とチェックポイントを解説も参考にしてください。

4. 資金使途と返済計画の具体性

調達した資金の使い道を明確にすることも重要です。「売上増加に伴う運転資金の確保」といった具体的な【資金調達用】事業計画書における「資金使途」の書き方と注意点を示し、その資金がどのように将来の売上と利益につながり、返済原資を生み出すのかを、資金繰り表を用いて具体的に説明します。

売掛金の回収サイクルを正確に反映した現実的な資金繰り計画は、計画の信頼性を大きく高めます。金融機関が見ているポイントは?事業計画書で融資審査を突破するコツを意識した計画書作りが、成功への鍵となります。

よくある質問(FAQ)

Q1:赤字決算なのですが、売掛金を活用した資金調達は可能ですか?

A:可能性はあります。特にファクタリングは、融資と異なり「売掛先の信用力」が重視されるため、自社が赤字でも利用できる場合があります。ただし、手数料が高くなる傾向があるため、利用は慎重に検討する必要があります。

Q2:ファクタリングを利用すると、取引先に知られて信用不安につながりませんか?

A:ファクタリングには、利用者とファクタリング会社の2社間で行う「2社間ファクタリング」と、取引先の承諾を得て行う「3社間ファクタリング」があります。2社間ファクタリングであれば、取引先に通知されることなく資金化が可能です。

Q3:事業計画書に添付する売掛金の資料は、どのくらい詳細にすべきですか?

A:「取引先名」「売掛金額」「発生日」「入金予定日」が一覧でわかる明細表(エイジングリスト)を準備するのが基本です。特に金額の大きい主要な取引先については、契約状況なども補足できると、より説得力が増します。

専門家の活用も一つの選択肢

売掛金の管理状況を整理し、それを説得力のある事業計画書に落とし込む作業は、専門的な知識と経験が求められます。自社だけで対応するのが難しいと感じた場合、専門家の力を借りるのも有効な手段です。

資金調達の専門家の中には、企業の財務状況を深く理解し、事業計画書の作成を支援するサービスもあります。例えば、バルクアップコンサルティング株式会社は、年間260社の事業計画書作成実績があり、特に中小ベンチャー企業の資金調達支援を得意としています。財務の専門家が、売掛金の管理状況を含めた企業の強みを客観的に分析し、金融機関が納得する事業計画書の作成をサポートしている点が特徴です。

まとめ

売掛金が多いことは、中小企業にとって資金繰りの悩みの種になりがちですが、決してネガティブな要素だけではありません。安定した取引基盤の証として、むしろ資金調達におけるアピールポイントになり得ます。

重要なのは、その状況を正確に把握・管理し、事業計画書を通じて「将来のキャッシュフローにつながる優良な資産である」と説得力を持って説明することです。

この記事で紹介したポイントを参考に、自社の強みを最大限に活かした資金調達戦略を立ててみてください。もし不安があれば、一人で抱え込まず、客観的な視点を持つ専門家に相談してみるのも良いでしょう。

自社の状況に合わせた最適な資金調達戦略や事業計画書の作成について、専門家のアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。


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執筆者:佐藤 宏樹(BulkUp Group, CEO)

バルクアップグループ3社の経営を担う、バルクアップコンサルティング株式会社 代表取締役社長。京都大学MBA。2013年に日本公認会計士試験および米国公認会計士試験(USCPA)に合格。三菱UFJ銀行にて法人営業を経験した後、PwCの事業再生アドバイザリーチームにて不採算事業の再建・資金繰り改善支援に従事。その後、独立。現在は事業計画書作成支援・資金調達アドバイス・小規模M&AのFA・DD業務などを手掛け、財務・法務・ITを横断したハンズオン支援を提供している。25以上の金融機関と連携。

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