この記事はこんな方におすすめ
- 会社の成長段階に合った資金調達の方法が知りたい経営者の方
- 今の事業計画書が、今後の資金調達で通用するのか不安な方
- 創業期、成長期、成熟期で事業計画書に何を書くべきか知りたい方
- 投資家や金融機関がどこを見ているのか、ポイントを把握したい方
サマリー動画(約90秒)
約90秒の動画でこの記事のポイントを解説します。
会社の成長とともに「お金の集め方」と「未来の描き方」は変わる
会社の設立、事業の拡大、そして安定的な経営へ。企業はまるで生き物のように成長し、その姿を変化させていきます。しかし、成長の階段を上る中で、多くの経営者が「資金の壁」や「事業計画の陳腐化」といった課題に直面します。
「創業時に作った事業計画書のままで、追加融資は受けられるだろうか?」
「事業が軌道に乗ってきた今、次の一手のための資金はどうやって集めればいい?」
「投資家は、今のうちの会社の何を評価してくれるのだろう?」
このような悩みは、企業の成長に真剣に取り組んでいる証拠です。重要なのは、企業の成長ステージによって、最適な資金調達の方法と、そのための事業計画書に求められる内容が大きく異なるという事実を理解することです。
この記事では、企業の成長ステージを「創業期」「成長期」「成熟期」の3つに分け、それぞれの段階で必要となる資金調達の考え方と、金融機関や投資家の心を動かす事業計画書のポイントを分かりやすく解説します。自社の現在地を確かめ、次のステージへ進むための羅針盤としてご活用ください。
【一覧表】企業の成長ステージ別!資金調達と事業計画書のポイント
企業の成長ステージによって、資金の使い道(資金使途)、調達先、そして事業計画書でアピールすべきポイントは変化します。まずは全体像を把握しましょう。
| 成長ステージ | 主な資金使途 | 主な資金調達先 | 事業計画書の最重要ポイント |
|---|---|---|---|
| 創業期 (シード・アーリー) | ・事業の立ち上げ費用 ・製品・サービスの開発費 ・運転資金 | ・自己資金 ・日本政策金融公庫 ・制度融資 ・エンジェル投資家 | ビジョンと仮説の説得力 「なぜこの事業なのか」という情熱と、市場の可能性を示すこと。 |
| 成長期 (ミドル・レーター) | ・人材採用費 ・マーケティング費用 ・設備投資 ・販路拡大費用 | ・ベンチャーキャピタル(VC) ・金融機関からの融資 ・補助金・助成金 | KPIと再現性の証明 事業が成長している客観的なデータ(KPI)と、今後も成長が続く再現性を示すこと。 |
| 成熟期 (レイター・安定期) | ・新規事業開発費 ・M&Aの買収資金 ・海外展開費用 ・事業承継の準備資金 | ・内部留保 ・金融機関からの融資枠拡大 ・M&A ・IPO(株式公開) | 安定収益とガバナンス 安定した収益構造と、将来の成長戦略、そして信頼性のある経営体制を示すこと。 |
フェーズ別:事業計画書は「何を」「どう」書くべきか?
資金調達を成功させる事業計画書は、ラブレターに似ています。相手(資金提供者)が誰で、何を求めているかを理解し、それに合わせて内容を組み立てることが不可欠です。
創業期:ビジョンと情熱、そして「仮説」の説得力
まだ事業実績がない創業期は、将来の可能性を信じてもらうことが全てです。
何を伝えるか:
- 経営者の情熱とビジョン:
なぜこの事業を始めたいのか、どんな世界を実現したいのか。経営者自身の経歴やストーリーも重要なアピール材料になります。 - 市場の魅力と課題:
どのような市場に、どんな未解決の課題があるのかを明確にします。 - ビジネスモデルの仮説:
その課題をどのように解決し、収益を上げるのかという「仮説」を分かりやすく提示します。
どう伝えるか:
数値計画はあくまで「仮説」に基づく予測であることを伝えつつも、その算出根拠は明確に示しましょう。「なんとなく」ではなく、市場規模や想定顧客数などから論理的に導き出す姿勢が信頼につながります。
この段階で重要なのは、完璧な計画よりも、事業にかける熱意と、論理的に物事を考えられる経営者であることを示すことです。まずは事業計画書の構成とは?資金調達を成功に導く書き方とチェックリストを参考に、骨子を固めることが大切です。
成長期:KPIと「再現性」の証明
事業が動き出し、顧客や売上が生まれ始める成長期。ここからは「夢」だけでなく「現実」のデータが求められます。
何を伝えるか:
- 主要KPIの推移:
顧客獲得数、リピート率、顧客単価など、事業の成長を示す客観的なデータ(KPI)をグラフなどで視覚的に示します。 - 事業の再現性:
なぜ事業がうまくいっているのか、その要因を分析し、「これからも同じように(あるいはそれ以上に)成長できる」という再現性を論理的に説明します。 - 具体的な資金使途:
調達した資金を「何に」「いくら」使い、その結果「どれだけの売上・利益」が見込めるのかを具体的に示します。
どう伝えるか:
過去の実績データを元に、説得力のある将来計画を立てることが重要です。ここでは事業計画書における「実現可能性」の示し方|根拠ある数字の作り方とはが、信頼性を高める上で非常に参考になります。
特にVCなどの投資家は、爆発的な成長の可能性を見ています。市場シェア拡大の戦略や、競合との差別化要因を明確に打ち出しましょう。
成熟期:安定した「収益性」と「ガバナンス」
事業が安定し、業界内での地位も確立してきた成熟期。さらなる飛躍や、事業の継続性に焦点が当たります。
何を伝えるか:
- 安定した収益構造:
どのような仕組みで安定的に利益を生み出しているのかを明確にします。財務諸表を分析し、自社の強みを数字で語れるようにしておく必要があります。 - 将来の成長戦略:
現状維持ではなく、次の成長に向けた具体的なプラン(新規事業、海外展開、M&Aなど)を提示します。 - コーポレート・ガバナンス:
健全な経営が行われていることを示すため、取締役会の構成やコンプライアンス体制など、内部管理体制の強化をアピールします。
どう伝えるか:
詳細な財務データに基づいた、精度の高い分析と将来予測が不可欠です。財務3表とは?PL・BS・CFの基礎と事業計画書への活かし方をわかりやすく解説を理解し、自社の財務状況を正確に説明できることが、金融機関からの大きな信頼につながります。
M&Aや事業承継を視野に入れる場合、自社の価値を客観的に評価し、買い手や後継者にとって魅力的であることを示す必要があります。
よくある誤解と失敗しないためのポイント
成長ステージに合わせた計画の重要性を理解しても、多くの経営者が陥りがちな誤解があります。
誤解1:「一度作れば事業計画書はずっと使える」
事業計画書は、会社の成長や市場の変化に合わせて定期的に見直す「生きたドキュメント」です。少なくとも半期に一度、資金調達などの大きなイベントの前には必ず見直し、最新の情報に更新しましょう。
誤解2:「融資も出資も、お金を借りることは同じ」
金融機関からの融資は「返済」が前提であり、事業の確実性や返済能力が重視されます。一方、VCなどからの出資は「企業の成長性」への投資であり、大きなリターンを期待される代わりに、経営への関与を求められることもあります。誰から資金を調達するのかによって、アピールすべきポイントは大きく異なります。資金調達に強い事業計画書とは?金融機関・VCが重視するポイントを理解し、相手に合わせたアプローチが重要です。
誤解3:「専門家に頼むのはコストの無駄遣いだ」
客観的な視点を持つ専門家は、社内だけでは気づけない事業の強みや弱みを洗い出し、資金提供者が納得するストーリーを構築する手助けをしてくれます。特に、財務やM&Aに関する専門知識は、調達できる資金額や条件に大きく影響するため、重要な局面では専門家の活用が有効な投資となる場合があります。
企業の成長フェーズに関するよくある質問(FAQ)
Q1. 赤字決算だと、もう資金調達は不可能なのでしょうか?
A1. いいえ、赤字でも資金調達が不可能なわけではありません。特に成長期のスタートアップでは、事業拡大のために先行投資がかさみ、一時的に赤字になることは珍しくありません。重要なのは、赤字の理由と、将来的に黒字化する明確な道筋を事業計画書で示すことです。「なぜ赤字なのか」「いつ黒字になるのか」「その根拠は何か」を論理的に説明できれば、資金調達の可能性は十分にあります。
Q2. 事業計画書は、どのくらいの頻度で見直すべきですか?
A2. 決まったルールはありませんが、少なくとも年に1回、できれば半期に1回は見直すのが理想です。市場環境や競合の動向、自社の実績は常に変化します。計画と実績のズレを分析し、事業計画書を常に最新の状態に保つことで、経営判断の精度が高まり、急な資金調達の機会にも迅速に対応できます。
Q3. 専門家に相談するメリットは何ですか?
A3. 主なメリットは3つあります。1つ目は「客観的な視点」が得られること。自社では当たり前だと思っていることも、専門家から見ると強みや弱みとして指摘されることがあります。2つ目は「専門知識と経験」の活用。資金調達のトレンドや金融機関・投資家の評価ポイントを熟知しているため、成功確率を高めることができます。3つ目は「時間と労力の削減」。経営者が事業に集中する間に、専門家が資料作成や交渉を代行してくれます。
成長ステージに合わせた財務戦略のパートナー
企業の成長ステージに応じた資金調達や事業計画書の見直しは、専門的な知識が求められる複雑な作業です。自社だけで対応するのが難しいと感じた場合、外部の専門家の力を借りるのも有効な選択肢の一つです。
例えば、M&Aや資金調達の支援を行うコンサルティング会社の中には、企業の状況に合わせた事業計画書の作成から支援してくれる企業も存在します。バルクアップコンサルティング株式会社は、中小ベンチャー企業を中心に年間260社の事業計画書作成実績があり、特にスモールM&Aや社外CFOサービスに強みを持っています。同社のように、財務、法務、技術といった多角的な視点から、企業の成長ステージに合わせたサポートを提供する専門家集団も、選択肢として検討してみる価値があるでしょう。
まとめ:自社の「今」を知り、未来への最適な一歩を
企業の成長は一直線ではありません。それぞれのステージで異なる壁があり、それを乗り越えるためには、その時に合った「資金調達戦略」と「事業計画書」が不可欠です。
まずは、自社が今どの成長ステージにいるのかを客観的に見極めましょう。そして、この記事で紹介したポイントを参考に、資金の出し手である金融機関や投資家が何を求めているのかを理解し、事業計画書を磨き上げてください。
時には、投資家が『読みたくなる』事業計画書の作り方|プレゼンにも効く実践テクニックのような具体的なノウハウを取り入れることも有効です。自社だけで進めるのが難しいと感じたら、躊躇なく専門家の扉を叩くことも、未来への重要な一歩となるはずです。
適切な戦略と計画が、あなたの会社の成長をさらに加速させることを願っています。
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ご相談は弊社代表の佐藤が直接承ります。
執筆者:佐藤 宏樹(BulkUp Group, CEO)
バルクアップグループ3社の経営を担う、バルクアップコンサルティング株式会社 代表取締役社長。京都大学MBA。2013年に日本公認会計士試験および米国公認会計士試験(USCPA)に合格。三菱UFJ銀行にて法人営業を経験した後、PwCの事業再生アドバイザリーチームにて不採算事業の再建・資金繰り改善支援に従事。その後、独立。現在は事業計画書作成支援・資金調達アドバイス・小規模M&AのFA・DD業務などを手掛け、財務・法務・ITを横断したハンズオン支援を提供している。25以上の金融機関と連携。

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