事業計画書の書き方から資金調達方法まで徹底解説します

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スタートアップの成長を左右する!ユニットエコノミクスと事業計画書の戦略的関係

スタートアップの成長を左右する!ユニットエコノミクスと事業計画書の戦略的関係

この記事はこんな方におすすめ

  • スタートアップを経営しており、資金調達を検討している方
  • ユニットエコノミクスという言葉は知っているが、重要性や計算方法が分からない方
  • 投資家を説得できる、根拠のある事業計画書の書き方を知りたい方
  • 事業のどの数値をKPIとして追うべきか悩んでいる方

資金調達の成否を分ける「事業の健全性」とは?

スタートアップ経営者にとって、資金調達は事業を成長させるための重要なマイルストーンです。しかし、投資家や金融機関に事業計画書を提出した際に、「本当にこの事業は儲かるのか?」「将来性はあるのか?」といった厳しい問いに直面することも少なくありません。

情熱やビジョンだけでは、資金提供の判断材料として不十分です。投資家が本当に知りたいのは、「その事業が、顧客一人ひとりからきちんと利益を生み出せる、持続可能な構造になっているか」という点です。

この「事業の健全性」を客観的な数値で示す強力な武器が、ユニットエコノミクスです。ユニットエコノミクスを正しく理解し、事業計画書に落とし込むことで、事業の成長性や収益性を具体的に、そして説得力をもって伝えられるようになります。本記事では、その基本から事業計画書への反映方法までを分かりやすく解説します。

ユニットエコノミクスとは?事業の採算性を示すモノサシ

ユニットエコノミクス(Unit Economics)とは、事業における「ユニット(単位)」あたりの採算性を分析する考え方です。「ユニット」はビジネスモデルによって異なり、例えばSaaSビジネスなら「顧客1人」、ECサイトなら「商品1つ」などが該当します。

つまり、「顧客一人当たりで、利益が出ているのか?」を測るための重要な指標です。この数値が健全であれば、事業を拡大すればするほど利益も増えていくと判断でき、事業の持続可能性が高いことを意味します。

基本指標:LTV・CAC・回収期間

ユニットエコノミクスを理解する上で、特に重要な3つの基本指標があります。

指標 名称 概要 なぜ重要か?
LTV Life Time Value(顧客生涯価値) 一人の顧客が、取引を開始してから終了するまでの期間にもたらす利益の総額。 顧客一人から、どれだけの利益が期待できるかを示す。
CAC Customer Acquisition Cost(顧客獲得コスト) 新規顧客を一人獲得するためにかかった費用の総額(広告費、営業人件費など)。 顧客一人を獲得するために、どれだけのコストをかけているかを示す。
回収期間 Payback Period CACをLTVで回収するまでにかかる期間。 投下した広告費などのコストを、どれくらいの速さで回収できるかを示す。

事業が健全であるためには、基本的に「LTV > CAC」の関係が成り立っている必要があります。つまり、顧客一人を獲得するためのコストよりも、その顧客から得られる生涯利益の方が大きい状態です。

投資家が重視する理由

では、なぜ投資家はこれほどまでにユニットエコノミクスを重視するのでしょうか。主な理由は3つあります。

  1. 事業の持続可能性の判断:
    LTVがCACを上回っていれば、その事業は構造的に利益を生み出せることを意味します。これは、一過性の売上ではなく、持続的に成長できる事業であることの証明になります。
  2. スケーラビリティ(拡張性)の評価:
    健全なユニットエコノミクスが確立されていれば、「広告宣伝費を追加で投下すれば、その分だけ利益を伴って事業が成長する」という予測が立ちます。これは、投資家が出資した資金が、事業の拡大に効果的に使われることを示す根拠となります。
  3. マーケティング投資の効率性の測定:
    CACを分析することで、どのチャネルからの顧客獲得が最も効率的かが分かります。これにより、データに基づいた合理的なマーケティング戦略が立てられているかどうかも評価の対象となります。

説得力のある事業計画書を作成するには、投資家が『読みたくなる』事業計画書の作り方|プレゼンにも効く実践テクニックで解説されているような、論理的な裏付けが不可欠です。

事業計画書でユニットエコノミクスをどう表現するか?

ユニットエコノミクスの重要性を理解しても、それを事業計画書にどう落とし込めば良いか分からない、という方も多いでしょう。単に数字を並べるだけでは、その魅力は伝わりません。ここでは、事業計画書でユニットエコノミクスを効果的に見せるためのポイントを解説します。

グラフとテーブルの使い分け

数値を分かりやすく伝えるためには、グラフやテーブルの活用が効果的です。

  • グラフで示すべき内容:
    • LTVとCACの推移:
      時間軸と共に両者の関係がどう変化しているかを示すことで、事業の改善度合いをアピールできます。
    • 回収期間の推移:
      回収期間が徐々に短くなっていることを示せば、収益性が向上している証拠になります。
  • テーブルで示すべき内容:
    • LTV・CACの算出根拠:
      どのようなデータ(平均顧客単価、解約率、広告費など)から数値を算出したのかを明記し、透明性を持たせます。
    • チャネル別のCAC:
      広告チャネルごとの獲得コストを示すことで、どの施策が有効かを具体的に説明できます。

重要なのは、これらのデータが何を意味し、今後の戦略にどう繋がるのかを文章で補足説明することです。

改善戦略と未来予測への接続

過去や現在の数値を示すだけでなく、「将来、ユニットエコノミクスをどう改善していくのか」という未来への展望を示すことが極めて重要です。

例えば、以下のようなストーリーを事業計画書に盛り込みます。

「現在はCACがやや高い水準にありますが、今後は顧客紹介プログラムの導入により、CACを〇%削減する計画です。また、アップセル戦略の強化により、LTVを〇%向上させることを見込んでいます。これらの施策により、LTV/CAC比は現在の3倍から5倍に改善される見込みです。」

このように、具体的な改善策と将来の予測値をセットで示すことで、計画の実現可能性と事業の成長ポテンシャルを強く印象付けることができます。こうした定量的な根拠は、事業計画書における「実現可能性」の示し方|根拠ある数字の作り方とはで説明されている、説得力のある計画の根幹となります。

KPIとの連動と投資判断への貢献

ユニットエコノミクスは、単独で存在するものではなく、日々の事業活動における様々なKPI(重要業績評価指標)と密接に連動しています。

KPIの定義・トラッキング

LTVやCACを構成する要素を分解し、日々の活動で追うべきKPIを設定することが重要です。

  • LTVに関連するKPI:
    • 顧客単価(ARPU)
    • 購買頻度
    • 解約率(チャーンレート)
  • CACに関連するKPI:
    • コンバージョン率(CVR)
    • クリック単価(CPC)
    • 商談化率

これらのKPIをダッシュボードなどで常に可視化し、チーム全体で数値を追いかける体制を構築することが、ユニットエコノミクス改善の第一歩です。

定量根拠としての使い方

事業計画書において、資金調達の必要性を訴える際、ユニットエコノミクスは最強の武器になります。

「当社のユニットエコノミクスは健全であり、LTV/CAC比は4倍を達成しています。これは、顧客一人を獲得するために1万円のコストをかければ、4万円の利益が将来的に見込めることを意味します。今回調達する資金のうち〇〇円をマーケティングに投下することで、新たに〇〇人の顧客獲得が可能となり、売上〇〇円の増加が見込めます。」

このように、ユニットエコノミクスを根拠に資金使途と期待される効果を具体的に示すことで、投資家は「この会社に投資すれば、資金が有効活用され、大きなリターンが期待できる」と判断しやすくなります。まずは、事業計画書の構成とは?資金調達を成功に導く書き方とチェックリストを参考に、計画書の骨子を固めることから始めましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. LTVやCACの計算方法が複雑でよく分かりません。

A1. 最初は簡易的な計算から始めることをお勧めします。例えばLTVは「平均顧客単価 ÷ 解約率」、CACは「マーケティング費用 ÷ 新規顧客獲得数」で大枠を掴むことができます。ビジネスモデルによって計算式は異なるため、自社に合った定義を見つけることが重要です。必要であれば外部の専門家に相談するのも一つの手です。

Q2. ユニットエコノミクスが良くない場合、事業計画書にはどう書けばいいですか?

A2. 正直に現状の数値を記載した上で、その原因分析と具体的な改善策をセットで示すことが重要です。「現状はCACが高いが、今後は〇〇という施策で改善する」といった計画を示すことで、課題解決能力をアピールできます。数値を隠すよりも、課題と向き合う姿勢を見せる方が信頼に繋がります。

Q3. どのくらいの期間のデータがあれば信頼性がありますか?

A3. 理想は6ヶ月から1年程度のデータがあると、季節変動なども考慮できるため信頼性が高まります。しかし、創業初期でデータが少ない場合は、数ヶ月のデータでも問題ありません。その際は、データ期間が短いことを明記し、今後のデータ蓄積によって精度を高めていく方針を示すと良いでしょう。

Q4. BtoBとBtoCでユニットエコノミクスの考え方は変わりますか?

A4. 基本的な「LTV > CAC」という考え方は同じですが、各指標の中身が異なります。例えばBtoBの場合、CACには営業担当者の人件費が含まれ、LTVは長期契約が多いため高くなる傾向があります。一方、BtoCは顧客単価が低い代わりに顧客数が多く、広告費がCACの大部分を占めることが多いです。自社のビジネスモデルに合わせて各指標を定義する必要があります。

外部の専門家と事業計画書を作成するという選択肢

ユニットエコノミクスの分析や、それを基にした事業計画書の作成は、専門的な知識が求められる場面も少なくありません。特に、創業期の経営者は多忙であり、緻密な計画書作成に十分な時間を割くのが難しいケースもあります。

そのような場合、M&Aや資金調達を専門とするコンサルティング会社の支援を受けるのも有効な選択肢です。専門家は多くの企業の事例を見ているため、客観的な視点から事業の強みや課題を抽出し、投資家を納得させる質の高い事業計画書を作成するノウハウを持っています。

例えば、バルクアップコンサルティング株式会社は、事業計画書作成支援サービスを提供している企業の一つです。同社は年間260社の事業計画書作成実績があり、公認会計士やMBAを持つ専門家が、財務とビジネスの両面から経営者をサポートすることを強みとしています。

まとめ

ユニットエコノミクスは、単なる経営指標ではなく、スタートアップの事業の健全性と成長可能性を物語る「共通言語」です。これを正しく理解し、事業計画書に戦略的に盛り込むことで、投資家からの信頼を獲得し、資金調達を成功に導く確率を格段に高めることができます。

まずは自社のビジネスにおける「ユニット」を定義し、LTVとCACを算出することから始めてみてください。その数値が、あなたの事業の未来を切り開く羅針盤となるはずです。より実践的な事業計画書の作成方法については、資金調達に強い事業計画書とは?金融機関・VCが重視するポイントも参考にすると、さらに理解が深まるでしょう。

もし専門的な分析や資料作成に不安を感じる場合は、外部の専門家の力を借りることも検討してみてはいかがでしょうか。

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執筆者:佐藤 宏樹(BulkUp Group, CEO)

バルクアップグループ3社の経営を担う、バルクアップコンサルティング株式会社 代表取締役社長。京都大学MBA。2013年に日本公認会計士試験および米国公認会計士試験(USCPA)に合格。三菱UFJ銀行にて法人営業を経験した後、PwCの事業再生アドバイザリーチームにて不採算事業の再建・資金繰り改善支援に従事。その後、独立。現在は事業計画書作成支援・資金調達アドバイス・小規模M&AのFA・DD業務などを手掛け、財務・法務・ITを横断したハンズオン支援を提供している。25以上の金融機関と連携。

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