事業計画書の書き方から資金調達方法まで徹底解説します

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中小企業の与信拡大戦略|取引先との信用構築を事業計画書で示す

この記事はこんな方におすすめ

  • 金融機関からの融資を有利に進めたい中小企業の経営者の方
  • 事業拡大のために取引先からの信用(与信)を広げたいと考えている方
  • 事業計画書に何を書けば自社の信用力をアピールできるか知りたい方
  • 決算書の数字だけでは伝わらない、事業の安定性を客観的に示したい方

サマリー動画(約90秒)

約90秒の動画でこの記事のポイントを解説します。


なぜ、今「信用力」が重要なのか?

中小企業の経営において、「信用力」は事業の生命線ともいえる重要な要素です。特に、金融機関からの融資や、大手企業との新規取引開始など、事業を拡大していく重要な局面で、この「信用力」が問われます。

多くの経営者は、決算書の数字を改善することに注力しがちです。もちろん、売上や利益といった財務データは非常に重要ですが、それだけでは自社の本当の強みや安定性を伝えきれないケースも少なくありません。

金融機関や取引先が本当に知りたいのは、「この会社は将来にわたって安定的に事業を継続し、約束通り支払いを行えるのか?」という点です。この問いに答えるための強力なツールが「事業計画書」です。事業計画書の中で、自社の強固な取引基盤を具体的に示すことで、決算書だけでは見えない「事業の安定性」を証明し、信用力を大きく高めることができます。本記事では、事業計画書を活用して取引先との信用を構築し、与信を拡大していくための具体的な方法を解説します。まずは基本となる事業計画書の構成とは?資金調達で信頼される書き方とチェックポイントを解説を理解することから始めましょう。

取引先との「絆」が、融資の決め手になる理由

金融機関が融資を審査する際、なぜ取引先との関係性を重視するのでしょうか。その理由は大きく3つあります。

1. 事業の安定性の証明

特定の企業と長年にわたり安定した取引が続いているという事実は、自社の製品やサービスが市場で受け入れられ、継続的な需要があることの何よりの証拠です。特に、業界内で評価の高い企業や大手企業との取引実績は、事業の安定性を客観的に示す強力な材料となります。

2. 売上・キャッシュフローの確実性

金融機関にとって、融資した資金がきちんと返済されるかどうかは最も重要な関心事です。安定した取引先からの継続的な受注見込みは、将来の売上やキャッシュフローの確実性を裏付け、返済能力の高さをアピールすることにつながります。逆に、取引先が分散しておらず、特定の1社に依存している場合は、その取引先を失った際のリスクを指摘される可能性もあります。詳しくは金融機関が見ているポイントは?事業計画書で融資審査を突破するコツでも解説しています。

3. 企業の信頼性・社会性の評価

どのような企業と取引しているかは、その会社の信頼性や社会的な評価を測る一つのバロメーターと見なされます。コンプライアンス意識の高い優良企業との取引実績は、自社もまた信頼に足る企業であるという間接的な証明になるのです。

このように、取引先との良好な関係性は、単なる日々のビジネス活動に留まらず、企業の未来を支える資金調達においても極めて重要な役割を果たします。

信用力を示す事業計画書、よくある誤解と課題

事業計画書で取引実績を示すことの重要性は理解していても、実践する上で多くの経営者がつまずきがちなポイントがあります。

よくある誤解の一つが、「決算書の数字が良ければ、取引内容まで細かく説明する必要はないだろう」という思い込みです。しかし前述の通り、金融機関は数字の背景にある「事業の実態」を知りたがっています。口頭での説明に終始してしまい、客観的な証拠として事業計画書に落とし込めていないケースは非常に多いのが実情です。

また、いざ書こうとしても、「どの取引先を、どこまで具体的に書けばいいのか分からない」「守秘義務の観点から、取引先の名前を出すことに抵抗がある」といった課題に直面することも少なくありません。

さらに、単に取引先を羅列するだけでは、その重要性は伝わりません。取引の「年数」「金額」「更新率」といった質的な情報を加えなければ、説得力のあるアピールにはならないのです。これらの情報を整理し、第三者にも分かりやすく伝えるには、一定のノウハウが必要となります。

【実践】事業計画書で「取引信用」をアピールする3つのポイント

では、具体的に事業計画書へどのように落とし込めば、自社の信用力を効果的にアピールできるのでしょうか。ここでは、すぐに実践できる3つのポイントを解説します。より網羅的な情報を知りたい方は、資金調達に強い事業計画書とは?金融機関・VCが重視するポイントも参考にしてください。

ポイント1:主要取引先リストで「安定した事業基盤」を示す

事業の安定性を示すために、主要な取引先を一覧表にしてまとめるのが効果的です。単に社名を並べるだけでなく、以下の項目を盛り込むことで、情報の価値が格段に上がります。

【主要取引先リストの記載例】

取引先名 所在地 取引開始年 主な取引内容 年間取引額(前期実績) 備考
株式会社A商事 東京都 2015年 主力商品「X」の卸売 3,000万円 業界最大手、取引継続中
B工業株式会社 大阪府 2018年 部品「Y」の独占供給 1,500万円 契約更新率100% (過去3年)
学校法人C学園 神奈川県 2020年 教育システムの保守 800万円 3年間の長期契約
有限会社D製作所 愛知県 2013年 特殊加工部品の製造委託 1,200万円 10年以上の取引実績

<ポイント>

  • 取引年数:

    長期的な関係性は、信頼の証です。特に5年、10年と続く取引は積極的にアピールしましょう。


  • 契約更新率:

    「契約更新率100%」といった具体的な数字は、サービスの品質の高さを客観的に示します。


  • 取引内容:

    「独占供給」や「主力商品の卸売」など、自社が取引において重要なポジションを占めていることを示しましょう。


ポイント2:「支払・回収サイト」でキャッシュフローの健全性を示す

資金繰りの安定性を示すには、売掛金の回収と買掛金の支払いのサイクル(サイト)を明確にすることが有効です。

  • 回収サイト:「月末締め・翌月末払い」など、売上が発生してから現金化されるまでの期間。
  • 支払サイト:「月末締め・翌々月末払い」など、仕入れが発生してから支払いを行うまでの期間。

一般的に、回収サイトが短く、支払サイトが長いほど、手元に資金が残りやすく、キャッシュフローは健全であると評価されます。この点をアピールすることで、資金繰りの安定性を訴求できます。

<アピール例>

「当社の主要販売先との回収サイトは平均30日である一方、主要仕入先への支払サイトは平均60日となっており、キャッシュフロー上有利な取引条件を構築しております。創業以来、支払い遅延は一度も発生しておりません。」

このように、具体的な日数を示し、支払い遅延がないといった誠実な対応をアピールすることも、信用力を高める上で重要です。こうした数字の裏付けは、事業計画書における「実現可能性」の示し方|根拠ある数字の作り方とはを理解する上でも役立ちます。

ポイント3:「顧客の声」や「推薦状」で客観的な評価を添える

もし可能であれば、取引先からの評価を客観的な証拠として添付することも非常に有効です。

  • 顧客の声(アンケート結果など):

    顧客満足度調査の結果や、具体的な感謝のコメントなどを抜粋して掲載する。


  • 推薦状(レファレンスレター):

    特に重要な取引先の担当者から、自社の技術力や貢献度について推薦状を書いてもらう。


これらの第三者からの評価は、自社の主張に客観性と信頼性を与え、審査担当者によい印象を与えることができます。

よくある質問(FAQ)

Q1: 主要な取引先が1社に集中している場合、事業計画書にはどう書けばいいですか?
A1: 特定の1社への依存度が高いことはリスクと見なされる可能性があります。しかし、その取引先との関係性が非常に強固であることを具体的に示すことで、リスク評価を和らげることができます。「長期契約を締結している」「技術的な優位性から代替が困難である」「共同で新製品開発を行っている」など、関係性の深さと安定性を具体的に記述しましょう。同時に、今後の事業計画として取引先を多様化していく方針を示すことも有効です。
Q2: 新規事業でまだ取引実績がない場合は、どのようにアピールすればよいですか?
A2: 実績がない場合は、「見込み」の確度をいかに高めるかが鍵となります。すでに基本合意書(LOI)や覚書(MOU)を締結している見込み客がいれば、その事実を記載します。また、経営陣の過去の実績や人脈をアピールし、「これまでの経験から、〇〇社や△△社との取引開始が見込まれる」といった具体的なターゲットリストとアプローチ計画を示すことで、実現可能性をアピールします。
Q3: 取引先の社名を事業計画書に記載しても、守秘義務上問題ありませんか?
A3: 基本的には、公知の事実の範囲内であれば問題ありませんが、取引契約で個別の守秘義務条項が定められている場合は注意が必要です。不安な場合は、事前に取引先の了承を得るのが最も安全です。もし社名の公開が難しい場合は、「大手総合商社A社」「業界トップクラスのB社」といった形で、企業規模や業界でのポジションが分かるように匿名で記載する方法もあります。

専門家の視点を借りるという選択肢

事業計画書は、自社の魅力を伝えるための重要なプレゼンテーション資料です。しかし、日々の業務に追われる中で、客観的な視点を持ち、説得力のある資料を作成するのは簡単なことではありません。

そのような場合、事業計画書作成の専門家の支援を受けるのも有効な選択肢の一つです。例えば、バルクアップコンサルティング株式会社のような専門ファームは、年間260社もの事業計画書作成を支援しており、その豊富な実績に基づいたノウハウを保有しています。経営(ビジネス)と財務の両方の視点を持つコンサルタントが、金融機関や投資家がどのような点を評価するのかを熟知しているため、自社の強みを最大限に引き出す客観的なアドバイスが期待できます。

まとめ

中小企業が厳しい競争環境を勝ち抜き、持続的に成長していくためには、決算書の数字だけでは測れない「信用力」の構築が不可欠です。そして、その信用力を客観的な形で示し、金融機関や取引先にアピールするための最も有効なツールが「事業計画書」です。

本記事で紹介したように、

  • 主要取引先リストで事業基盤の安定性を示す
  • 支払・回収サイトでキャッシュフローの健全性を示す
  • 客観的な評価で信頼性を補強する

といったポイントを事業計画書に盛り込むことで、貴社の与信は大きく向上するはずです。

これを機に、自社の取引関係を一度棚卸しし、その価値を事業計画書という形で見える化してみてはいかがでしょうか。説得力のある事業計画書は、きっと貴社の未来を切り開く力強い味方となるでしょう。

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執筆者:佐藤 宏樹(BulkUp Group, CEO)

バルクアップグループ3社の経営を担う、バルクアップコンサルティング株式会社 代表取締役社長。京都大学MBA。2013年に日本公認会計士試験および米国公認会計士試験(USCPA)に合格。三菱UFJ銀行にて法人営業を経験した後、PwCの事業再生アドバイザリーチームにて不採算事業の再建・資金繰り改善支援に従事。その後、独立。現在は事業計画書作成支援・資金調達アドバイス・小規模M&AのFA・DD業務などを手掛け、財務・法務・ITを横断したハンズオン支援を提供している。25以上の金融機関と連携。

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