事業計画書の書き方から資金調達方法まで徹底解説します

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事業計画書に「市場規模」の情報は必要?書き方とデータ収集のポイント

事業計画書に「市場規模」の情報は必要?書き方とデータ収集のポイント

この記事はこんな方におすすめ

  • これから事業計画書を作成する予定の経営者・起業家の方
  • 資金調達や融資のために、事業計画書の説得力を高めたい方
  • 事業の市場規模の調べ方や、適切なデータの見つけ方に悩んでいる方
  • 投資家や金融機関に「将来性がある」と評価される計画を作りたい方

導入:事業のポテンシャルを伝える「市場規模」

事業計画書の作成において、「自社の事業がいかに素晴らしいか」を情熱的に語ることは大切です。しかし、融資や投資を判断する金融機関や投資家は、その情熱を裏付ける客観的な根拠を求めています。その根拠の根幹をなすのが「市場規模」のデータです。

「そもそも、うちの事業の市場規模なんてどうやって調べればいいのだろう?」

「ニッチな分野だから、データが見つからないかもしれない…」

「市場規模が大きくないと、相手にされないのではないか?」

このような不安を感じる方も多いのではないでしょうか。市場規模は、単に数字の大きさを誇るためのものではありません。自社が参入する市場の潜在的な価値(ポテンシャル)を示し、事業計画全体の信頼性を支える重要な羅針盤となるのです。この記事では、なぜ市場規模が重要なのか、信頼できるデータはどこで手に入るのか、そして説得力のある書き方のポイントを、初心者にも分かりやすく解説します。

1. なぜ事業計画書に市場規模の記載が重要なのか?

事業計画書における市場規模の項目は、単なる形式的なものではありません。事業の将来性を測る上で、極めて重要な意味を持ちます。

投資家・金融機関が重視する理由

資金の出し手である投資家や金融機関が最も知りたいことの一つは、「その事業は将来どれくらい大きくなる可能性があるのか?」という点です。市場規模は、その事業の「天井」がどれくらい高いかを示す、分かりやすい指標となります。

例えば、1億円の市場で50%のシェアを獲得しても売上は5,000万円ですが、100億円の市場で5%のシェアを獲得できれば売上は5億円に達します。どちらがより大きなリターンを期待できるかは明白です。

もちろん、シェア獲得の難易度は異なりますが、市場規模が大きければ大きいほど、事業の成長ポテンシャルが高いと判断されやすくなります。これは、融資の返済能力や投資に対するリターンを評価する上で、非常に重要な判断材料となります。そのため、金融機関が見ているポイントは?事業計画書で融資審査を突破するコツを理解する上でも、市場規模の把握は欠かせません。

信頼性のある計画の構築

市場規模を客観的なデータに基づいて示すことは、「この事業は、思いつきや希望的観測でなく、客観的な事実に基づいて計画されています」という強力なメッセージになります。経営者が自社の事業領域をどれだけ深く理解し、分析しているかを示す証拠にもなるのです。

逆に、市場規模に関する記述が曖昧だったり、根拠のない数字が記載されていたりすると、「本当にこの市場を理解しているのだろうか?」と、事業計画全体の信頼性が揺らいでしまいます。正確なデータに基づいた市場規模の提示は、その後の売上予測や利益計画の説得力を高める土台となります。説得力のある数字は、事業計画書における「実現可能性」の示し方|根拠ある数字の作り方とはの核心部分と言えるでしょう。

2. よくある誤解と課題 – 「市場規模」の落とし穴

市場規模の重要性を理解しても、その示し方を誤ると逆効果になることがあります。ここでは、事業計画書を作成する際に陥りがちな落とし穴について解説します。

誤解1:市場規模は大きければ大きいほど良い?

「とにかく大きな数字を見せれば有利になる」と考え、例えば「日本の外食市場は29兆円」といった巨大な数字を引用するケースが見られます。しかし、これは多くの場合、間違いです。

あまりに広範な市場規模を提示すると、「自社の事業領域を正しく理解していない」と判断されかねません。重要なのは、巨大な市場の中で、自社が実際にターゲットとする顧客層がどれくらいの規模を持っているかを示すことです。例えば、高級フレンチレストランを開業するのに、ファストフードまで含めた外食市場全体の規模を示しても意味がありません。「都心部の富裕層向け高級ディナー市場」といった、より具体的で現実的な市場規模を特定する必要があります。

誤解2:「TAM・SAM・SOM」を意識していない

説得力のある事業計画では、市場規模を段階的に示します。

  • TAM(タム/Total Addressable Market):総獲得可能市場。自社が提供する製品やサービスが属する、全体の市場規模。
  • SAM(サム/Serviceable Available Market):獲得可能な最大市場規模。TAMの中で、自社のビジネスモデルでアプローチ可能な市場規模。
  • SOM(ソム/Serviceable Obtainable Market):現実的に獲得可能な市場規模。SAMの中で、自社の戦略やリソースを考慮して、実際に獲得を目指す具体的な市場規模。

この3つの視点で市場を分析することで、経営者が市場構造を深く理解し、現実的な目標を立てていることを示すことができます。

3. 市場規模の調べ方と書き方の具体策

では、具体的にどのようにして市場規模を調べ、事業計画書に落とし込んでいけば良いのでしょうか。ここでは、データ収集の方法から具体的な書き方までを解説します。

データ収集方法

信頼できるデータを集めるには、いくつかの方法があります。これらを組み合わせることで、より正確な市場規模を把握できます。

調査方法 概要 メリット デメリット
官公庁の統計資料 経済産業省の「経済センサス」や総務省統計局の各種調査など、国や地方自治体が公表しているデータ。 ・無料で利用可能
・信頼性が非常に高い
・データが少し古い場合がある
・ニッチな分野のデータはないことが多い
民間調査会社のレポート 矢野経済研究所や富士経済といったリサーチ会社が発行する市場調査レポート。 ・特定の業界に特化した詳細なデータ
・市場のトレンドや将来予測も含まれる
・有料で高額な場合が多い
(数万~数十万円)
業界団体・業界新聞 各業界団体が公表する統計データや、業界専門の新聞・雑誌の記事。 ・業界のリアルな動向を把握できる
・比較的安価または無料で入手可能
・客観性にやや欠ける場合がある
・網羅的でないこともある
独自推計 公開データがない場合に、関連データから論理的に市場規模を算出する方法。 ・ニッチな市場でも規模を示せる
・自社の視点で市場を定義できる
・算出根拠の客観性が問われる
・手間がかかる

新しい分野やニッチな市場でデータが見つからない場合は、「想定顧客数 × 顧客単価」といった計算式を用いて独自に推計することも有効です。その際は、なぜその顧客数や単価を設定したのか、その算出根拠を明確に説明することが不可欠です。

事業計画書への書き方のポイント

収集したデータを、ただ羅列するだけでは不十分です。以下のポイントを意識して、分かりやすく説得力のある記述を心がけましょう。

  • 出典を明記する:「総務省統計局 〇〇調査(2024年)」のように、どのデータに基づいているのかを必ず記載します。
  • グラフや図を活用する:数字の羅列よりも、棒グラフや円グラフで示す方が、市場の規模や自社のシェア目標を直感的に伝えられます。
  • 市場の成長性(CAGR)を示す:現在の市場規模だけでなく、「年平均成長率(CAGR)〇%」といった将来性を示すデータを加えることで、事業の成長ポテンシャルをより強くアピールできます。
  • 自社の立ち位置を明確にする:市場規模を示した上で、その中で自社がどのような強みを活かして、どのターゲットにアプローチし、最終的にどれくらいのシェア(SOM)を目指すのかを具体的に記述します。

これらの要素を盛り込むことで、投資家が『読みたくなる』事業計画書の作り方|プレゼンにも効く実践テクニックに近づけることができるでしょう。まずは、事業計画書の構成とは?資金調達で信頼される書き方とチェックポイントを解説を参考に、全体の骨子を固めることから始めるのも有効です。

4. よくある質問(FAQ)

Q1. ニッチな市場で、公的なデータが見つからない場合はどうすればいいですか?

A. 関連する大きな市場のデータを参考にしつつ、独自の推計を行うのが有効です。例えば、特定の趣味に関するニッチなECサイトであれば、「その趣味の愛好者数(SNSのフォロワー数や雑誌の発行部数などから推計)× 年間平均購入額」といったロジックで算出根拠を示します。重要なのは、第三者が見て納得できる論理的な説明です。

Q2. 市場規模は、どのくらいの期間を対象に書けばよいですか?

A. 直近のデータ(現在)と、事業計画の期間に合わせた将来予測(3〜5年後)を示すのが一般的です。過去から現在、そして未来への市場の推移を見せることで、市場のトレンド(成長、縮小、横ばい)を伝えることができます。

Q3. 市場調査レポートは高額ですが、購入すべきでしょうか?

A. 資金調達の成否を大きく左右するような重要な事業計画であれば、投資として購入を検討する価値はあります。ただし、まずは図書館で閲覧できないか、あるいは必要な部分だけを安価に購入できるサービスがないかを探してみましょう。官公庁のデータや業界ニュースで代替できないか検討することも重要です。

Q4. 市場規模が縮小している業界でも、事業計画は作れますか?

A. 可能です。その場合は、市場全体が縮小している中でも「なぜ自社は成長できるのか」を論理的に説明する必要があります。例えば、「業界のDX化の遅れを突く」「特定のニッチなニーズに特化する」「競合の撤退によるシェア獲得」といった、逆境をチャンスに変える戦略を具体的に示すことができれば、十分に説得力のある計画になります。

専門家の視点を活用する選択肢

市場規模の調査や分析、そしてそれを基にした説得力のある事業計画書の作成には、専門的な知識と経験が求められます。特に、初めて資金調達に挑戦する場合や、M&Aといった重要な局面では、その精度が結果を大きく左右します。

自社でのリサーチや作成に限界を感じる場合は、外部の専門家を頼るのも有効な手段です。財務や事業計画のプロフェッショナルは、客観的な視点から市場を分析し、投資家や金融機関が納得するロジックの構築を支援してくれます。

財務とビジネスの領域を専門とするコンサルティングファームの中には、事業計画書の作成支援を強みとしている企業も存在します。バルクアップコンサルテイング株式会社は、年間260社の事業計画書作成実績を持ち、財務の専門家の視点から、客観的データに基づいた実現可能性の高い計画策定をサポートしています。このような専門サービスの活用も、重要な選択肢の一つと言えるでしょう。

まとめ

事業計画書における「市場規模」は、単なる数字ではなく、事業の将来性、信頼性、そして経営者の分析能力を示す重要な要素です。

  • なぜ重要か:投資家や金融機関が事業のポテンシャルを測るための客観的な指標だから。
  • どう調べるか:官公庁の統計、民間の調査レポート、業界ニュースなどを活用し、出典を明確にする。
  • どう書くか:TAM・SAM・SOMを意識し、グラフなどを活用して分かりやすく、将来性も示す。

信頼できるデータに基づき、論理的に市場規模を説明することで、あなたの事業計画書は格段に説得力を増すはずです。自社の未来を切り拓く第一歩として、まずは市場の全体像を正確に把握することから始めてみてはいかがでしょうか。もし専門的なサポートが必要だと感じた場合は、外部の専門家への相談も検討してみましょう。

説得力のある事業計画書の作成でお悩みの方は、専門家への相談も有効です。サービス詳細

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執筆者:佐藤 宏樹(BulkUp Group, CEO)

バルクアップグループ3社の経営を担う、バルクアップコンサルティング株式会社 代表取締役社長。京都大学MBA。2013年に日本公認会計士試験および米国公認会計士試験(USCPA)に合格。三菱UFJ銀行にて法人営業を経験した後、PwCの事業再生アドバイザリーチームにて不採算事業の再建・資金繰り改善支援に従事。その後、独立。現在は事業計画書作成支援・資金調達アドバイス・小規模M&AのFA・DD業務などを手掛け、財務・法務・ITを横断したハンズオン支援を提供している。25以上の金融機関と連携。

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