この記事では、事業計画書の作成にあたり「Word」「Excel」「PowerPoint」のどれを使うべきか?という疑問にお答えします。
金融機関向け、投資家向け、社内用など、提出先に合わせた使い分け方をわかりやすく解説。
それぞれのメリット・デメリットの比較表や、専門家によるアドバイスも掲載しており、初めての方でも迷わずフォーマットを選べるようになります。
この記事はこんな方におすすめ
- これから事業計画書を作成するが、どのソフトを使えば良いか迷っている方
- Word、Excel、PowerPointのそれぞれの長所と短所を知りたい方
- 融資や出資など、提出する相手に合わせた最適なフォーマットを選びたい方
- 見やすく、説得力のある事業計画書を作成したいと考えている経営者の方
なぜ事業計画書のフォーマット選びが重要なのか?
事業計画書を作成しようと思い立ったとき、多くの人が最初に悩むのが「どのソフト(フォーマット)で作成すべきか」という点ではないでしょうか。「内容が良ければフォーマットは関係ない」と思うかもしれませんが、実はフォーマット選びは計画書の伝わりやすさや説得力、さらには作成者の作業効率を大きく左右する重要な第一歩です。
フォーマットは、いわば料理における「お皿」のようなものです。どんなに美味しい料理でも、場にそぐわないお皿や食べにくいお皿に盛り付けられていては、その魅力は半減してしまいます。事業計画書も同様に、その内容と目的に合ったフォーマットを選ぶことで、読み手への伝わり方が格段に変わるのです。
提出する相手によって見せ方が変わる
事業計画書を誰に提出するのかによって、最適なフォーマットは異なります。
- 金融機関の融資担当者:事業の収益性や返済能力を厳しく審査します。そのため、詳細な数値計画やその根拠を正確に伝えることが重要になります。
- 投資家(VC・エンジェル投資家など):事業の将来性や成長ポテンシャル、市場の魅力などを重視します。短い時間で事業の魅力を直感的に理解させる、視覚的な分かりやすさが求められます。
- 社内関係者(役員・従業員など):事業の全体像を共有し、目標達成に向けた共通認識を持つことが目的です。議論や更新を重ねることが多いため、編集のしやすさも考慮する必要があります。
このように、読み手が誰で、何を期待しているのかを考えることが、適切なフォーマット選びの出発点となります。
業種・業態による違い
事業の内容によっても、アピールすべきポイントは異なります。例えば、ITサービスのような無形商材を扱うビジネスであれば、ビジネスモデルや市場の将来性を文章や図で分かりやすく説明することが重要です。一方、飲食店や小売店のような店舗型ビジネスでは、詳細な出店計画や売上予測、資金繰り計画といった具体的な数値計画が説得力を持ちます。自社の事業内容に合わせて、文章での説明と数値計画のどちらに比重を置くべきかを考え、フォーマットを選びましょう。
各フォーマット(Word・Excel・PowerPoint)の特徴
ここでは、事業計画書作成によく使われる3つのソフト、Word、Excel、PowerPointのそれぞれの特徴と、どのような用途に向いているかを解説します。
| フォーマット | 特徴 | メリット | デメリット | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| Word | 文章作成ソフト | ・長文の作成、編集が容易 ・構成の自由度が高い ・目次機能などで体系的に整理しやすい |
・図やグラフの挿入、レイアウト調整が煩雑 ・複雑な計算はできない ・視覚的なインパクトに欠ける |
・文章での説明が中心となる事業計画 ・公的な補助金申請書類 ・社内向けの正式な文書 |
| Excel | 表計算ソフト | ・複雑な数値計算、シミュレーションが得意 ・収支計画、資金繰り表の作成に必須 ・グラフ作成が容易 |
・文章のレイアウトが難しい ・デザイン性が低く、読み物としては不向き ・印刷時にレイアウトが崩れやすい |
・財務計画(収支、資金繰り、人員計画など) ・売上予測、各種シミュレーション ・金融機関向けの提出資料 |
| PowerPoint | プレゼンテーションソフト | ・図やグラフ、画像を用いて視覚的に表現できる ・要点を絞って伝えやすい ・プレゼンテーションにそのまま使える |
・詳細な文章や数値データの記載には不向き ・情報量が多くなると煩雑になる ・作り込みに時間がかかる場合がある |
・投資家向けのピッチ資料 ・社内向けの事業説明会 ・事業のコンセプトやビジョンを伝える場面 |
Word:構成しやすく初心者向け
Wordは文章作成に特化しており、事業の理念やビジネスモデル、マーケティング戦略などを詳しく記述するのに向いています。目次機能や見出しスタイルを活用すれば、論理的で体系の整った計画書を作成できます。まずは事業計画書の構成とは?資金調達を成功に導く書き方とチェックリストを参考に、全体の骨子をWordで組み立てていく方法は、初心者にもおすすめです。
Excel:収支や試算表に最適
Excelの最大の強みは、正確な表計算機能です。収支計画や資金繰り計画など、事業の根幹となる財務計画を作成するには必須のツールと言えるでしょう。数式を組んでおけば、売上予測などの変数を変更するだけで、複数のパターンのシミュレーションを簡単に行えます。事業計画において数字の説得力は極めて重要であり、特に財務3表とは?PL・BS・CFの基礎と事業計画書への活かし方をわかりやすく解説を理解し、Excelで表現することが求められます。
PowerPoint:プレゼン向けで視覚に訴える
PowerPointは、図やグラフ、写真を効果的に使って、事業の魅力や成長性を視覚的に伝えることに長けています。特に、短い時間で多くの投資家にアピールする必要がある場面で絶大な効果を発揮します。投資家が『読みたくなる』事業計画書の作り方|プレゼンにも効く実践テクニックでも解説されているように、ストーリー性を持たせた構成で、相手の心を動かす資料作りが可能です。
フォーマット選びの最終的な判断基準
それぞれのツールの特徴を理解した上で、最終的にどのフォーマットを選ぶべきか、具体的な判断基準を解説します。
提出先に合わせた組み合わせが基本
実際には、単一のフォーマットで完結させるのではなく、「WordとExcel」、「PowerPointとExcel」のように、複数のフォーマットを組み合わせて作成するのが最も効果的で一般的です。
金融機関向け
- メイン:Excel(詳細な財務計画)
- 補足:Word(事業概要、代表者経歴、市場分析などの文章説明)
金融機関は何よりも「返済能力」を重視します。そのため、Excelで作成した詳細で根拠のある数値計画が最も重要です。金融機関が見ているポイントは?事業計画書で融資審査を突破するコツを意識し、説得力のある財務データを作成しましょう。
投資家向け
- メイン:PowerPoint(事業の魅力や成長性を伝えるピッチ資料)
- 補足:Excel(財務計画の詳細データとして別途提出)
投資家にはまず興味を持ってもらうことが先決です。PowerPointで事業のポテンシャルを最大限にアピールし、詳細な数値データは求められた際に提出できるようExcelで準備しておくのが良いでしょう。
社内・関係者向け
- WordまたはPowerPoint
目的によりますが、事業の全体像を共有するならWord、プロジェクトのキックオフなどで説明するならPowerPointが適しています。どちらの場合も、関連する数値データはExcelで管理すると効率的です。
作業効率と見やすさのバランス
最終的には、作成者自身が使い慣れているツールを軸に考えることも重要です。ただし、独りよがりな資料にならないよう、常に「読み手にとっての見やすさ、分かりやすさ」を意識しましょう。どれだけ優れた計画も、相手に伝わらなければ意味がありません。第三者の視点でレビューしてもらうことも有効な手段です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 結局、どのフォーマットが一番おすすめですか?
A. 提出する相手と目的によって異なりますが、最も汎用性が高いのは「Excelで詳細な財務計画を作り、Wordで事業概要などの文章をまとめる」という組み合わせです。まずはこの形で作成し、必要に応じてPowerPointで概要版を作成するのが良いでしょう。
Q2. 無料のテンプレートを使っても問題ありませんか?
A. はい、問題ありません。特に初心者の方は、テンプレートを活用することで、必要な項目を漏れなく記述できます。ただし、テンプレートに頼りすぎず、自社の事業内容に合わせて項目を追加・修正し、オリジナリティのある計画書に仕上げることが重要です。
Q3. デザインに自信がないのですが、どうすれば良いですか?
A. 事業計画書は、芸術的なデザインセンスを問われるものではありません。重要なのは「見やすさ」と「分かりやすさ」です。色数を絞る(3色程度)、フォントを統一する、余白を適切に取るといった基本を徹底するだけで、十分に整った印象になります。PowerPointの場合は、事業計画書をもとにしたプレゼン資料の作り方を参考にすると良いでしょう。
専門家のサポートも選択肢の一つ
ここまでフォーマット選びについて解説してきましたが、「自社の魅力を最大限に伝えるにはどうすれば良いか分からない」「客観的な視点で計画をブラッシュアップしたい」と感じる経営者の方も少なくないでしょう。そのような場合は、事業計画書作成の専門家に相談するのも有効な選択肢です。
M&Aや資金調達を支援する専門企業の中には、事業計画書の作成をサポートしてくれるところもあります。例えば、BulkUp Consulting株式会社は、年間260社にのぼる事業計画書の作成実績を持ち、財務とビジネスの両方の視点から、経営判断に直結する質の高い事業計画書作成を支援しています。同社は特にスモールM&Aや資金調達の分野で、企業の状況に合わせたサポートを提供しているのが特徴です。
まとめ
事業計画書のフォーマット選びは、単なる作業ツールの選択ではありません。それは、「誰に、何を、どのように伝えたいか」というコミュニケーション戦略そのものです。
- Wordは、詳細な文章で論理的に説明するのに適している
- Excelは、正確な数値計画で事業の実現可能性を示すのに不可欠
- PowerPointは、視覚的な魅力で事業のポテンシャルを伝えるのに最適
これらの特徴を理解し、提出する相手と目的に応じて最適なフォーマットを組み合わせることが、説得力のある事業計画書を作成するための鍵となります。
この記事を参考に、ご自身の事業に最も合ったフォーマットを選び、事業の成功に向けた第一歩を踏み出してください。もし、専門的な知見を取り入れた質の高い事業計画書を目指すのであれば、専門家への相談も検討してみてはいかがでしょうか。
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ご相談は弊社代表の佐藤が直接承ります。
執筆者:佐藤 宏樹(BulkUp Group, CEO)
バルクアップグループ3社の経営を担う、バルクアップコンサルティング株式会社 代表取締役社長。京都大学MBA。2013年に日本公認会計士試験および米国公認会計士試験(USCPA)に合格。三菱UFJ銀行にて法人営業を経験した後、PwCの事業再生アドバイザリーチームにて不採算事業の再建・資金繰り改善支援に従事。その後、独立。現在は事業計画書作成支援・資金調達アドバイス・小規模M&AのFA・DD業務などを手掛け、財務・法務・ITを横断したハンズオン支援を提供している。25以上の金融機関と連携。

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