事業計画書の書き方から資金調達方法まで徹底解説します

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事業計画書のP/L(損益計算書)の作り方|記載例付き

事業計画書のP/L(損益計算書)の作り方|記載例付き

この記事はこんな方におすすめ

  • これから事業計画書を作成する予定で、何から手をつけていいか分からない方
  • 損益計算書(P/L)の作り方や専門用語が難しくて困っている方
  • 金融機関や投資家から「説得力がある」と思われるP/Lを作成したい方
  • 売上や経費の予測に自信がなく、数字の根拠の示し方を知りたい方

会社の「儲ける力」を示す成績表、それが損益計算書(P/L)

事業計画を立てる際、多くの経営者が頭を悩ませるのが「損益計算書(P/L)」の作成ではないでしょうか。「売上予測はどのくらいに設定すればいいのだろう?」「専門用語ばかりで、どの数字をどこに入れればいいかわからない」「赤字の計画書を提出したら、融資を断られてしまうのではないか」といった不安を感じるかもしれません。

確かに、損益計算書は専門的な知識が必要に見えるため、難しく感じられがちです。しかし、その本質は非常にシンプルで、「会社が一定期間でどれだけ儲けたか(あるいは損したか)」を示す成績表に他なりません。

この記事では、損益計算書(P/L)の基本的な構造から、具体的な作成手順、金融機関などを納得させるためのポイントまで、初心者の方にも分かりやすく解説します。この記事を最後まで読めば、自信を持って事業計画書のP/Lを作成できるようになるでしょう。

まずは基本から!損益計算書(P/L)とは?

損益計算書(Profit and Loss Statement、略してP/L)は、特定の期間(通常は1年間)における会社の経営成績をまとめた財務諸表の一つです。簡単に言えば、「売上(収入)」から「費用(支出)」を差し引いて、最終的に「利益(儲け)」がいくら残ったかを示す書類です。

事業計画書におけるP/Lの重要な役割

事業計画書にP/Lを記載するのは、単なる形式上の手続きではありません。主に3つの重要な役割があります。

  1. 事業の収益性を客観的に示す
    どんなに素晴らしいアイデアや熱意があっても、事業として利益を上げられなければ継続できません。P/Lは、その事業が将来的にどれくらいの利益を生み出す可能性があるのかを、具体的な数字で証明するための客観的な証拠となります。
  2. 資金提供者への「説得材料」となる
    銀行からの融資や投資家からの出資を求める際、相手が最も知りたいのは「この事業に投資して、本当にお金が返ってくるのか、成長するのか」という点です。P/Lは、事業の収益性と将来性をアピールし、資金提供者を納得させるための最も重要な説得材料の一つです。
  3. 経営の羅針盤となる
    P/Lを作成する過程で、売上目標や必要な経費を具体的にシミュレーションすることになります。これにより、目標達成までの道筋が明確になり、事業運営における具体的なアクションプランを立てるための「羅針盤」として機能します。

P/Lの基本構造「5つの利益」を理解しよう

P/Lは、売上から段階的に費用を差し引いていくことで、5つの異なる利益を算出します。この構造を理解することが、P/Lを読み解く第一歩です。

項目 計算式 内容
売上総利益 売上高 – 売上原価 商品やサービスの提供で得た基本的な利益。「粗利(あらり)」とも呼ばれる。
営業利益 売上総利益 – 販管費 本業で稼いだ利益。企業の「稼ぐ力」を最も純粋に表す。
経常利益 営業利益 + 営業外収益 – 営業外費用 本業とそれ以外の活動(預金利息など)を含めた、企業全体の通常の利益。
税引前当期純利益 経常利益 + 特別利益 – 特別損失 臨時的な損益(不動産売却益など)も含めた、税金を支払う前の利益。
当期純利益 税引前当期純利益 – 法人税等 すべての費用と税金を支払った後に、最終的に会社に残る利益。

これらの利益を一つひとつ見ていくことで、会社が「何で儲けて、何にお金を使っているのか」が明確になります。会社の財務状況を正しく把握するためには、財務3表とは?PL・BS・CFの基礎と事業計画書への活かし方をわかりやすく解説の知識も合わせて深めておくと良いでしょう。

事業計画書のP/Lで陥りがちな誤解と課題

P/L作成にあたり、初心者が陥りやすい誤解や課題がいくつかあります。事前に知っておくことで、より精度の高い計画書を作成できます。

よくある誤解

  • 誤解1:「売上はとにかく高く設定すれば良い」
    希望的観測だけで立てられた根拠のない売上計画は、すぐに見抜かれます。審査担当者は「この計画は本当に実現可能なのか?」という視点で厳しくチェックします。売上を高く見せることよりも、その数字に至った論理的な根拠と実現可能性を示すことが何よりも重要です。
  • 誤解2:「赤字の計画は絶対にNG」
    特に創業期や新規事業開始時には、設備投資や広告宣伝費などが先行し、一時的に赤字になることは珍しくありません。問題なのは赤字であること自体ではなく、「なぜ赤字なのか」そして「いつまでに、どうやって黒字化するのか」という道筋を明確に説明できないことです。計画的な赤字であれば、十分に理解を得られる可能性があります。

よくある課題

  • 課題1:売上予測の根拠が曖昧になってしまう
    「市場が伸びているから」「競合が儲かっているから」といった漠然とした理由だけでは、説得力のある根拠とは言えません。「客単価 × 座席数 × 回転率 × 営業日数」のように、具体的な計算式に落とし込み、各要素の数値をどう設定したかを説明する必要があります。
  • 課題2:必要な経費を漏れなく計上できない
    売上原価や人件費、家賃といった主要な経費以外にも、水道光熱費、通信費、広告宣伝費、消耗品費など、事業運営には様々な費用がかかります。これらの経費の見積もりが甘いと、計画全体の信頼性が揺らぎます。後から「こんなはずではなかった」と資金ショートに陥らないためにも、経費は漏れなく、少し多めに見積もっておくことが大切です。

【記載例付き】P/Lの具体的な作成手順とポイント

ここからは、実際にP/Lを作成する手順を、具体的なフォーマットと記載例を交えながら解説します。今回は、東京都内で小さなカフェを開業するケースを想定してみましょう。

ステップ1:売上高の計画を立てる

P/L作成で最も重要かつ難しいのが売上高の予測です。以下の式のように、要素を分解して考えると、現実的な計画を立てやすくなります。

売上高 = 客単価 × 席数 × 回転数 × 営業日数

  • 客単価: 1,000円(ランチセットやドリンクの平均)
  • 席数: 15席
  • 回転数: 2回転/日(ランチタイムのピークを想定)
  • 営業日数: 25日/月
  • 月間売上高: 1,000円 × 15席 × 2回転 × 25日 = 750,000円
  • 年間売上高: 750,000円 × 12ヶ月 = 9,000,000円

このように、一つひとつの要素に分解し、「なぜこの客単価なのか」「なぜこの回転数を見込めるのか」を周辺の競合調査や市場データに基づいて説明できるようにしておくことが、事業計画書における「実現可能性」の示し方|根拠ある数字の作り方とはの鍵となります。

ステップ2〜5:各種費用と利益を計算する

売上高の計画が立ったら、次にかかる費用を一つずつ計算していきます。

勘定科目 1年目(円) 算出根拠
Ⅰ 売上高 9,000,000 客単価1,000円×15席×2回転×25日×12ヶ月
Ⅱ 売上原価 2,700,000 売上高の30%(飲食店の平均原価率)
Ⅲ 売上総利益 6,300,000 Ⅰ – Ⅱ
Ⅳ 販管費
役員報酬 3,000,000 25万円/月
地代家賃 1,800,000 15万円/月
水道光熱費 360,000 3万円/月
広告宣伝費 240,000 2万円/月(Web広告、チラシなど)
その他経費 600,000 通信費、消耗品費など5万円/月
販管費 合計 6,000,000
Ⅴ 営業利益 300,000 Ⅲ – Ⅳ
Ⅵ 営業外損益 0 開業当初は想定しない
Ⅶ 経常利益 300,000 Ⅴ + Ⅵ
Ⅷ 特別損益 0 開業当初は想定しない
Ⅸ 税引前当期純利益 300,000 Ⅶ + Ⅷ
Ⅹ 法人税等 90,000 利益の約30%と仮定
Ⅺ 当期純利益 210,000 Ⅸ – Ⅹ

P/L作成時の注意点

  • すべての数字に根拠を持つ:
    上記の表の「算出根拠」のように、すべての数字の裏付けを明確にしておきましょう。
  • キャッシュフローを意識する:
    P/L上の利益と、実際に手元に残る現金(キャッシュ)は必ずしも一致しません。特に融資の返済元金は費用には計上されませんが、現金は減少します。別途キャッシュフロー計算書を作成し、資金繰りを確認することが重要です。
  • 計画書全体で一貫性を持たせる:
    P/Lの数字は、事業計画書の他の部分(マーケティング計画や人員計画など)と整合性が取れている必要があります。例えば、広告宣伝費を計上しているなら、どのような販促活動を行うのかを具体的に示す必要があります。どのように計画を伝えれば良いかは、投資家が『読みたくなる』事業計画書の作り方|プレゼンにも効く実践テクニックも参考になります。

よくある質問(FAQ)

Q1. P/Lはどのくらいの期間を作成すれば良いですか?

A. 最低でも3年分、できれば5年分の計画を作成することが推奨されます。金融機関は短期的な返済能力を、投資家は長期的な成長性を見る傾向があるためです。初年度は月単位で、2年目以降は年単位で作成すると、より詳細な計画を示すことができます。

Q2. 創業期は赤字計画になっても大丈夫ですか?

A. 問題ありません。特に創業初期は設備投資や人材採用などで費用が先行し、赤字になることは一般的です。重要なのは、その赤字が事業成長に必要な「先行投資」であることを合理的に説明し、いつまでに、どのような施策によって黒字転換を達成するのかという具体的なロードマップを示すことです。

Q3. 専門知識がなくても自分で作れますか?

A. はい、作成可能です。日本政策金融公庫などが提供しているテンプレートや、本記事で紹介したフォーマットを活用すれば、基本的なP/Lは作成できます。ただし、融資審査など重要な局面で用いる場合は、専門家に客観的な視点でレビューしてもらうことで、計画の精度と説得力を大幅に高めることができます。

専門家の視点で計画の精度を高める選択肢

事業計画書のP/Lは、自社の未来を描く設計図です。自力で作成することで、事業への理解が深まるという大きなメリットがあります。

一方で、「これで本当に金融機関を説得できるだろうか」「自社のビジネスモデルに適したP/Lになっているか不安」と感じることもあるでしょう。そのような場合は、事業計画書作成の専門家に相談するのも有効な手段です。

例えば、バルクアップコンサルティング株式会社のようなコンサルティング会社は、資金調達やM&Aに関する豊富な支援実績を持っています。同社は年間260社もの事業計画書作成を支援しており、財務のプロフェッショナルが、ビジネスモデルの収益性を最大限にアピールするための客観的で説得力のあるP/L作りをサポートしています。専門家の知見を活用することで、計画の精度を向上させ、資金調達の成功確率を高めることにつながります。

まとめ|P/Lは事業成功への羅針盤

損益計算書(P/L)の作成は、単なる事務作業ではありません。自社の事業を数字に落とし込み、収益構造を深く理解し、未来への道筋を具体的に描くという、経営そのものと言える重要なプロセスです。

今回解説したポイントと記載例を参考に、まずはご自身の事業のP/Lを作成してみてください。一つひとつの数字に根拠を持ち、実現可能な計画を立てることが、資金提供者の信頼を得て、事業を成功に導くための第一歩となります。

もし作成過程で困難を感じたり、第三者の客観的な意見が欲しくなったりした際には、専門家への相談も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

専門家のサポートにご興味のある方は、こちらのサービス詳細も参考にしてみてください。

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執筆者:佐藤 宏樹(BulkUp Group, CEO)

バルクアップグループ3社の経営を担う、バルクアップコンサルティング株式会社 代表取締役社長。京都大学MBA。2013年に日本公認会計士試験および米国公認会計士試験(USCPA)に合格。三菱UFJ銀行にて法人営業を経験した後、PwCの事業再生アドバイザリーチームにて不採算事業の再建・資金繰り改善支援に従事。その後、独立。現在は事業計画書作成支援・資金調達アドバイス・小規模M&AのFA・DD業務などを手掛け、財務・法務・ITを横断したハンズオン支援を提供している。25以上の金融機関と連携。

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