事業計画書の書き方から資金調達方法まで徹底解説します

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投資家向けピッチ資料と事業計画書の違い|目的に応じた使い分け術

投資家向けピッチ資料と事業計画書の違い|目的に応じた使い分け術

この記事はこんな方におすすめ

  • 投資家からの資金調達を成功させたいと考えている経営者の方
  • 「ピッチ資料」と「事業計画書」、どちらをどう作れば良いか分からず悩んでいる方
  • それぞれの書類が持つ役割や目的の違いを正しく理解し、効果的に使い分けたい方
  • 限られた時間の中で、投資家の心を動かす効果的な資料を作成したい方

導入:その資料、誰に何を伝えたいですか?

「自社の事業の魅力を伝え、投資家から資金を調達したい」。そう考えたとき、多くの経営者が「ピッチ資料」や「事業計画書」の作成に取り組みます。しかし、この二つの書類の違いを正確に理解し、目的に応じて使い分けているケースは意外と少ないかもしれません。

ピッチ資料と事業計画書は、似ているようでいて、その役割と目的は全く異なります。例えるなら、ピッチ資料が「映画の予告編」だとすれば、事業計画書は「映画の脚本そのもの」です。予告編で観客の興味を最大限に引きつけ、本編(脚本)を読んでもらうためのきっかけを作る。この流れを理解することが、投資家とのコミュニケーションを成功させる第一歩です。

この記事では、資金調達の重要なツールであるピッチ資料と事業計画書について、それぞれの役割、構成の違い、そして成果を最大化するための使い分け術を、初心者の方にも分かりやすく解説します。

ピッチ資料と事業計画書|役割と目的は「車の両輪」

まずは、二つの書類がそれぞれどのような役割を担うのか、その根本的な違いを見ていきましょう。どちらが優れているという話ではなく、目的が違うため、両方が必要になる場面が多くあります。

ピッチ資料は「興味を惹く」ための予告編

ピッチ資料(ピッチデックとも呼ばれます)の最大の目的は、短時間で聞き手の興味を惹きつけ、「もっと詳しく話を聞きたい」と思わせることです。

多くの投資家は、日々たくさんの事業提案に目を通しています。その中で、まず目に留めてもらうための「つかみ」の役割を果たすのがピッチ資料です。そのため、文章量は最小限に、図やグラフ、印象的なキーワードを多用し、視覚的に分かりやすく、情熱やビジョンが伝わるような構成が求められます。

事業計画書は「信頼を得る」ための設計図

一方、事業計画書は、事業の実現可能性や将来性を、客観的なデータと論理的な根拠に基づいて詳細に説明し、投資家に「この事業なら成功する」と信頼してもらうための書類です。

ピッチ資料で興味を持った投資家が、次に精査するのがこの事業計画書です。市場分析、競合の状況、具体的なアクションプラン、詳細な収支計画など、事業の「設計図」とも言える内容を網羅的に記述します。こちらは情熱だけでなく、冷静な分析と緻密な計画が求められます。そもそも事業計画書をどのように作れば良いか分からない方は、まず事業計画書の構成とは?資金調達を成功に導く書き方とチェックリストを参考にすると良いでしょう。

ピッチ資料と事業計画書の比較表

項目 ピッチ資料(Pitch Deck) 事業計画書(Business Plan)
主な目的 興味喚起、次の面談への誘導 精査、投資判断の裏付け
主な提出先 投資家(VC、エンジェル投資家など) 投資家、金融機関、M&Aの相手先など
形式 スライド形式(PowerPointなど) 文書形式(Word、PDFなど)
ボリューム 10〜20ページ程度 数十ページ以上になることも
表現方法 図やグラフ、ビジュアル中心で直感的 テキスト、詳細なデータ、数値中心で論理的
伝えること Why? (なぜやるのか、ビジョン) How? (どうやるのか、実現可能性)
見られる時間 短時間(5〜10分)での理解を想定 じっくり時間をかけて読み込んでもらう

構成・見せ方の決定的な違い

役割と目的が違うため、当然ながら構成や見せ方も大きく異なります。それぞれのポイントを見ていきましょう。

ピッチ資料:ストーリーとビジュアルで魅せる

ピッチ資料は、聞き手を引き込む「ストーリー」が命です。一般的には、以下のような構成で物語を語るように作成します。

  1. 表紙:会社名、ロゴ、キャッチコピー
  2. 課題:顧客が抱えるどんな「不満」や「課題」を解決するのか
  3. 解決策:その課題をどう解決するのか(自社の製品・サービス)
  4. 市場規模:そのビジネスがどれだけ大きな可能性があるのか
  5. プロダクト:製品・サービスのデモや特徴
  6. ビジネスモデル:どのように収益を上げるのか
  7. 競合優位性:なぜ他社ではなく自社が勝てるのか
  8. 経営チーム:どんなメンバーで実現するのか
  9. 財務計画:売上予測や必要な資金額(概要レベル)
  10. 資金使途:調達した資金を何に使うのか

重要なのは、各スライドを1メッセージに絞り、情報を詰め込みすぎないことです。投資家が「なぜ?」を深く知りたくなった時、その答えは事業計画書にあります。より魅力的な資料を作るには、投資家が『読みたくなる』事業計画書の作り方|プレゼンにも効く実践テクニックが参考になるでしょう。

事業計画書:データとロジックで説得する

事業計画書は、ピッチ資料で示したストーリーの「裏付け」となる詳細なデータとロジックを示す場です。より緻密で網羅的な情報が求められます。

  • エグゼクティブサマリー:事業全体の要約
  • 会社概要:ビジョン、ミッション、沿革など
  • 経営陣:役員の詳細な経歴や役割
  • 事業内容:製品・サービスの詳細な仕様、開発計画
  • 市場分析:市場規模の算出根拠、成長性、顧客セグメントの詳細分析
  • 競合分析:競合他社の強み・弱み、自社の差別化要因の詳細
  • マーケティング・販売戦略:具体的な販売チャネル、プロモーション計画
  • オペレーション計画:生産体制、仕入先、人員計画
  • 財務計画:過去の財務諸表(あれば)、今後3〜5年間の詳細な損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の計画と、その算出根拠

投資家へのアプローチ|ピッチと事業計画書を使い分ける実践テクニック

二つの書類を効果的に使い分けることで、投資家とのコミュニケーションは格段にスムーズになります。基本的な流れは「ピッチが先、事業計画書が後」です。

ステップ1:まずは「ピッチ」で心を掴む

最初の接点では、必ずピッチ資料を使います。エレベーターピッチ(数十秒で説明する機会)や、投資家との短い面談などで、まずは事業の面白さや将来性を伝え、興味を持ってもらうことに全力を注ぎます。

ここで長々と事業計画書の説明を始めても、相手は退屈してしまいます。大切なのは「この経営者の話は面白い、もっと聞いてみたい」と思わせることです。

ステップ2:関心を持った投資家に「事業計画書」を渡す

ピッチが成功し、投資家が強い関心を示したら、次のステップとして事業計画書を提出します。これは、投資家が本格的な検討(デューデリジェンス)に入るための材料となります。

ピッチで抱いた期待感を、事業計画書の詳細なデータとロジックで「確信」に変えることができれば、資金調達の成功は目前です。

併用する際の注意点

ピッチ資料と事業計画書を併用する上で、最も重要なのは「一貫性」です。ピッチ資料で語ったビジョンや市場規模と、事業計画書に記載されているデータに矛盾があってはなりません。矛盾が見つかると、信頼性を大きく損ないます。両方の資料は、必ず連動させて作成しましょう。プレゼンテーションの準備も重要になるため、事業計画書をもとにしたプレゼン資料の作り方|投資家・銀行への効果的な伝え方も一読しておくと良いでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. 両方とも必ず作らないといけませんか?

A. 投資家からの出資(エクイティファイナンス)を目指すのであれば、両方作成するのが一般的です。ピッチ資料で興味を引き、事業計画書で信頼を得るというステップが、投資家との標準的なコミュニケーションだからです。どちらか片方だけでは、機会を逃す可能性が高くなります。

Q2. 金融機関への融資申請でもピッチ資料は必要ですか?

A. 金融機関からの融資(デットファイナンス)が目的の場合、最重要視されるのは返済能力を示す「事業計画書」です。ピッチ資料は必須ではありません。ただし、事業内容を分かりやすく補足説明する資料として、事業計画書の冒頭に概要版のスライドを数枚添付するのは有効な場合があります。金融機関向けのポイントは金融機関が見ているポイントは?事業計画書で融資審査を突破するコツで詳しく解説されています。

Q3. どちらを先に作るべきですか?

A. まずは事業の骨格となる「事業計画書」の構想を練り、主要な項目(市場、競合、収支計画の概算など)を固めることから始めるのがおすすめです。その上で、計画書のエッセンスを抽出し、魅力的なストーリーに仕立て上げたものが「ピッチ資料」となります。土台となる計画がしっかりしていなければ、説得力のあるピッチは作れません。

専門家の活用も一つの選択肢

ここまで見てきたように、ピッチ資料と事業計画書の作成には、それぞれ異なるスキルと多くの時間が必要です。特に、客観的なデータに基づいた精緻な事業計画書の作成は、専門的な知識がなければ難しい部分もあります。

自社だけで対応するのが難しいと感じた場合は、外部の専門家の力を借りるのも有効な選択肢です。M&Aや資金調達を支援するコンサルティング会社の中には、バルクアップコンサルテイング株式会社のように、投資家と金融機関、両方の視点を踏まえた事業計画書作成を支援している企業もあります。同社は年間260社という豊富な事業計画書作成実績を持ち、特に中小ベンチャー企業の資金調達に関するノウハウが蓄積されているようです。専門家は、投資家がどのポイントを重視するかを熟知しているため、より効果的な資料作成が期待できます。

まとめ:目的を意識して、最強のツールを使いこなそう

ピッチ資料と事業計画書は、資金調達における「車の両輪」です。

  • ピッチ資料は、投資家の「心」を動かし、興味を惹きつけるための「予告編」
  • 事業計画書は、投資家の「頭」を納得させ、信頼を勝ち取るための「設計図」

この二つの役割を正しく理解し、適切なタイミングで使い分けることが、資金調達を成功に導く鍵となります。この記事が、あなたの事業の魅力を最大限に伝え、力強い支援者を獲得するための一助となれば幸いです。

自社の状況に合わせて最適な資料を作成し、自信を持って投資家にアプローチしましょう。より詳しいサービス内容に興味がある方は、専門企業のウェブサイトで情報を確認してみるのも良いでしょう。

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代表プロフィール画像

執筆者:佐藤宏樹(BulkUp Group, CEO)

バルクアップグループ3社の経営を担う、バルクアップコンサルティング株式会社 代表取締役社長。京都大学MBA。2013年に日本公認会計士試験および米国公認会計士試験(USCPA)に合格。三菱UFJ銀行にて法人営業を経験した後、PwCの事業再生アドバイザリーチームにて不採算事業の再建・資金繰り改善支援に従事。その後、独立。現在は事業計画書作成支援・資金調達アドバイス・小規模M&AのFA・DD業務などを手掛け、財務・法務・ITを横断したハンズオン支援を提供している。25以上の金融機関と連携。

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