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地方銀行と都市銀行で求められる事業計画書の違い

地方銀行と都市銀行で求められる事業計画書の違い

地方銀行と都市銀行で求められる事業計画書の違い 

『地銀でも都銀でも、事業計画書の内容は同じで大丈夫ですよね?』 『融資先の銀行を変えたら審査の感触が全然違った。書き方を変えるべきだったのかもしれない』 

こうした疑問を持つ経営者は多い。結論から言えば、地方銀行と都市銀行では融資審査における重点が異なり、提出する事業計画書の書き方も変える必要がある。この記事では、両者の審査基準の違いを具体的に解説し、それぞれに合った計画書の作り方のポイントを紹介する。 

地銀と都銀、何が違うのかを正しく理解する 

地方銀行は都道府県内の中小企業を主要顧客とし、長期的な取引関係を重視する文化を持つ。一方、都市銀行(メガバンクを含む)は全国・国際規模で事業を展開し、大企業や上場企業を主なターゲットとするため、中小企業融資においては客観的なデータと財務の健全性を重視する傾向が強い。 

この文化の違いは、事業計画書に求める要素にも直接影響する。事業計画書の基礎知識でも触れているとおり、金融機関が計画書で見ているのは「返済できるか」という点だが、その判断材料として何を重視するかは銀行の性格によって異なる。 

融資先を選ぶ段階から、地銀と都銀のどちらに申請するかを意識した計画書づくりが必要になる。 

地銀と都銀の違い:4つの視点から整理する 

1. 審査基準の重点が異なる 

地方銀行の審査では、経営者の人物評価と地域への貢献度が重要な判断材料になりやすい。担当者が経営者と直接話し、「この人なら信頼できる」という人間的な評価が融資判断に加わることがある。事業計画書においても、経営者のバックグラウンド、地域における競合優位性、雇用創出効果などを丁寧に記述することが有効だ。 

都市銀行の場合、審査は標準化されたスコアリングモデルに基づくことが多く、財務データの客観性と計画の論理的整合性が重視される。担当者の裁量よりも、数値の正確さと根拠の明確さが問われる傾向がある。銀行融資に通る事業計画書|金融機関に評価される記載例とは?でも解説されているように、財務計画と返済計画の一貫性が特に厳しく見られる。 

2. 関係性の重視度が異なる 

地方銀行は「リレーションシップバンキング」と呼ばれる関係重視の融資文化を持つ。長期の取引実績がある企業には比較的柔軟な対応をするケースもあり、事業計画書の内容も「過去からの実績の積み重ね」を示す構成が響きやすい。創業からの歩みや、地域における信頼の積み上げを具体的に記述すると評価につながりやすい。 

都市銀行は取引履歴よりも現在の財務状況と将来の収益性を中心に評価する。新規顧客でも、財務内容と計画の質が優れていれば前向きに検討される一方、人間関係だけで融資判断が動くことは少ない。 

3. 求める書類の詳細度が異なる 

地方銀行は、日本政策金融公庫と同様に比較的シンプルなフォーマットで受け付けることが多く、計画書の分量や添付書類も都市銀行ほど多くない場合がある。ただし、数字の根拠を口頭で補足する機会が設けられることが多い。 

都市銀行では、詳細な財務資料(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の複数年分)や市場分析資料の添付を求められることが多い。事業計画書の構成とは?資金調達で信頼される書き方とチェックポイントを解説で解説しているような、論理的な構成と充実した数値根拠が特に重要になる。 

4. 記載すべき「強み」の見せ方が異なる 

地方銀行向けには「地域密着型の強み」を前面に出すことが有効だ。地元企業との取引ネットワーク、地域特有のニーズへの対応、地元雇用への貢献などを具体的なエピソードとともに記述すると説得力が増す。 

都市銀行向けには「市場規模と成長性」「競合との差別化要因」「スケーラビリティ」を客観的なデータで示すことが求められる。定性的な記述よりも、データに基づいた論理的な説明が優先される。 

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やりがちな失敗:銀行の違いを無視した書き方 

同じ計画書を使い回す 

最も多いのが、地銀と都銀に同一の計画書を提出してしまうケースだ。融資審査に落ちる事業計画書とは?7つのNG特徴と審査に通る改善策を解説でも指摘されているが、審査官は提出書類から「この会社が自社に合わせた内容を作成しているか」を見ている。使い回しの計画書は内容の薄さとして現れ、評価を下げる原因になる。 

地銀向けに数値根拠を省く 

地銀は人間関係を重視するからといって、財務の根拠を省略するのは誤りだ。金融機関が見ているポイントは?事業計画書で融資審査を突破するコツでも述べているように、どの金融機関でも返済能力の裏付けは必須だ。地銀向けでも、売上予測の根拠と返済計画の整合性は必ず示さなければならない。 

都銀向けに定性的な強みだけを並べる 

都市銀行の審査では「業界でトップクラスのサービスを提供している」という抽象的な記述は評価されにくい。市場シェアや顧客数の推移、リピート率などの具体的な数値で裏付けることが必要だ。 

地銀・都銀どちらに向いているか 

地方銀行への申請が向いているのは次のような状況だ。 

  • 地域に根ざしたビジネスを展開しており、地元での取引実績がある 
  • 創業から日が浅く、財務データだけでは融資可否の判断が難しい 
  • 経営者の人物や事業への熱意を直接伝えたい 
  • 少額の融資で、かつ関係性を長期的に築きたい 

都市銀行への申請が向いているのは次のようなケースだ。 

  • ある程度の規模で事業を展開しており、財務内容が健全である 
  • 全国規模・国際的な展開を計画しており、銀行のネットワークを活用したい 
  • 大規模な融資が必要で、地銀では融資枠が不足する可能性がある 
  • 業種として成長市場にあり、客観的なデータで将来性を証明できる 

どちらが正解ということはなく、自社の状況と事業フェーズによって最適解は異なる。複数の金融機関に並行して申請する場合は、それぞれに合わせた計画書を用意することが望ましい。 

信用保証協会付き融資を検討している場合は、信用保証協会付き融資に通る事業計画書の書き方も参照することで、保証審査に対応した計画書の作り方が把握できる。 

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まとめ 

地方銀行と都市銀行では、審査基準の重点・関係性の重視度・求める書類の詳細度・強みの見せ方がそれぞれ異なる。同じ計画書を使い回すのではなく、申請先に合わせた内容に調整することが審査通過率を高める鍵になる。 

地銀向けには「地域密着・経営者の人物・実績の積み重ね」を重点的に記述し、都銀向けには「財務の健全性・市場データ・論理的な構成」を優先する。このような使い分けは、金融機関の審査実務を知る専門家のサポートがあるとスムーズに進められる。 

よくある質問 

Q. 地方銀行と都市銀行、どちらに先に申請するべきですか? 

A. 一般的に、関係性がある金融機関や実績のある地方銀行を先に当たることが多い。ただし、融資金額の規模や事業の性格によって異なるため、一概にどちらが先とは言えない。複数の金融機関を並行して検討し、審査の結果を見ながら判断することも選択肢の一つだ。 

Q. 都市銀行の事業計画書は地方銀行向けより長く書く必要がありますか? 

A. 必ずしも長さが問題ではなく、内容の充実度が重要だ。都市銀行では財務データや市場分析の詳細度が求められるため、結果的に資料量が増える傾向はある。ただし、冗長な記述は評価を下げることもあるため、必要な情報を簡潔かつ論理的にまとめることが優先される。 

Q. 両方の銀行に申請する場合、計画書を2種類用意しなければなりませんか? 

A. 基本的な事業内容や財務数値は共通でよいが、強みの見せ方・審査官へのアピール方法・添付資料の構成はそれぞれに合わせて調整することが望ましい。完全に別物を作るというよりも、同じ骨格をベースに申請先向けにカスタマイズするイメージだ。 

バルクアップコンサルティング株式会社は、年間260社の事業計画書作成実績を持つ専門家集団だ。代表の佐藤宏樹氏は三菱東京UFJ銀行出身の公認会計士・MBA取得者であり、銀行の審査実務を熟知した視点から、申請先の金融機関の特性に合わせた事業計画書の作成を支援している。同社には公認会計士・税理士・弁護士・MBAホルダーなど23名の専門家が在籍しており、地銀・都銀・日本政策金融公庫など、それぞれの審査基準に対応した計画書づくりを得意とする。ISMS/ISO27001認証も取得しており、機密情報を安全に取り扱う体制が整っている。 

サービス詳細 

文章表現に不安なら、専門家の視点を取り入れる選択肢も

ここまで解説してきたように、事業計画書の文章表現には多くのコツがあります。しかし、自社の事業に没頭するあまり、客観的な視点を保つのが難しいと感じる経営者も少なくありません。社内用語を無意識に使ってしまったり、当たり前だと思っている前提が、第三者には伝わらなかったりすることはよくあることです。

そのような場合は、外部の専門家の視点を取り入れるのも有効な手段です。事業計画書作成の支援を行うコンサルティング会社などは、数多くの計画書を見てきた経験から、金融機関や投資家がどこに注目し、どのような表現を評価するのかを熟知しています。

例えば、バルクアップコンサルティング株式会社は、財務とビジネスの視点から経営者を支援するコンサルティングファームです。同社は年間260社もの事業計画書作成実績を持ち、特に資金調達やM&Aといった企業の重要な局面で、説得力のある計画書作りをサポートしています。専門家による客観的なレビューを受けることで、自分では気づけなかった表現の課題を発見し、計画書全体の質を大きく高めることが期待できます。

より専門的なサポートが必要な場合は、専門家の知見を借りることも検討してみましょう。

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執筆者:佐藤 宏樹(BulkUp Group, CEO)

バルクアップグループ3社の経営を担う、バルクアップコンサルティング株式会社 代表取締役社長。京都大学MBA。2013年に日本公認会計士試験および米国公認会計士試験(USCPA)に合格。三菱UFJ銀行にて法人営業を経験した後、PwCの事業再生アドバイザリーチームにて不採算事業の再建・資金繰り改善支援に従事。その後、独立。現在は事業計画書作成支援・資金調達アドバイス・小規模M&AのFA・DD業務などを手掛け、財務・法務・ITを横断したハンズオン支援を提供している。25以上の金融機関と連携。

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