この記事はこんな方におすすめ
- 売上はあるはずなのに、なぜか手元にお金が残らず悩んでいる経営者の方
- 金融機関に追加融資や返済条件の変更(リスケ)を相談したいが、どう説明すれば良いか分からない方
- 会社のキャッシュフローを根本から見直し、安定した経営基盤を築きたいと考えている方
- 資金繰り改善のための具体的な事業計画書の作成方法を知りたい方
サマリー動画(約90秒)
約90秒の動画でこの記事のポイントを解説します。
会社の血液「キャッシュ」が足りない!資金繰り悪化のサインとは
「月末の支払いが迫っているのに、入金が間に合わない…」
「黒字のはずなのに、なぜか手元の現金はいつもカツカツだ…」
多くの中小企業の経営者が、このような資金繰りの悩みを抱えています。資金繰りの悪化は、時に事業の継続を脅かす「静かなる危機」です。たとえ損益計算書上では黒字であっても、手元の現金(キャッシュ)が尽きてしまえば、仕入れ代金や給与の支払いができず、黒字倒産に陥るリスクさえあります。
しかし、資金繰りの問題は、その原因を正しく突き止め、具体的な対策を立てることで必ず改善できます。そのための設計図となるのが「資金繰り改善計画書」です。
この記事では、なぜ資金繰りが悪化するのか、その原因の突き止め方から、金融機関も納得する具体的な改善計画の立て方、そして事業計画書への落とし込み方までを、初心者の方にも分かりやすく解説します。まずは自社の現状を客観的に把握し、キャッシュフロー再建への第一歩を踏み出しましょう。計画全体の基本を知りたい方は、事業計画書の構成とは?資金調達を成功に導く書き方とチェックリストも併せてご覧ください。
なぜ現金が足りない?資金繰り悪化の3つのタイプ
資金繰りが悪化する原因は、一つではありません。まずは自社がどのタイプに当てはまるのかを冷静に分析することが重要です。大きく分けると、以下の3つのタイプに分類できます。
| 悪化タイプ | 特徴 | 見るべき書類 |
|---|---|---|
| ① 本業赤字タイプ | 売上がコストを下回っており、事業活動そのもので現金が減っている状態。 | 損益計算書(PL) |
| ② 黒字倒産予備軍タイプ | 利益は出ているが、売掛金の回収が遅かったり、在庫が多かったりして現金化に時間がかかっている状態。 | 貸借対照表(BS) |
| ③ 財務活動圧迫タイプ | 多額の借入金返済や過大な設備投資など、事業活動以外での現金の流出が大きい状態。 | キャッシュフロー計算書(CF) |
① 本業赤字タイプ
これは最も分かりやすいケースで、売上の減少、原材料費の高騰、経費の増大など、損益計算書(PL)を見れば赤字になっている状態です。この場合、売上向上策やコスト削減策が改善の柱となります。
② 黒字倒産予備軍タイプ
損益計算書上は黒字でも、手元に現金がないのがこのタイプです。例えば、商品を掛け売り(後払い)で販売すると、売上は計上されますが、実際に入金されるのは数ヶ月後ということがあります。その間にも仕入れ代金や人件費の支払いは発生するため、現金が不足します。
- 売掛金の増加: 回収までの期間が長い、回収が滞っている
- 在庫の増加: 売れない在庫(不良在庫)を抱えている
これらの項目は貸借対照表(BS)で確認できます。このタイプの改善には、後述する運転資金の管理が鍵となります。
③ 財務活動圧迫タイプ
過去の大きな設備投資のために多額の借入金を抱え、毎月の返済が資金繰りを圧迫しているケースです。キャッシュフロー計算書(CF)を見ると、営業キャッシュフローはプラスでも、財務キャッシュフローのマイナスが大きく、結果的に全体の現金が減っていることが分かります。この場合、金融機関との交渉による返済条件の見直し(リスケジュール)も視野に入れる必要があります。
まずは、財務3表とは?PL・BS・CFの基礎と事業計画書への活かし方をわかりやすく解説を参考に、自社がどのタイプに当てはまるかを確認してみましょう。
実現可能な改善計画の立て方|具体的なアクションプラン
原因を特定できたら、次はいよいよ具体的な改善計画を立てていきます。計画書には、精神論ではなく「誰が、いつまでに、何をするか」を明確に記載することが重要です。
運転資金を管理する
運転資金とは、会社が事業を回していくために一時的に必要となる資金のことで、簡単な計算式で表せます。
運転資金 = 売掛金 + 在庫 – 買掛金
この運転資金が大きくなるほど、手元に確保しておくべき現金は多くなります。つまり、資金繰りを改善するには、この運転資金をできるだけ小さくすることが有効です。
在庫を減らす
- 定期的に棚卸しを行い、不良在庫を把握する
- 需要予測の精度を上げ、過剰な仕入れを避ける
- 不要な在庫は、セールなどで現金化する
売掛金を早く回収する
- 請求書の発行を迅速に行う
- 入金サイト(回収期間)の短い取引条件を交渉する
- 回収が遅れている取引先には、早期に督促する
支払サイト・回収条件を見直す
お金が入ってくるタイミングを早め、出ていくタイミングを遅らせることで、手元の現金を厚くすることができます。
回収条件の見直し(入金を早くする)
- 新規取引先には、できるだけ短い入金サイトを提案する
- 既存取引先にも、関係性を考慮しながらサイト短縮を交渉する
- 一部前金をもらう、手形取引をやめるなどの交渉も有効です
支払条件の見直し(支払いを遅くする)
- 仕入先に対し、支払サイトの延長を交渉する
- 複数の仕入先がある場合、より条件の良い先にまとめることも検討する
もちろん、これらの交渉は取引先との信頼関係があってこそ成り立つものです。自社の都合だけを押し付けるのではなく、誠実な対話を心がけましょう。こうした地道な改善策を積み重ね、具体的な数値目標を設定することが、事業計画書における「実現可能性」の示し方|根拠ある数字の作り方とはにつながります。
金融機関への伝え方|応援してもらえる計画書とは
作成した資金繰り改善計画書は、金融機関に追加融資やリスケジュールを相談する際の非常に重要な資料となります。金融機関は「この会社を支援すれば、本当に立て直せるのか?」という視点で計画書を厳しくチェックします。
以下の4つのポイントを盛り込み、論理的で説得力のある説明を心がけましょう。
-
客観的な現状分析と原因
「なぜ資金繰りが悪化したのか」を感情論ではなく、データに基づいて説明します。「売上が急に落ちたから」ではなく、「主要取引先A社の受注が前期比30%減少し、売掛金の回収も1ヶ月遅延したことが原因」のように具体的に伝えます。
-
具体的で実現可能な改善策
「コスト削減を頑張ります」ではなく、「役員報酬を1年間20%カットする」「遊休資産である機械Bを売却し、50万円の現金を得る」など、誰が見ても分かる具体的な行動計画を示します。
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数値に基づいた将来予測(資金繰り表)
改善策を実行した結果、将来のキャッシュフローがどのように改善していくのかを「資金繰り表」で示します。最低でも1年分、できれば3年分ほどの月次計画があると、将来の見通しが伝わりやすくなります。
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計画の進捗を確認する仕組み(モニタリング)
「計画は立てたものの、実行できなければ意味がない」と金融機関は考えます。「毎月の経営会議で計画と実績の差を分析し、翌月の行動に反映させる」といった、PDCAサイクルを回す仕組みを伝えることで、計画実行への本気度を示すことができます。
金融機関が知りたいのは、過去の言い訳ではなく、未来に向けた具体的なアクションと、それをやり遂げるという経営者の強い意志です。誠実な姿勢で対話に臨むことが、信頼関係を築く上で不可欠です。より詳しいポイントについては、金融機関が見ているポイントは?事業計画書で融資審査を突破するコツの記事も参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
Q1: 赤字決算が続いていますが、融資やリスケは可能ですか?
A: 可能性はゼロではありません。赤字の理由が一時的なもの(例:大型投資、災害など)であり、今後の事業計画で黒字化への明確な道筋と実現可能性を示せれば、金融機関も検討の余地があります。重要なのは、赤字という事実そのものよりも、その原因分析と将来に向けた具体的な改善策です。
Q2: 資金繰り表は、どのくらいの期間で作成すればよいですか?
A: 金融機関に提出する場合、最低でも今後1年間の月次資金繰り表は必須です。可能であれば、それを基にした3ヶ年程度の計画も用意すると、中長期的な視点を持っていることをアピールでき、より説得力が増します。まずは過去の実績を基に「実績資金繰り表」を作成し、そこから将来の予測を立てていきましょう。
Q3: 専門家に相談するメリットは何ですか?
A: 経営者は自社のことをよく知っている反面、客観的な視点を持ちにくいことがあります。専門家は第三者の目で冷静に財務状況を分析し、社内では気づかなかった問題点や改善策を指摘してくれます。また、金融機関がどのような点を重視するかを熟知しているため、交渉を有利に進めるための事業計画書作成や説明のノウハウを提供してくれる点も大きなメリットです。
専門家への相談という選択肢
自社だけで資金繰りの改善計画を立て、金融機関と交渉することに不安を感じる場合は、外部の専門家の力を借りるのも有効な選択肢です。特に、資金調達やM&Aを専門とするコンサルタントは、財務分析と事業計画書作成のプロフェッショナルです。
世の中には多くのコンサルティング会社が存在しますが、例えばバルクアップコンサルティング株式会社のような企業は、中小ベンチャー企業の支援に特化している点が特徴です。同社は年間260社という豊富な事業計画書作成実績を誇り、財務とビジネス、さらには法務やテクノロジーといった多角的な視点から、経営者の課題解決をサポートしています。このように、企業の状況に合わせて最適なサポートを提供してくれる専門家を探すことも、危機を乗り越えるための一つの方法と言えるでしょう。
まとめ:計画的な資金繰り改善で、強い会社へ
資金繰りの改善は、単なる一時しのぎの延命策ではありません。自社の経営体制や収益構造、業務プロセスを根本から見直し、より筋肉質で強い会社へと生まれ変わるための絶好の機会です。
そのためには、まず自社の現状をデータで正確に把握すること。そして、実現可能な改善策を盛り込んだ事業計画書を作成し、関係者と共有しながら着実に実行していくことが何よりも重要です。
資金繰りの悩みは、経営者にとって大きなストレスですが、一人で抱え込む必要はありません。この記事で紹介したステップを参考に、まずは改善計画の骨子を作成してみてください。必要であれば、信頼できる専門家にも相談しながら、キャッシュフローが安定した健全な経営を目指しましょう。
会社の未来を描く設計図の作成に関心のある方は、以下のリンクから専門家によるサポートサービスの詳細を確認してみるのも良いでしょう。
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執筆者:佐藤 宏樹(BulkUp Group, CEO)
バルクアップグループ3社の経営を担う、バルクアップコンサルティング株式会社 代表取締役社長。京都大学MBA。2013年に日本公認会計士試験および米国公認会計士試験(USCPA)に合格。三菱UFJ銀行にて法人営業を経験した後、PwCの事業再生アドバイザリーチームにて不採算事業の再建・資金繰り改善支援に従事。その後、独立。現在は事業計画書作成支援・資金調達アドバイス・小規模M&AのFA・DD業務などを手掛け、財務・法務・ITを横断したハンズオン支援を提供している。25以上の金融機関と連携。

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