この記事はこんな方におすすめ
- 事業再構築補助金に初めて挑戦する中小企業の経営者の方
- 事業計画書の作成に苦手意識があり、何から手をつけて良いかわからない方
- 審査で評価されるポイントを知り、採択の可能性を少しでも高めたい方
- 専門家に頼むべきか迷っており、まずは自分で書き方の基本を学びたい方
動画サマリー(約90秒で解説)
新たな挑戦を後押しする事業再構築補助金。しかし、その鍵は「事業計画書」にあり
新型コロナウイルス感染症の影響の長期化や、物価高騰など、中小企業を取り巻く経営環境は厳しさを増しています。こうした状況を乗り越え、新たな成長軌道に乗るために、多くの経営者が事業の転換や新しい分野への進出、すなわち「事業再構築」を検討しているのではないでしょうか。
国も、こうした企業の新たな挑戦を強力に後押しするため、「事業再構築補助金」という制度を設けています。これは、思い切った事業再構築に取り組む中小企業等に対し、その設備投資費用などを補助するもので、企業の未来を切り開く大きなチャンスとなり得ます。
しかし、この補助金を受け取るためには、審査を通過しなければなりません。そして、その審査の根幹をなすのが「事業計画書」です。どんなに素晴らしいアイデアがあっても、その内容が審査員に伝わり、説得力を持つものでなければ採択には至りません。「計画書の書き方がわからない」「自社の強みをどうアピールすればいいのか」といった悩みは、多くの経営者に共通する課題といえるでしょう。
この記事では、事業再構築補助金の採択を目指す中小企業の経営者に向けて、審査で評価される事業計画書の書き方や構成要素、よくある失敗例などを、第三者の視点からわかりやすく解説します。
事業再構築補助金とは?まずは制度を正しく理解しよう
事業計画書の作成に取り掛かる前に、まずは事業再構築補助金がどのような制度なのかを正確に理解しておくことが重要です。相手(審査員)が何を求めているかを知ることが、採択への第一歩となります。
制度の趣旨と主な要件
事業再構築補助金は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業・業種転換、事業再編、国内回帰又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することを目的としています。
申請するためには、いくつかの基本的な要件を満たす必要があります。代表的な要件は以下の通りです(公募回によって要件が変更される可能性があるため、必ず最新の公募要領をご確認ください)。
- 売上高減少要件:
2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること等。 - 事業再構築要件:
事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること。 - 認定経営革新等支援機関要件:
認定経営革新等支援機関と事業計画を策定すること。
審査で評価される「加点ポイント」とは?
審査では、事業計画の内容を点数化して採択・不採択が決定されます。より高い評価を得るためには、審査で加点となる項目を意識して計画書を作成することが有効です。以下に主な加点項目を挙げます。
| 加点項目の種類 | 内容例 |
|---|---|
| 成長性・収益性 | 付加価値額の年率平均が5%以上向上するなど、高い成長が見込まれるか。 |
| 市場への貢献度 | ポストコロナに対応した、持続可能なビジネスモデルか。 |
| イノベーション | デジタル技術の活用など、革新的な取り組みか。 |
| 政策的配慮 | 大規模な賃上げに取り組む、若手や女性の活躍を推進するなど。 |
これらの項目を自身の事業計画にどう盛り込めるかを検討し、積極的にアピールすることが採択の可能性を高めます。
採択される事業計画書に必須の構成要素
事業再構築補助金の事業計画書は、概ね以下の要素で構成されます。各項目で何を記述すべきか、ポイントを解説します。基本的な考え方は、一般的な資金調達で求められる内容と共通する部分も多く、事業計画書の構成とは?資金調達を成功に導く書き方とチェックリストを先に読んでおくと、より理解が深まるでしょう。
1. 補助事業の具体的取組内容
現在の企業の状況、事業再構築の必要性、そして具体的な取り組みについて記述します。
- 自社の強み・弱み:
客観的な分析(SWOT分析など)を通じて、自社の現状を明確に示します。 - 市場の機会・脅威:
外部環境の変化を捉え、なぜ今、事業再構築が必要なのかを論理的に説明します。 - 事業再構築の具体的内容:
「何を」「どのように」行うのかを、誰が読んでも理解できるように具体的に記述します。例えば、「飲食店の店舗営業」から「ECサイトでの冷凍食品販売」へ転換する場合、どのような商品を、どのターゲットに、どんな方法で販売するのかを詳細に記載します。
2. 将来の展望(事業化に向けた課題と解決策)
この事業がどのように市場で受け入れられ、成長していくのかという将来性を示します。
- ターゲット市場:
新たな商品・サービスの市場規模や、ターゲット顧客層を明確にします。 - 競合との差別化:
競合他社の動向を分析し、自社のサービスが持つ優位性や独自性をアピールします。 - 事業化までのスケジュール:
準備段階から事業開始、その後の事業拡大までの具体的なマイルストーン(目標達成までの重要な中間目標)とスケジュールを提示します。 - 課題とリスク、その解決策:
想定される課題やリスクを事前に洗い出し、それに対してどのように対処するのかを具体的に示すことで、計画の実現可能性が高いと評価されます。
3. 本事業で取得する主な資産
補助金で購入する予定の機械装置やシステムなどについて記載します。
- 資産の名称、分類、取得価格などを一覧で示します。
- なぜその資産が必要なのか、事業においてどのような役割を果たすのかを明確に説明することが重要です。
4. 収益計画(説得力のある数値計画)
事業の将来性を具体的な数字で示す、最も重要なパートの一つです。
- 売上計画: 「単価 × 販売数量」の根拠を明確に示します。例えば、ECサイトであれば「想定アクセス数 × 購入率」など、客観的なデータに基づいたロジックが必要です。
- 費用計画:
人件費、原材料費、広告宣伝費などを具体的に見積もります。 - 損益計画・資金繰り計画:
補助事業実施期間中とその後の収益見込みを具体的な数値で示し、事業がきちんと利益を生み、継続できることを証明します。
ここで重要なのは、絵に描いた餅で終わらない、説得力のある数値計画を立てることです。そのためには、事業計画書における「実現可能性」の示し方|根拠ある数字の作り方とはを参考に、客観的なデータに基づいた計画を策定することが不可欠です。
審査で評価が下がる!よくあるNG例と改善策
ここでは、多くの申請者が見落としがちな、事業計画書のNG例を3つ紹介します。自社の計画書がこれらに当てはまらないか、チェックしてみてください。
NG例1:事業の新規性や独自性が伝わらない
NG例: 「コロナ禍で売上が落ちたので、新たにECサイトを始めます」
改善策:
なぜECサイトなのか、既存事業の強みをどう活かすのか、他社とどう違うのかを具体的に記述します。「当社の持つ〇〇の技術と、既存顧客△△人へのアプローチを活かし、他社にはない□□という特徴を持つ商品をオンラインで提供することで、新たな顧客層を獲得します」のように、独自性と優位性を明確にしましょう。
NG例2:数値計画に具体性・客観的な根拠がない
NG例: 「3年後には売上が現在の3倍になる見込みです」
改善策:
希望的観測ではなく、具体的なアクションとデータに基づいた計画を示します。「市場調査データに基づき、ターゲット市場の規模は〇〇円と推定。Web広告とSNSマーケティングで初年度に△△人の見込み客を獲得し、そのうち□%が購入すると仮定。その結果、初年度の売上は××円を見込みます」のように、算出根拠を一つひとつ丁寧に説明することが重要です。
NG例3:事業遂行能力に疑問符がつく
NG例:
「新しい機械を導入し、新製品を開発します」(しかし、その機械を扱える人材や、開発経験のある人材が社内にいない)
改善策:
誰が、どのようにして事業を進めるのか、具体的な実施体制を示します。「この事業の責任者には、〇〇の経験が豊富なAを配置します。また、不足する技術については、外部の専門家B氏と連携し、技術指導を受ける体制を整えています」のように、社内外の資源を活用して事業を遂行できることをアピールします。
専門家の知見を活用するのも一つの手
ここまで見てきたように、事業再構築補助金の事業計画書作成は、非常に専門的な知識と多くの時間を要します。自社のリソースだけで質の高い計画書を作成するのが難しいと感じる場合もあるでしょう。
そのような場合、M&Aや資金調達を専門とするコンサルティング会社に相談するのも有効な選択肢の一つです。外部の専門家は、数多くの補助金申請を支援した経験から、審査で評価されるポイントや、説得力のあるデータの見せ方を熟知しています。
例えば、財務とビジネスの両面に強みを持つコンサルティングファームの中には、バルクアップコンサルティング株式会社のように、年間260社もの事業計画書作成を支援している企業もあります。こうした企業は、公認会計士や経営管理修士(MBA)といった専門家が在籍しており、客観的なデータに基づいた、実現可能性の高い収益計画の策定をサポートしています。専門家のサポートを受けることで、採択の可能性を高めるだけでなく、補助金採択後の事業運営まで見据えた、より実効性の高い計画を立てることにも繋がるでしょう。
FAQ(よくある質問)
Q1: 事業計画書は、自分で作成しないとダメですか?
A1:
いいえ、そんなことはありません。要件として「認定経営革新等支援機関と事業計画を策定すること」と定められており、専門家の支援を受けることが前提となっています。重要なのは、専門家に丸投げするのではなく、自社の事業として主体的に関わり、内容を深く理解した上で申請することです。
Q2: 計画書の作成にはどれくらい時間がかかりますか?
A2:
事業の規模や内容によりますが、一般的には1か月から3か月程度かかることが多いです。市場調査や数値計画の策定に時間がかかるため、公募の締切から逆算して、余裕を持ったスケジュールで取り組むことをお勧めします。
Q3: 他の補助金(例:小規模事業者持続化補助金)との違いは何ですか?
A3:
事業再構築補助金は、主に「新たな取り組み」への「大規模な投資」を支援するものです。一方、小規模事業者持続化補助金は、既存事業の「販路開拓」など、比較的規模の小さい取り組みが対象となります。補助額や対象経費も大きく異なります。他の補助金申請の経験がある方も、補助金・助成金を勝ち取る事業計画書の書き方【小規模事業者持続化補助金にも対応】などを参考に、制度ごとの違いを理解することが重要です。
Q4: 専門家に依頼するメリットは何ですか?
A4:
一番のメリットは、採択率を高められる点です。専門家は最新の審査傾向を把握しており、客観的な視点から事業計画をブラッシュアップしてくれます。また、申請にかかる時間や手間を大幅に削減できるため、経営者自身は本業に集中できるという利点もあります。
まとめ
事業再構築補助金は、厳しい経営環境にある中小企業にとって、未来を切り開くためのまたとない機会です。そして、そのチャンスを掴むための鍵は、説得力と具体性、そして熱意のこもった「事業計画書」にあります。
この記事で解説したポイントを参考に、自社の強みと将来性を審査員に力強くアピールする計画書を作成してください。自社だけでの作成に不安を感じる場合は、無理をせず、外部の専門家の力を借りることも賢明な判断です。信頼できるパートナーと共に、事業の再構築という大きな挑戦を成功へと導きましょう。
事業計画書の策定や補助金申請でお悩みの場合は、一度専門家に相談してみることをおすすめします。
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執筆者:佐藤 宏樹(BulkUp Group, CEO)
バルクアップグループ3社の経営を担う、バルクアップコンサルティング株式会社 代表取締役社長。京都大学MBA。2013年に日本公認会計士試験および米国公認会計士試験(USCPA)に合格。三菱UFJ銀行にて法人営業を経験した後、PwCの事業再生アドバイザリーチームにて不採算事業の再建・資金繰り改善支援に従事。その後、独立。現在は事業計画書作成支援・資金調達アドバイス・小規模M&AのFA・DD業務などを手掛け、財務・法務・ITを横断したハンズオン支援を提供している。25以上の金融機関と連携。

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