この記事はこんな方におすすめ
- Web制作やシステム開発など、外注パートナーへの依存度が高い事業を運営している経営者の方
- 「外注が多いと、銀行融資や投資家からの評価が下がるのでは?」と不安に感じている方
- 資金調達に向けて、外注モデルの強みを効果的にアピールする事業計画書の書き方を知りたい方
- 金融機関から事業の安定性や収益性について、厳しい質問をされないか心配な方
サマリー動画(約90秒)
約90秒の動画でこの記事のポイントを解説します。
導入:その「外注比率の高さ」、弱みではなく”強み”です
Web制作、システム開発、デザイン、コンサルティング。現代のビジネスにおいて、専門的なスキルを持つ外部パートナー(外注先)との連携は、事業をスピーディーに成長させるための有効な戦略です。しかし、いざ資金調達をしようとすると、「外注比率の高さ」が審査で不利に働くのではないか、という不安がよぎる経営者は少なくありません。
金融機関や投資家は、「社内にノウハウが蓄積されないのではないか?」「利益率が低いのではないか?」「特定の外注先に依存しすぎて、事業が不安定なのでは?」といった懸念を抱きがちです。
しかし、これらの懸念は、適切な説明と資料を用意することで払拭できます。それどころか、外注モデルが持つ「柔軟性」や「固定費の低さ」といったメリットを力強くアピールし、高く評価されることも可能です。
この記事では、外注比率が高いビジネスモデルで資金調達を成功させるために、金融機関や投資家を納得させる事業計画書の書き方を、具体的なポイントやNG例を交えながら徹底解説します。
なぜ外注比率が高いと資金調達で懸念されるのか?
まず、なぜ金融機関や投資家が「外注比率の高さ」に注目するのか、その視点を理解することが重要です。彼らは事業の将来性や返済能力を評価する上で、主に以下の4つのポイントを懸念しています。
1. 収益性の低さ
売上高が大きくても、その大部分が外注費として流出していては、手元に残る利益はわずかです。利益率が低いと、予期せぬトラブルが発生した際の対応力や、事業を再投資に回す体力が低いと判断される可能性があります。
2. 事業の不安定さ(継続性への懸念)
特定の外注先に業務の大部分を依存している場合、その外注先との契約が終了したり、相手が倒産したりすると、事業そのものが立ち行かなくなるリスクがあります。これは「事業の継続性」という観点から、大きな懸念材料となります。
3. ノウハウ・技術の非蓄積
業務を外部に委託し続けることで、自社内にスキルや技術、独自のノウハウが蓄積されないのではないか、という懸念です。会社としての無形の資産が育たず、長期的な競争力の源泉が弱いと見なされることがあります。
4. 管理体制の不透明さ
複数の外注先を抱える場合、「品質管理は徹底されているのか」「納期や情報漏洩のリスク管理は万全か」といった、マネジメント体制そのものが問われます。管理が行き届いていないと、サービスの質が低下したり、顧客とのトラブルに発展したりするリスクがあると評価されます。
これらの懸念点は、決して意地悪な指摘ではありません。事業の持続可能性を客観的に評価するための、合理的で重要なチェックポイントなのです。事業計画書では、これらの懸念点を先回りして解消する説明が求められます。
その常識は間違い?外注モデルの「弱み」を「強み」に変える視点
前述の懸念点は、見方を変えれば強力な「強み」としてアピールできます。「外注比率が高い=不利」という考えは、もはや時代遅れかもしれません。自社のビジネスモデルの優位性を、次のような視点で再定義してみましょう。
- 懸念:「利益率が低い」→
強み:「固定費を抑え、高い利益”額”と柔軟な財務体質を実現」
正社員を雇用する場合に発生する固定費(給与、社会保険料、福利厚生費など)を大幅に削減できます。これにより、損益分岐点が低くなり、市況の変動にも強い、筋肉質な財務体質であることをアピールできます。重要なのは利益「率」だけでなく、変動費型にすることで確保できる利益「額」と経営の安定性です。
- 懸念:「事業が不安定」→
強み:「多様な専門性を活用できる、強力なネットワーク力」
自社だけで全てを賄うのではなく、各分野で最も優れた専門家と連携することで、顧客に対してより高品質で幅広いサービスを提供できます。これは、変化の速い市場において、常に最適なソリューションを提供できる「適応力」の高さを示します。
- 懸念:「ノウハウが貯まらない」→
強み:「プロジェクト管理・ディレクション能力こそが、模倣困難なコアコンピタンス」
外注モデルにおける自社の本質的な価値は、個別の作業ではなく、「顧客の課題を正確に把握し、最適なチームを編成し、プロジェクト全体を成功に導く管理・調整能力」にあります。このディレクション能力こそが、他社には真似のできない中核的な強み(コアコンピタンス)であると主張しましょう。
このように、懸念点をポジティブな側面に転換して説明することで、金融機関や投資家の評価を大きく変えることができます。まずは、事業計画書の構成とは?資金調達を成功に導く書き方とチェックリストを参考に、全体の骨子を組み立てることから始めましょう。
金融機関を納得させる!評価される事業計画書の5つのポイント
それでは、具体的に事業計画書に何をどう書けば、外注モデルの強みを伝え、懸念を払拭できるのでしょうか。以下の5つのポイントを意識して作成を進めてください。
ポイント1:ビジネスモデルの全体像を「図」で示す
文章だけで説明するのではなく、自社と顧客、そして外注先との関係性が一目でわかるようなビジネスフロー図を作成しましょう。
- 自社の役割:
顧客開拓、要件定義、企画、プロジェクト管理、品質管理、納品、請求など
- 外注先の役割: 設計、開発、デザイン、ライティングなどの実作業
このように役割分担を明確にすることで、自社がバリューチェーンの中でどの部分を担い、どこで付加価値を生み出しているのかを視覚的に理解してもらえます。
ポイント2:「管理能力」こそが強み!具体的な体制を示す
「しっかり管理しています」という精神論だけでは不十分です。誰が見ても納得できる具体的な管理体制を明記しましょう。表形式でまとめると伝わりやすくなります。
外注パートナー管理体制の具体例
| 管理項目 | 具体的な管理方法 |
|---|---|
| 品質管理 | ・独自のチェックリストに基づく成果物レビュー ・担当者によるダブルチェック体制 ・顧客納品前の最終テストの徹底 |
| 進捗管理 | ・プロジェクト管理ツール(Asana, Trello等)の活用 ・週1回の定例オンラインミーティング ・日次での簡単な進捗報告 |
| 契約・法務 | ・全パートナーとの基本契約書・機密保持契約書(NDA)の締結 ・反社会的勢力でないことの表明・確約 |
| パートナー開拓 | ・独自のスキル基準に基づくパートナー選定 ・常に複数社(複数名)と連携できるネットワークの構築 ・定期的な情報交換会や勉強会の実施 |
ポイント3:収益構造を明確にし、「適正な利益」を証明する
案件ごとに、売上、外注費(原価)、そして自社の利益がいくらになるのかを明確に示しましょう。過去の実績をいくつか例示し、安定的に利益を確保できるビジネスモデルであることを証明します。損益計算書(PL)だけでなく、資金繰り表(CF)も重要です。財務3表とは?PL・BS・CFの基礎と事業計画書への活かし方をわかりやすく解説を理解し、説得力のある財務計画を作成しましょう。
ポイント4:考えられるリスクと、その対策を具体的に書く
金融機関が最も知りたいのは、「最悪の事態」にどう備えているかです。想定されるリスクと、それに対する具体的な対策を正直に記載することで、経営者のリスク管理能力の高さを示し、信頼を獲得できます。
- リスク例1: 特定の外注先への依存
- 対策:
常に同等レベルのスキルを持つ代替パートナーを2社以上確保している。主要な業務マニュアルを整備し、パートナー変更時もスムーズに引き継げる体制を構築している。
- 対策:
- リスク例2: 外注先からの情報漏洩
- 対策:
全てのパートナーと機密保持契約(NDA)を締結済み。顧客情報はアクセス制限をかけたクラウド上で管理し、必要な情報のみを共有している。
- 対策:
ポイント5:資金調達後の「内製化計画」で成長戦略を示す
「将来的には、事業のこの部分を内製化したい」という計画を示すことは、非常に有効なアピールになります。今回の資金調達が、事業をさらに安定させ、成長を加速させるための重要なステップであることを伝えましょう。
- 内製化計画の例:
- 「調達した資金で、プロジェクトマネージャーを1名採用し、管理体制を強化することで、より大規模な案件の受注を目指します」
- 「コアとなる技術の一部を内製化するための開発チームを組織し、利益率の向上と技術的優位性の確立を図ります」
金融機関が最終的に見ているのは、その計画の「もっともらしさ」です。詳しくは事業計画書における「実現可能性」の示し方|根拠ある数字の作り方とはでも解説していますが、絵に描いた餅で終わらない、地に足のついた計画こそが評価されます。
よくある質問(FAQ)
Q1. パートナーが法人ではなく、個人のフリーランスばかりでも評価されますか?
A. はい、評価されます。重要なのは相手が法人か個人かではなく、そのフリーランスが持つ専門性や実績、そして自社との安定した関係性です。契約書をきちんと交わし、管理体制が整っていれば問題ありません。むしろ、優秀なフリーランスとの強力なネットワークは、事業の柔軟性を示す強みとしてアピールできます。
Q2. 外注費の支払いが先行し、資金繰りが厳しいです。どう説明すれば良いですか?
A. これは「運転資金」の必要性を説明する絶好の機会です。売上が入金されるまでの期間(売掛金回収サイト)と、外注費を支払う期間(買掛金支払サイト)のズレを明確に示し、「事業が順調に拡大しているからこそ、一時的に資金が必要になる」という前向きな文脈で説明しましょう。資金繰り表(キャッシュフロー計算書)を用いて、必要な資金額とその根拠を具体的に示すことが不可欠です。
Q3. この記事のポイントは、どのような業種で特に有効ですか?
A. IT・Web業界(システム開発、Web制作、アプリ開発)、クリエイティブ業界(デザイン、映像制作、ライティング)、コンサルティング業界、人材紹介業、イベント企画・運営など、専門的なスキルをプロジェクト単位で活用する業種全般で非常に有効です。
Q4. 専門家に事業計画書の作成を依頼するメリットは何ですか?
A. 専門家は、金融機関や投資家がどのポイントを重視するかを熟知しています。自社の強みを客観的な視点から分析し、それを説得力のある言葉や数値に落とし込む手助けをしてくれます。特に、資金調達に強い事業計画書とは?金融機関・VCが重視するポイントで解説されているような、審査を通過するための勘所を押さえた書類作成が期待でき、資金調達の成功確率を高めることができます。
専門家の視点を加えるという選択肢
事業計画書の作成に不安を感じる、あるいは自社の強みをどう表現すれば良いか分からない場合、専門家の支援を受けるのも有効な選択肢の一つです。
例えば、バルクアップコンサルティング株式会社は、年間260社もの事業計画書作成を支援しているコンサルティングファームです。同社には公認会計士やMBA保有者といった財務とビジネスのプロフェッショナルが在籍しており、外注モデルのような一見すると説明が難しいビジネスの強みを的確に言語化し、金融機関が納得する説得力のある数値計画に落とし込む支援を行っています。こうした専門企業は、客観的な視点から事業の価値を分析し、資金調達を成功に導くための強力なパートナーとなり得ます。
まとめ:自信を持って、自社のビジネスモデルを語ろう
外注比率が高いビジネスモデルは、決して資金調達における弱点ではありません。むしろ、固定費を抑え、高い専門性を柔軟に活用できる、現代の市場環境に適した強力なビジネスモデルです。
成功の鍵は、その強みを金融機関や投資家に対して、客観的な事実と具体的な数字で、いかに分かりやすく伝えられるかにかかっています。
- ビジネスの全体像を図で示す
- 具体的な管理体制を明記する
- 収益構造とリスク対策を明確にする
- 将来の内製化計画で成長性を示す
これらのポイントを押さえた事業計画書を作成することで、懸念を払拭し、自信を持って自社の魅力を伝えることができるはずです。この記事が、あなたの会社の未来を切り拓く資金調達の一助となれば幸いです。もし、より専門的なサポートが必要だと感じた場合は、専門家への相談も検討してみてください。
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ご相談は弊社代表の佐藤が直接承ります。
執筆者:佐藤 宏樹(BulkUp Group, CEO)
バルクアップグループ3社の経営を担う、バルクアップコンサルティング株式会社 代表取締役社長。京都大学MBA。2013年に日本公認会計士試験および米国公認会計士試験(USCPA)に合格。三菱UFJ銀行にて法人営業を経験した後、PwCの事業再生アドバイザリーチームにて不採算事業の再建・資金繰り改善支援に従事。その後、独立。現在は事業計画書作成支援・資金調達アドバイス・小規模M&AのFA・DD業務などを手掛け、財務・法務・ITを横断したハンズオン支援を提供している。25以上の金融機関と連携。

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