ホーム 事業計画書 建設業の事業計画書の書き方|許可・経審・融資を見据えた数値計画の作り方
事業計画書 112 views

建設業の事業計画書の書き方|許可・経審・融資を見据えた数値計画の作り方

この記事はこんな方におすすめ

  • 建設業許可の新規取得・更新に向けて事業計画書を整える経営者
  • 経営事項審査(経審)のスコアアップと公共工事受注を目指す建設業者
  • 元請・下請の原価構造を踏まえた金融機関向け融資資料を作成したい建設会社

建設業の事業計画書が他業種と異なる3つの理由 

建設業の事業計画書は、汎用テンプレートをそのまま流用しても評価されません。許可・経審・元請下請という業種固有の前提があるためです。一般的な書式で提出すると、金融機関や許可行政庁から「業界理解が浅い」と判断されることがあります。 

建設業許可と事業計画書の関係 

500万円以上の工事を請け負うには建設業許可が必須です。新規取得・5年ごとの更新・業種追加のいずれの場面でも、財産的基礎や経営業務管理責任者の体制が問われます。事業計画書には、許可要件である自己資本500万円以上や常勤役員体制の維持計画を明記する必要があります。 

経審スコアと財務計画の連動 

公共工事入札に参加するには経営事項審査(経審)を受けます。経審スコアは事業計画書の数値計画と密接に連動します。自己資本比率・営業キャッシュフロー・完成工事高といった指標を、経審加点を意識した5年ロードマップで示すことが求められます。 

元請・下請で異なる原価構造の見せ方 

元請は材料費・外注費が膨らみ、下請は労務費比率が高くなります。同じ売上高でも粗利率の標準値が異なるため、金融機関に提出する原価構造は元請比率・下請比率を分けて見せる必要があります。 

建設業の事業計画書に必須の7項目と記入例 

建設業の事業計画書は、最低限7項目を業種特化の表現で記述します。汎用フォーマットを建設業向けに翻訳する作業が、計画書品質の起点です。 

項目 建設業特有の記載ポイント 
企業概要 建設業許可番号・許可業種・経審結果通知書の総合評定値(P点) 
経営理念 安全・品質・地域貢献を軸にした言語化 
事業内容 工事業種別の売上構成と主要工種 
市場環境 公共投資動向・民間建設投資・人手不足の業界トレンド 
受注計画 受注残・引合中・新規見込みの3層分解 
数値計画 完成工事高・完成工事原価・販管費・営業利益の5年計画 
資金計画 立替金・前受金・支払サイトを反映した月次資金繰り 

工事業種ごとの事業内容の書き方 

土木一式・建築一式・電気・管・内装仕上など、許可業種ごとに売上構成比と利益率を整理します。たとえば「建築一式60%・内装仕上25%・その他15%」と数字で示すことで、技術領域の集中と分散が一目で伝わります。 

受注先構成(元請比率・公共工事比率)の示し方 

元請比率と下請比率、官公需比率と民需比率の2軸で分解します。公共工事比率を高めたい場合は、経審加点と連動した5年計画として明示します。 

技術者・有資格者体制の記載 

主任技術者・監理技術者・1級2級施工管理技士の人数と配置計画を記述します。技術職員数は経審Z点の加点要素です。採用・育成計画を数値計画と整合させてください。 

事業計画書 代行・依頼の詳細はこちら 

経営事項審査(経審)スコアを見据えた数値計画の作り方 

経審スコアは総合評定値P点で表され、Y点(経営状況)・X点(経営規模)・Z点(技術力)・W点(社会性)の合成で算出されます。事業計画書の数値計画は、これら4要素を意識して設計します。 

評価軸 概要 計画書での反映ポイント 
Y点 経営状況分析(8指標) 自己資本比率・営業キャッシュフロー・売上高利益率の改善計画 
X1点 完成工事高 業種ごとの完成工事高目標 
X2点 自己資本額・平均利益額 利益剰余金の積み上げ計画 
Z点 技術力 有資格者の採用・育成計画 
W点 社会性等 建退共・社会保険加入・防災協定の整備 

Y点を伸ばす8指標と財務改善の方向性 

Y点は純支払利息比率・負債回転期間・売上高経常利益率・総資本売上総利益率・自己資本対固定資産比率・自己資本比率・営業キャッシュフロー・利益剰余金の8指標で構成されます。事業計画書には、各指標の現状値と3〜5年後の目標値を表で示すと説得力が高まります。 

X点に効く完成工事高の伸ばし方 

X1点は2年または3年平均の完成工事高で評価されます。一過性の大型工事だけに依存せず、中規模工事の積み上げで安定的に伸ばす計画が望まれます。 

W点の社会性加点を計画書に織り込む 

建設業退職金共済(建退共)加入・社会保険完備・若年技術者育成・防災活動への協力など、社会性加点の取り組みを計画書に明記します。経審スコアと社会的信用の両面で効果があります。 

経審スコアと数値計画の連動設計に不安がある場合は、事業計画書のPL(損益計画)の作り方 も参考にしてください。 

建設業特有の原価構造と粗利率の見せ方 

建設業の完成工事原価は、材料費・労務費・外注費・経費の4分類で管理します。一般製造業の原価計算とは管理単位が異なるため、金融機関向け資料でも建設業会計基準に沿った見せ方が必要です。 

完成工事原価4分類の管理単位 

  • 材料費: 主要資材・副資材 
  • 労務費: 自社直用工の人件費 
  • 外注費: 専門工事業者への委託費 
  • 経費: 現場経費・労務管理費・機械経費 

元請・下請別の標準粗利率レンジ 

区分 標準粗利率レンジ 主な要因 
元請(建築一式) 10〜15% 外注比率が高く粗利は薄い 
元請(土木一式) 12〜18% 材料・機械経費が中心 
下請(専門工事) 18〜25% 労務費中心で原価管理がしやすい 

金融機関は業界水準との比較で計画の妥当性を判断します。自社の粗利率が標準レンジから外れる場合は、その理由を計画書本文で説明してください。 

見積精度を裏付けるKPI設計 

実行予算対比差異率・追加変更工事率・原価超過工事件数などのKPIを設定し、見積精度の改善過程を計画書で示します。粗利率の根拠が「過去実績の平均値」だけでは弱いため、改善KPIをセットで提示することが重要です。 

受注予測と工事進行基準を踏まえた売上計画 

建設業の売上計画は、受注時期と売上計上時期が一致しません。受注パイプラインの管理と、工事進行基準による按分計上を同時に反映する必要があります。 

受注パイプライン3層管理 

  • 受注残(バックログ): 契約済み・未完成の工事 
  • 引合中案件: 見積提出済み・受注確度70%以上 
  • 新規見込み: 営業活動中・確度未確定 

3層を分けて月次で集計し、確度別の加重平均で売上見込みを算出します。バックログの厚さは、銀行融資の継続性判断にも直結します。 

工事進行基準と売上計上タイミング 

長期請負工事は工事進行基準で原価発生比率に応じた売上計上を行います。短期・小規模工事は完成工事基準で引渡時に一括計上します。同じ受注額でも、計上時期と利益認識のタイミングが大きく変わるため、計画書では基準別の集計を分けて記載します。 

資金繰り表(月次CF)への落とし込み 

建設業は前受金・出来高払い・引渡時清算など、入金タイミングが工程ごとに分かれます。労務費・材料費の支払サイトとのギャップを月次資金繰り表に反映します。資金繰り表が緻密であるほど、金融機関の評価は高まります。 

売上計画の3シナリオ設計については、事業計画書の売上予測|3シナリオで作る方法 も併せてご確認ください。 

建設業で活用できる融資・補助金と事業計画書の整合性 

建設業向けには、政府系金融機関・信用保証協会・自治体・補助金制度など複数の資金調達ルートが用意されています。各制度で重視される論点は異なるため、事業計画書はそれぞれの審査軸に整合させる必要があります。 

制度 主な特徴 計画書で重視される論点 
日本政策金融公庫 創業・設備・運転に幅広く対応 資金使途と返済原資の明確化 
信用保証協会付き融資 民間銀行融資の保証 返済原資・既存借入とのバランス 
地域建設業経営強化融資 公共工事の出来高に応じた融資 公共工事の受注実績・出来高証明 
ものづくり補助金 設備投資・生産性向上 革新性・付加価値額の向上計画 

日本政策金融公庫と建設業融資 

日本政策金融公庫は建設業向けに、創業融資・設備資金・運転資金を幅広く扱います。公庫融資の最新条件は日本政策金融公庫 公式サイトで確認してください。許可業種・経審スコア・元請下請構成を明確にした事業計画書が審査評価を高めます。 

保証協会付き融資で問われる返済原資 

保証協会は返済原資と既存借入の返済能力を厳しく見ます。営業キャッシュフローが安定的に確保できることを、5年計画で具体的に示す必要があります。保証協会付き融資向けの計画書設計は信用保証協会向け事業計画書の作り方 も参考になります。 

建設業で使える主な補助金と計画書の論点 

ものづくり補助金・事業再構築補助金・IT導入補助金など、建設業でも活用可能な制度があります。補助金は事業計画書の革新性・付加価値額向上率・地域貢献が評価軸になります。融資用とは別の論点設計が必要です。 

建設業の事業計画書代行を依頼する判断基準 

建設業の事業計画書は、許可・経審・融資・補助金という複数目的を同時に満たす必要があります。社内で完結させるのは現実的に困難な場面が増えています。事業計画書代行を活用すべきかを、以下の比較軸で判断してください。 

社内作成と事業計画書代行の比較 

項目 社内作成 事業計画書代行 
業界知識 自社の実務知識を反映可能 建設業会計・経審・融資の専門知識を活用 
作成時間 経営者・経理担当の工数が大きい 短期間で完成版を入手可能 
数値根拠 自社実績ベースで主観的になりがち 業界水準との比較で説得力を担保 
第三者視点 客観性に欠ける 金融機関目線でブラッシュアップ 

事業計画書を依頼する前に準備する資料 

  • 直近3期分の決算書・勘定科目内訳明細書 
  • 建設業許可通知書・経審結果通知書 
  • 工事台帳・受注残一覧 
  • 既存借入の返済予定表 

これらが揃っていれば、事業計画書代行のヒアリングと作成は短期間で進みます。 

費用対効果の判断軸 

事業計画書代行の費用は、融資調達額の数%程度を目安に判断します。経審スコア向上による公共工事受注増・融資金利の低減・補助金採択額の3点を合算すると、費用を上回る効果が出るケースが多くあります。 

建設業の事業計画書を依頼する(バルクアップへ) 

まとめ|建設業の事業計画書は許可・経審・融資の3点同時最適で作る 

建設業の事業計画書は、単なる融資資料ではありません。建設業許可の維持・経審スコアの向上・融資調達・補助金採択を同時に実現する経営ツールです。 

汎用テンプレートをそのまま使うと、業種特化の論点が抜け落ち、結果として融資・経審の評価が伸びません。完成工事原価4分類・受注パイプライン3層・工事進行基準・経審Y/X/Z/W点という建設業固有の論点を、すべての数値計画に反映させることが品質の決め手です。 

社内で3点同時最適を実現するのが難しい場合は、事業計画書の代行を検討してください。公認会計士・MBA監修のもとで、金融機関目線と経審目線を両立した計画書を短期間で整えられます。 

事業計画書 代行・依頼の詳細はこちら 

よくある質問(FAQ) 

Q1. 建設業の事業計画書はどの程度の期間(年数)で作るべきですか? 

経審の決算更新サイクルに合わせて、3〜5年の中期計画を基本とします。初年度は月次、2年目以降は四半期または半期で記載するのが標準です。公共工事比率を高めたい企業は、5年スパンの計画にすることでX点・Y点の改善ロードマップを明確に示せます。 

Q2. 個人事業主の建設業でも事業計画書は必要ですか? 

500万円以上の工事を請け負う建設業許可申請、日本政策金融公庫の融資申請を行う場合は個人事業主でも必須です。法人成りや経審受審を将来的に検討するなら、早い段階で事業計画書を作成しておくと、計数管理の習慣化と資金調達の両面で効果があります。 

Q3. 建設業の事業計画書テンプレートをそのまま使ってよいですか? 

汎用テンプレートは完成工事原価4分類・受注パイプライン・経審指標が反映されていません。そのまま提出すると、融資審査・経審で評価が伸びにくくなります。建設業特化の項目を追記するか、最初から建設業向けの様式で作成することをおすすめします。 

Q4. 経審スコアと事業計画書はどう連動させますか? 

Y点を構成する8指標を5年計画で改善する数値ロードマップを、計画書内に明示的に組み込みます。完成工事高(X1)と自己資本(X2)の目標値を年度別に示すと、計画書と経審が一体化します。経審アドバイザリーと併走できる事業計画書代行を活用する方法もあります。 

Q5. 建設業の事業計画書代行を依頼する場合の費用相場は? 

規模や目的により幅がありますが、許可・経審・融資の3点同時最適を狙う中期計画書は数十万円台が一般的な相場です。費用対効果は、融資調達額の増加・経審スコア向上による公共工事受注増・補助金採択額の3点を合算して判断してください。 

文章表現に不安なら、専門家の視点を取り入れる選択肢も

ここまで解説してきたように、事業計画書の文章表現には多くのコツがあります。しかし、自社の事業に没頭するあまり、客観的な視点を保つのが難しいと感じる経営者も少なくありません。社内用語を無意識に使ってしまったり、当たり前だと思っている前提が、第三者には伝わらなかったりすることはよくあることです。

そのような場合は、外部の専門家の視点を取り入れるのも有効な手段です。事業計画書作成の支援を行うコンサルティング会社などは、数多くの計画書を見てきた経験から、金融機関や投資家がどこに注目し、どのような表現を評価するのかを熟知しています。

例えば、バルクアップコンサルティング株式会社は、財務とビジネスの視点から経営者を支援するコンサルティングファームです。同社は年間260社もの事業計画書作成実績を持ち、特に資金調達やM&Aといった企業の重要な局面で、説得力のある計画書作りをサポートしています。専門家による客観的なレビューを受けることで、自分では気づけなかった表現の課題を発見し、計画書全体の質を大きく高めることが期待できます。

より専門的なサポートが必要な場合は、専門家の知見を借りることも検討してみましょう。

この記事の著者

AUTHOR
佐藤 宏樹
ACADEMIC
京都大学経営管理大学院 MBA
英国ノッティンガム大学ビジネススクール 客員実務家(兼任・2026〜)

佐藤 宏樹

代表取締役社長 / BulkUp Group, Group CEO
2007三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)法人部門 入行。
2013公認会計士(日本)及び米国公認会計士 試験合格。
2014PwC(DEALS部門)入社。財務DD・ビジネスDD・銀行交渉等を経験。
2017バルクアップコンサルティング株式会社 設立。
ONLINE BOOKING

カレンダーから選ぶだけで、面談を予約

空いている日時をその場で確定。日程調整メールの往復は不要です。初回相談は無料、代表の佐藤が直接対応いたします。

自動日程調整で予約する
お急ぎの方はお電話で TEL 03-6682-9555
AIが24時間ご相談を承ります
→こちらをClick