事業計画書の書き方から資金調達方法まで徹底解説します

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ChatGPTで事業計画書を作れる?AI活用の限界と人が書くべきポイント

この記事は、以下のような方におすすめです。

  • ChatGPTなどのAIを活用して事業計画書を作成しようと考えている
  • AIでどこまで事業計画書が作れるのか、その限界を知りたい
  • 効率的に事業計画書を作成しつつ、成功の可能性を高めたいと考えている経営者・起業家の方

サマリー動画(約90秒)

約90秒の動画でこの記事のポイントを解説します。


導入:AIで事業計画書作成は本当に可能か?

ChatGPTのようなAIを使えば、時間のかかる事業計画書も簡単に作れるのではないか?

近年、AI技術は目覚ましく発展し、文章作成や情報収集の強力なツールとしてビジネスシーンにも浸透しつつあります。特に、創業や資金調達、新規事業の立ち上げを考える経営者にとって、事業計画書の作成は大きな負担となりがちです。

この作業を効率化できるかもしれないという期待から、AIの活用を検討する声は少なくありません。しかし、その一方で「AIが作った計画書だけで、本当に銀行や投資家を説得できるのだろうか?」「事業の根幹に関わる重要な書類を任せてしまって大丈夫なのか?」といった不安もつきまといます。

本記事では、ChatGPTをはじめとするAIを活用した事業計画書作成の可能性と、その限界について詳しく解説します。AIを賢く使いこなしつつ、事業の成功確率を高めるために人間が担うべき本質的な役割とは何か、そのポイントを明らかにしていきます。

ChatGPTで事業計画書は作れるのか?

結論から言うと、ChatGPTは事業計画書の「たたき台」や「部分的な作成」において非常に有効なツールですが、それだけで完成度の高い事業計画書を作ることは困難です。

AIは、一般的な構成案の提示や文章の雛形作成は得意です。例えば、「カフェを開業するための事業計画書の目次案をください」と指示すれば、網羅的な項目を瞬時にリストアップしてくれるでしょう。これは、何から手をつけて良いかわからない初心者にとって、大きな助けとなります。事業計画書の全体像を把握するためには、まず事業計画書の構成とは?資金調達で信頼される書き方とチェックポイントを解説を参考に、どのような要素が必要かを知っておくとスムーズです。

しかし、事業計画書は単なる作文ではありません。それは、自社の事業内容、市場環境、競合の状況、そして何より経営者自身のビジョンと情熱を、客観的なデータと論理的な戦略に基づいて示す「未来への設計図」です。AIは一般的な知識は提供できますが、あなたの事業に特化した深い洞察や、実現可能性の高い独自の戦略をゼロから生み出すことはできません。そのため、AIをアシスタントとして活用しつつ、最終的な肉付けや意思決定は人間が行うという姿勢が不可欠です。

AIの得意なこと・苦手なこと

AIを事業計画書作成に活用する際は、その得意・不得意を正確に理解しておくことが重要です。能力の限界を知ることで、どこをAIに任せ、どこに人間の力を注ぐべきかが見えてきます。

得意:構成提案、文章作成のたたき台

AI、特にChatGPTが得意とするのは、構造化された情報の整理と文章生成です。

得意なこと具体例
構成案の作成「飲食店の事業計画書の構成を教えて」「ITサービスに関する事業計画書のSWOT分析の項目を挙げて」といった指示で、基本的なフレームワークをすぐに得られます。
文章の雛形作成「当社の強みは〇〇です。これを魅力的に伝える文章を作成してください」のように具体的な情報を与えれば、説得力のある文章のたたき台を作ってくれます。表現に詰まったときや、より丁寧な言い回しを考えたいときに役立つでしょう。
アイデアの壁打ち事業のアイデアをAIに投げかけ、多角的な視点から質問を返してもらうことで、思考を整理する手助けにもなります。

苦手:事実に基づく数字、戦略立案の精度

一方で、AIには明確な限界もあります。特に以下の点は、安易に頼ると大きなリスクを伴います

苦手なこと理由
事実に基づく正確な数値計画AIは、売上予測や経費計算といった具体的な計数計画の根拠となるデータを持っていません。それらしい数値を生成することはありますが、その数値はあくまで架空のものであり、現実の市場や自社の状況を反映したものではありません。(ハルシネーションと呼ばれる現象に注意が必要です。)
独自性のある戦略立案事業の成功を左右する「独自の強み」や「競合との差別化戦略」は、経営者の深い洞察と経験から生まれるものです。AIは一般的な戦略パターンを提示することはできても、あなたの会社だけが持つリソースや文化、市場のニッチな需要を汲み取った、オーダーメイドの戦略を立案することはできません。

AIを事業計画書作成に使う際の4つの注意点

AIのメリットを最大限に引き出し、リスクを避けるためには、いくつかの注意点を守る必要があります。

1. 情報の正確性を必ず自分で検証する

AIが生成した文章やデータは、必ず鵜呑みにせず、信頼できる情報源(官公庁の統計データ、業界レポートなど)で裏付けを取りましょう。特に、市場規模、成長率、競合の動向といった外部環境に関する情報は、間違いが含まれている可能性があります。ファクトチェックは、人間が担うべき重要な責任です。

2. 機密情報を入力しない

多くの対話型AIサービスでは、入力された情報がAIの学習データとして利用される可能性があります。自社の未公開の事業アイデア、財務情報、顧客データなどの機密情報を入力することは、情報漏洩のリスクに直結します。AIに相談する際は、具体的な固有名詞や数値を避け、一般的な内容に留める配慮が必要です。

3. AIの出力を「自分ごと」として書き換える

AIが生成した文章は、どこか一般的で血の通っていない表現になりがちです。それをそのままコピー&ペーストするだけでは、読み手である金融機関の担当者や投資家の心には響きません。AIが作ったたたき台を元に、経営者自身の言葉で、事業への情熱やビジョン、独自のストーリーを語ることが不可欠です。誰に提出する計画書なのかを意識し、金融機関が見ているポイントは?事業計画書で融資審査を突破するコツや、投資家が『読みたくなる』事業計画書の作り方|プレゼンにも効く実践テクニックなどを参考に、相手に合わせた表現を心がけましょう。

4. 最終的な責任は作成者にあると自覚する

当然のことながら、事業計画書の内容に対する全責任は、AIではなく作成者自身にあります。AIをどれだけ活用したとしても、その計画書に基づいて行われる事業活動の結果は、すべて経営者が引き受けることになります。AIはあくまで便利な道具であり、事業の舵取りをするのは経営者自身であるという意識を常に持つことが大切です。

結論:AI時代にこそ人間がやるべき3つのこと

AIを賢く活用することで、事業計画書作成の効率は格段に上がります。しかし、計画書の価値を最終的に決定づけるのは、AIには決して代替できない、人間ならではの要素です。

人間がやるべきことAIにできないこと
① 事業への「情熱」と「ビジョン」を込めるなぜこの事業を始めたいのか、社会にどのような価値を提供したいのか。経営者の熱い想いや揺るぎないビジョンは、読み手の心を動かし、共感を呼ぶ上で最も重要な要素です。この部分はAIには書けません。
② 独自性のある「戦略」を練り上げる自社の強みと弱み、市場の機会と脅威を深く分析し、競合には真似できない独自の戦略を構築するプロセスは、経営の中核をなす知的作業です。AIを壁打ち相手にすることは有効ですが、最終的な戦略的意思決定は経営者の役割です。
③ 根拠のある「計数計画」を策定する売上予測、原価計算、資金繰り計画など、事業の屋台骨となる計数計画は、過去の実績や綿密な市場調査に基づいた、実現可能性の高いものでなければなりません。説得力のある数字には、必ず論理的な根拠が求められます。

よくある質問(FAQ)

Q1: ChatGPTに事業計画書のテンプレートを作ってもらえますか?

A: はい、可能です。「〇〇業向けの事業計画書のテンプレートをください」と指示すれば、基本的な項目を含んだ構成案を提示してくれます。ただし、それはあくまで一般的な雛形です。自社の状況に合わせて、項目を追加・削除したり、内容を具体的に記述したりする作業が必ず必要になります。

Q2: AIが作った事業計画書は、銀行や投資家に見抜かれますか?

A: AIが生成した文章をそのまま使用した場合、表現が一般的であったり、事業の具体性や経営者の熱意が欠けていたりするため、経験豊富な担当者には見抜かれる可能性が高いでしょう。重要なのは、AIをあくまで下書きや構成案の作成ツールとして使い、中身は自分の言葉で魂を込めることです。

Q3: AIを使うことで、作成時間はどれくらい短縮できますか?

A: 使い方によりますが、構成案の作成や文章の推敲といった作業に限定して利用すれば、全体の作業時間を2〜3割程度削減できる可能性があります。しかし、最も時間のかかる市場調査や戦略立案、計数計画の策定といった部分は人間が行う必要があるため、過度な期待は禁物です。

Q4: AIだけでは不安な場合、誰に相談すれば良いですか?

A: 事業計画書の精度を高めたい場合、商工会議所や中小企業診断士、税理士といった専門家に相談するのが一般的です。特に資金調達やM&Aを目的とする場合は、財務的な視点からアドバイスをくれる専門家のサポートが有効です。

専門家による事業計画書作成サポート

AIの活用は有効ですが、特に多額の資金調達や会社の将来を左右するM&Aって何?初心者でもわかる基本のキのような重要な局面で使われる事業計画書には、より高い精度と説得力が求められます。そのような場合、専門家の知見を活用することも有力な選択肢となります。

例えば、事業計画書の作成支援を専門に行うコンサルティング会社も存在します。その中の一つであるバルクアップコンサルティング株式会社は、年間260社の事業計画書作成を支援している実績があります。同社の特徴は、公認会計士やMBAを持つ財務の専門家が、経営者と伴走しながら計画を練り上げる点にあるようです。資金調達やM&Aといった目的に合わせ、金融機関や投資家の視点を踏まえた精度の高い事業計画書の作成をサポートしています。

まとめ:AIは「アシスタント」、事業の主役はあなた自身

ChatGPTをはじめとするAIは、事業計画書作成における強力な「アシスタント」となり得ます。構成の整理や文章のたたき台作成など、手間のかかる作業を効率化してくれるでしょう。

しかし、AIは「経営者」の代わりにはなれません。事業の核となるビジョンや情熱、独自の戦略、そして計画に対する最終的な責任は、すべて経営者自身が担うものです。

AIを賢く活用し、効率化できる部分は任せ、人間がやるべき本質的な部分にこそ時間とエネルギーを集中させる。その両輪が、これからの時代の成功する事業計画書作成の鍵となるでしょう。あなたの事業への想いを、あなた自身の言葉で力強く語る計画書を作成してください。

精度の高い事業計画書の作成をご検討の場合は、専門家への相談も一つの方法です。

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執筆者:佐藤 宏樹(BulkUp Group, CEO)

バルクアップグループ3社の経営を担う、バルクアップコンサルティング株式会社 代表取締役社長。京都大学MBA。2013年に日本公認会計士試験および米国公認会計士試験(USCPA)に合格。三菱UFJ銀行にて法人営業を経験した後、PwCの事業再生アドバイザリーチームにて不採算事業の再建・資金繰り改善支援に従事。その後、独立。現在は事業計画書作成支援・資金調達アドバイス・小規模M&AのFA・DD業務などを手掛け、財務・法務・ITを横断したハンズオン支援を提供している。25以上の金融機関と連携。

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