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M&A成功のカギは事業計画書!

成長戦略の手段としてのM&A

買い手・売り手企業も納得。M&Aの成功は事業計画書で!

企業の成長戦略の手段として、現在脚光を浴びているM&A。
かつての悪いイメージ(外資系企業「ハゲタカ」による企業乗っ取り等)とは異なり、最近では企業戦略全般(競争力強化、新規事業多角化、業務提携など)の一つの手段として使われることが多くなっています。
今回はM&Aの手法についての概略とその際に重要な役割を果たす事業計画書について解説していきます。

目次
1.M&A概略
2.M&Aの手法について
3.M&Aのメリットとデメリット
4.事業計画書(買い手企業側・売り手企業側)の役割
5.まとめ

1.M&A概略

昨今、中小・中堅企業においては、経営者の高齢化・後継者不足・事業の先行き不安(成長戦略が描けない)などの理由で、仕方なく廃業するケースが増えてきています。
そんな中で、注目を浴びてきているのが「M&A」による事業承継で、リーマンショックの落ち着いてきた2012年以降増加してきています。

1985年以降のマーケット別M&A件数の推移
(引用:株式会社レコフ MARR online 2022.3.1現在)

M&Aとは、英語の「Mergers(合併)  and  Acquisitions(買収)」の略です。
一般的に「企業の合併・買収」(資本の移動や資本参加を伴う「資本提携」)のことですが、狭義のM&Aと広義のM&Aがあります。
そしてそのM&Aを実現する手法は、いくつかに分かれます。

※M&Aには入りませんが、企業の提携には、資本の移動を伴わない「業務提携」(技術・生産・販売提携など)という形態もあります。

2.M&Aの手法について

1)狭義のM&A

  (1)買収

以下の手法がありますが、中小企業のM&Aにおいては「株式譲渡」が8~9割程度採用されています。
①株式取得
a.株式譲渡:売り手企業の株主が株式を買い手企業に売却(株主の地位を譲渡)することにより買収を成立させる手法
b.第三者割当増資:特定の第三者に対して新株を割り当てることにより増資を行う手法
c.株式交換:対象会社(完全子会社となる)がその発行済株式の全部を他の会社(完全親会社となる)に取得させる手法。
d.株式移転:対象会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させる手法
②事業譲渡
a.一部譲渡:対象会社の事業の一部を他の会社に譲渡する手法
b.全部譲渡:対象会社の事業の全部を他の会社に譲渡する手法

  (2)合併

複数の会社を一つの会社(法人格)に統合する手法で、以下の2種類があります。実態としては、吸収合併がほとんどとなっています。
①吸収合併:存続会社が消滅する会社の権利義務の全部を承継させる手法
②新設合併:新規に会社を設立し、消滅する対象会社全ての権利義務を承継させる手法

  (3)分割

①新設分割:会社分割で新しい会社を新設、その新設会社に事業等を承継させる手法
②吸収分割:会社分割で事業等を他の既存会社に承継させる手法

 2)広義のM&A

狭義のM&Aに加えて以下のものを含めます

  (1)資本参加(株式の持ち合い)

他企業との関係性を強化するために株式を取得し、資本提供する手法。限られた議決権の中で経営に参画することとなります。

  (2)合弁会社設立

複数の企業が互いに出資して、新しい企業を設立する手法

3.M&Aのメリットとデメリット

M&Aを実際にすすめるにあたっては、買い手企業側・売り手企業側それぞれのメリット・デメリットを理解のうえ進めていくことが重要です。

 1)買い手企業側

  (メリット)
・新規事業を短時間かつ低リスクで開始できます
・既存事業の拡大・多角化・強化が効率的にできます
・事業に見合ったハイスキルの人材やノウハウを取得できます
  (デメリット)
・デューデリジェンスで発見できなかった簿外債務等のリスクが顕在化する可能性があります
・組織や企業文化の統合に時間と費用がかかります。その結果、退職者が増える可能性があります
・期待していた相乗効果が出ない可能性があります

 2)売り手企業側

  (メリット)
・譲渡価格には、いわゆる「のれん」代が加わるので、株式譲渡益(創業者利潤)を得ることができます
・事業承継問題(後継者不在など)が解決されるとともに、事業継続・拡大を図ることができます
・従業員の雇用が確保され、さらに継続・安定が見込まれます
・廃業の手続き、費用が不要となります

  (デメリット)
・想定価格での譲渡ができない可能性があります
・取引先やお客様からの信用が低下します
・経営権限が縮小します
・社員のモチベーション低下、退職者増の可能性があります

4.事業計画書(買い手企業側・売り手企業側)の役割

M&Aは、買い手企業側・売り手企業側双方にとって必ず成功させなければならないミッションです。
M&A実施のプロセスでは、事業計画書の役割はかなり重要なものとなります。
なぜなら、M&A価格やPMI(Post Merger Integration買収後の経営統合作業)方針の決定の最も重要な要素となるからです。

では、事業計画書は誰が作成するのか。

M&Aの場合は、買い手企業側が作成する場合と売り手企業側が作成する場合があります。
事業計画書は、当然会社の経営理念・ビジョン・事業推進計画・数値目標(売上/収益見込)・各組織体制/目標などを文章化・可視化したものです。
従って、実現性のある事業計画書を作成する主体は買い手側企業(事業を継続する企業)にあるといえるでしょう。

(売り手側経営者がM&A後も社長として経営を継続する場合は、売り手企業側で作成することもあります)

基本的な事業計画書の作成については、当ブログにいろいろな記事がありますので、そちらを参照してください。ここではM&Aの買い手企業として事業計画書を作成する際の留意点をあげてみたいと思います。

 1)売り手側の意に沿っているか

M&A後の経営方針・事業運営方法などが、売り手側経営者の意に沿わない場合は落札の可能性が低くなります。売り手側の意向を把握するため、コミュニケーションを密にしていく必要があります。

 2)デューデリジェンス内容の見直し

売り手側の事業計画・事業目論見がデューデリジェンス前のものである場合は、デューデリジェンス結果との整合性を再確認する必要があります。場合によっては、M&A価格に変更が生じる恐れがあります。

 3)M&A価格の妥当性確認

M&Aは売り手側企業の過去の結果ではなく、未来に対する買い物です。
見込の数値が元になりますので、デューデリジェンス内容の見直しの結果を踏まえて、M&A価格は十分に検討する必要があります。

 4)決算書等では見えない企業価値(マイナス面も含め)の確認

取引先リスト等、買い手企業側からみれば今後の事業展開に大変価値あるものもあります。
又、利益率の低いビジネスモデルが事業の主流だった場合など、企業価値としてマイナス面もありますので、注意が必要です。

 5)PMIとの整合性

事業計画書はPMI(買収後の経営統合作業)計画をたてる際の裏付けとなるものです。上述の結果を踏まえて、精緻に整合性を確認する必要があります。

5.まとめ

ここまで説明しましたように、M&Aを成功させるためには、目的に合った精緻な事業計画書の作成が最も重要なポイントとなります。

「事業計画書」作成作業を短期間に進めていくのは、思った以上に大変な作業となります。当然、複数の人間が携わりますので、スケジュール調整も絶えず行う必要があります。又、M&Aを目的とした事業計画書の作成はそんなに頻繁にあるものではありませんし、経験が豊富で完璧に書く自信のある人はあまりいないのが実情ではないでしょうか。
外部の事業計画書作成の専門家(コンサルタント)の活用が資金調達の早道といえるでしょう。

※M&Aに関する事業計画書の作成及びM&Aに対する取り組み全般でお困りの場合は、「事業計画書」作成のプロであるバルクアップコンサルティングがお手伝いします。

 

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